お知らせ
ポスター発表は下記のカテゴリー毎に分類しております。 ポスター発表者は、各自ポスター発表にあたっての諸注意をご確認の上、下記 Floor map のご自分のポスター番号の位置に所定の時間内にポスターを掲示してください。
- 【貼付時間】6/18(木) 9:00~12:00の時間にボードに貼付して下さい。(当日受付は9:00から)
遠距離のため、指定貼付時間までにポスターを貼付できない方は、事前に事務局へポスターを郵送頂くことも可能です。事務局までメールでご相談ください。 - 【掲示時間】2日間、6/18(木) 12:00~6/19(金) 12:00の間は必ず掲示して下さい。
- 【撤去時間】6/19(金)13:00頃に事務局で回収・処分致します。ポスターをお持ち帰りいただく方は撤去時間前にご自身でお取り外しください。
ポスター発表のコアタイムは、下記になっています。
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15:35 - 16:25
発表コアタイム1 (ポスター番号奇数 P001、003、005・・)
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16:25 - 17:15
発表コアタイム2 (ポスター番号偶数 P002、004、006・・)
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17:30 - 19:30
交流会・ポスター賞授賞式
(注)発表者のご所属欄中、国立研究開発法人、独立行政法人、地方独立行政法人、学校法人等の名称は一部省略、 産業技術総合研究所は産総研と省略して記載させて頂いております。ご了承ください。
2026/05/27 公開
全91件
1:ヘルスケア/Healthcare (P001~P015)
スポーツ科学、自律神経系、循環調節
ストレスによる血圧調節異常:実験動物からヒトへのマルチスケール検証
Stress-induced blood pressure dysregulation in rats and humans
発表者
○堀 天(1,2)、浅原 亮太(1,2)、堀田 典生(3)
所属
(1)産総研 セルフケア実装研究センター、(2)産総研 健康医工学研究部門、(3)中部大学
概要
心血管疾患は本邦における死因第2位であり、深刻な健康問題である。運動・身体活動中は血圧の上昇(昇圧応答)が起きるが、過剰な昇圧応答も心血管疾患発症リスクである。ヒトは日常生活中に人間関係や生活環境など多様なストレスに曝露されており、過度なストレスは心血管疾患を誘発するが、その機序は十分に解明されていない。そこで我々は、動物実験によるメカニズム検討に加え、ヒトを対象とした臨床的検証を行ったところ、心理・社会的ストレスや、環境(温暖差)ストレスによって運動時昇圧応答が増大することが明らかになった。したがって、ストレスによる運動時昇圧応答の増大が、心血管疾患のリスク増大に関与している可能性がある。
ヘルスケア、健康無関心層
健康無関心層に向けた文脈変更によるステルス型ヘルスケア
Context-driven stealth healthcare targeting health-indifferent populations
発表者
○小林 吉之(1)、中嶋 香奈子(1)、沓澤 岳(1)、大島 賢典(1)、須藤 大輔(1)、三輪 洋靖(1)、鳳 クァンバック(1)、赤坂 文弥(1)、山内 閑子(1)
所属
(1)産総研 セルフケア実装研究センター
概要
国民の健康の維持・増進は重要な社会課題であるが、「健康効果」や「健康リスク」を前面に打ち出す従来型の健康勧奨アプローチが響かない層が一定数存在する。 彼らはどのような人たちなのか?また、彼らにも響く対策とはどのようなものか?本研究はこれらの問いを解き、将来的に各種ステークホルダーが対象の特性に応じた適切な対策を提供できるようにするために、①従来型の健康勧奨アプローチが響かない層の特性解明と、②彼らに響く対策の開発を行った。
認知、理想体型、文脈
文脈が体型認知に与える影響
The Effect of Context on Body Shape Cognition
発表者
○岩木 直(1)
所属
(1)産総研 セルフケア実装研究センター
概要
過度なダイエットによる若年女性の痩せが社会課題になっている。自身が認知する体型と理想体型とのギャップが大きいほど、ダイエット行動が促進されると考えられているが、これを低減する有効な介入法は確立されていない。本研究では、従来考慮されてこなかった「理想体型が文脈依存的に変動する可能性」に着目した。理想体型の文脈依存性は過度なダイエットを抑止する介入につながる可能性がある。主観評価実験の結果、文脈とともに変化する体型喚起の程度により理想体型が変化することを示した。文脈変化に伴う情動反応の変化が体型認知に影響を与えている可能性が示唆され、今後体型に関する文脈変化と情動関連脳領域の活動との関連を調べる。
fMRI、意味の類似度、ネットワーク
脳活動が表現する“意味のつながり”とその変化
Semantic Relationships Represented in Brain Activity and Their Changes
発表者
○上杉 侑菜(1,2)、岩木 直(1,2)
所属
(1)産総研 研究戦略本部セルフケア実装研究センター、(2)筑波大学
概要
ある場面の主観的な見え方は、前提知識や主題、口コミなどの事前の情報によって柔軟に変化する。この可変的な意味理解は誤解や印象操作をも招くことから、コミュニケーション現場や教育、工学デザインなどの幅広い場面で課題となっている。fMRIを用いた研究では、「赤―林檎」「産総研―研究」のような「意味的な関連性のつながり」が、脳活動から評価可能であることが知られている。本研究では、先行する単語の有無がシーン画像の意味理解に与える影響を調べた結果、先行する単語があると脳活動に基づく意味のつながりが全体的に断片化することが示された。将来的には個人の理解度や認知状態に最適化された学習支援への応用が期待される。
ハプティクス、ウェアラブル、バイオフィードバック
指輪型脈拍バイオフィードバックデバイス
Pulse Biofeedback ring
発表者
○竹下 俊弘(1,2)、古澤 亜樹(2)、Daniel Zymelka(2)、竹井 裕介(1,2)
所属
(1)産総研 セルフケア実装研究センター、(2)産総研 ハイブリッド機能集積研究部門
概要
本報告では極薄ハプティックMEMSフィルムを用いた指輪型脈拍バイオフィードバックデバイスの開発について発表する。光電脈波センサで計測した装着者の脈拍数に合わせて極薄ハプティックMEMSフィルムが振動し、触覚刺激にて脈波バイオフィードバックを行うシステムとなっている。今回はこの指輪型デバイスが発生する振動の機械的基礎評価と脈波波形生成について報告を行う。
妊娠、心不全、性差
肥満が把握運動時の血圧および交感神経活動応答に及ぼす影響
Impact of obesity on blood pressure and sympathetic neural responses to static handgrip exercise
発表者
○鷲尾拓郎(1)
所属
(1)産総研 セルフケア実装研究センター
概要
肥満は心血管疾患の発症因子の一つであるが、血圧や交感神経活動に及ぼす影響は、加齢や生理学的背景によって変化し得る。本発表では、把握運動をストレス刺激として用い、運動負荷時の血圧応答および交感神経活動応答を指標に、肥満の影響を検討した2つの研究を紹介する。妊娠(生理的状態)と心不全(高齢者)は生理学的背景として異なるが、いずれも循環動態・自律神経調節が変化しやすい状況である。得られた知見を通じて、背景の違いにより肥満の影響が異なり得ること、ならびに加齢に伴う脂肪の影響を理解するためにさらなる検討が必要であることを述べる。
ストレッチャブル、ウェアラブル、電子デバイス
弾性体と薄膜を用いたストレッチャブルデバイスの研究
Stretchable devices using elastomer and thin films
発表者
○武居 淳(1,2)
所属
(1)産総研 セルフケア実装研究センター、(2)産総研 センシング技術研究部門
概要
日常生活の中で連続的に生体情報を取得するには、人の体に違和感なく電子デバイスを装着する技術が必要である。硬く平坦な既存の電子デバイスでは人間の体表のような三次元的な形状に滑らかに取り付けることができないため、柔軟で伸びる電子デバイスの開発が急務となっている。弾性体と薄膜を組み合わせることで伸びる電子デバイスを製造する技術を今回紹介する。
運動生理学、身体運動のバイオメカニクス
生体・運動機能の評価とヘルスケア産業への応用
Biological and Biomechanical Systems Research for Healthcare Applications
発表者
○藤本 雅大(1)、木戸 康平(1)、﨑谷 直義(1)、土屋 吉史(1)、浅原 亮太(1)、土田 和可子(1)、稲井 卓真(1)、工藤 将馬(1)、堀 天(1)
所属
(1)産総研 セルフケア実装研究センター 生体・運動機能研究チーム
概要
セルフケア実装研究センター 生体・運動機能研究チームでは、健康リスクの評価とその低減を目的として、生理生化学的・バイオメカニクス的研究アプローチにより、生体・運動機能の評価・改善技術の研究開発と社会実装に取り組んでいます。歩行をはじめとする日常生活動作の解析・シミュレーションや、感覚・運動・力学的刺激に対する生体応答の評価を通じ、健康リスクを検出する評価技術と、その低減に資する機能維持・改善技術の確立を目指しています。糖尿病などの生活習慣病、運動器疾患、サルコペニア・フレイル、転倒・認知症など、要介護状態に繋がる機能低下の早期検出と、セルフケアを支える技術基盤の構築を目標としています。
運動継続支援技術、運動コーチング、生体シグナル
生体シグナルに基づく至適強度コーチングによる運動継続支援技術の開発
Development of an Exercise Adherence Support System Using Physiological Signal-Based Optimal Intensity Coaching
発表者
○東本 翼(1,2)、坂本 琳太郎(2)、樽味 孝(1,2)、菅原 順(1,2)
所属
(1)産総研 セルフケア実装研究センター、(2)産総研 人間情報インタラクション研究部門
概要
健康寿命の延伸に向けて運動が推奨されている。一方で、「習慣的に運動」を行う人の割合は低く、過去20年間で大きな改善は見られない。習慣的な運動の実施率を高めるには、個人の体力レベルや心身状態に応じた運動プログラムの提供に加え、適切なコーチングによる継続支援が重要である。そこで本発表では、生体シグナルを高精度にセンシングする技術と、健康維持・増進を目的とした至適運動強度の探索およびリアルタイムコーチング技術を融合し、行動変容を促して運動継続を支援する革新的な「運動継続支援ツール」の開発取り組みを紹介する。
嗅覚、VR、匂いセンサー
バーチャルリアリティ用のウェアラブル嗅覚ディスプレイに関する実験的基礎検討
Experimental study of a wearable olfactory display for virtual reality
発表者
○照沼 裕貴(1)、岩﨑 渉(1,2)、大槻 麻衣(2,3)、駒﨑 友亮(1,3)、平間 宏忠(1,3,4)
所属
(1)産総研 センシング技術研究部門、(2)産総研 ウェルビーイング実装研究センター、(3)産総研 人間社会拡張研究部門、(4)産総研 セルフケア実装研究センター
概要
バーチャルリアリティ(VR)は多分野で活用が進む一方、多くは視覚や聴覚に限定されている。嗅覚は感情や記憶と深く結びつき、VRの臨場感向上に寄与するが、匂い提示の制御や装置の大型化、コストの課題がある。本研究では、VRコンテンツと同期して匂いを提示可能な低コストのマスク型ウェアラブル嗅覚ディスプレイを開発し、噴霧素子の特性評価と実証実験を行った。将来的には医療リハビリや観光教育、遠隔体験型エンタテインメントへの応用が期待される。
高体温、脳循環、熱中症
運動時の暑熱負荷が回復期の脳循環応答に及ぼす影響
Impact of Heat Stress During Exercise on Cerebral Circulatory Responses During Recovery
発表者
○片桐 陽(1)、樽味 孝(1)
所属
(1)産総研 人間情報インタラクション研究部門
概要
暑熱下運動時には、高体温に伴う脳血流量の減少や脳温上昇、頭蓋内圧亢進などを介して神経活動に応じた脳血流調節(神経血管連関)が妨げられ、認知機能が低下する可能性がある。本研究は、暑熱負荷に伴う神経血管連関破綻および認知機能低下の機序解明を目的とし、体温上昇前後の休息期における脳血流・脳温・脳細胞外液循環動態をMRIにより予備的に評価した。本成果は、冷却介入や作業管理指針の高度化など、暑熱環境下で活動する人々の安全確保に資する技術開発への展開が期待される。
脳脊髄液、グリンパ系、認知症予防
脳老廃物クリアランスを促進する運動プログラムの開発
Development of an Exercise Program to Enhance Brain Waste Clearance
発表者
○樽味 孝(1,2)
所属
(1)産総研 セルフケア実装研究センター、(2)産総研 人間情報インタラクション研究部門
概要
脳機能の維持・向上、さらに中高齢者における認知症や脳卒中の予防には、脳内代謝産物の効率的な除去(クリアランス)が重要であると考えられている。本発表では、脳老廃物クリアランス機能に対する運動の効果について、最新の知見と自らの研究成果をもとに紹介する。
有酸素運動、脳構造、ミエリン
一過性有酸素運動の脳への影響:ミエリンに着目した基礎的検討
Acute effects of aerobic exercise on brain white matter: a myelin-focused study
発表者
○浅原 亮太(1,2)、後藤 太一(2)、木戸 康平(1,2)、﨑谷 直義(1,2)、土屋 吉史(1,2)、樽味 孝(1)
所属
(1)産総研 セルフケア実装研究センター、(2)産総研 健康医工学研究部門
概要
急速な高齢化に伴い、認知機能低下の予防は重要な課題となっている。習慣的な有酸素運動は、認知機能の維持・向上や認知症発症リスクの低下に寄与し、脳内の情報伝達を担う白質構造の強化に関与する可能性が示されている。しかし、その作用機序は未解明である。本研究では、脳白質を構成するミエリンに着目し、ヒトおよび動物実験を進めている。本発表では、特に一過性の有酸素運動がミエリンに与える影響について、MRIを用いて検討した基礎的知見を紹介する。
ストレス、天然化合物、神経疾患
アシュワガンダ有効成分ウィタノンの抗ストレス作用
Anti-aging potential of Withanone - experimental evidence
発表者
○平野 和己(1)、Myat Nyein KHINE(1)、Sunil KAUL(1)、Renu WADHWA(1)
所属
(1)産総研 細胞分子工学研究部門
概要
ウィザノン(Wi-N)は低毒性かつ抗ストレス作用を有するアシュワガンダ由来の天然withanolideである。本研究では、神経変性疾患関連物質BMAAをヒトiPSC由来神経細胞に生理的濃度に近いnMオーダーの濃度条件で作用させると、典型的な老化マーカーであるSA-β-Galの変化を伴わず、ゲノム損傷マーカーであるγH2A.Xの核内蓄積が生じ、初期的DNA損傷が誘導されることを見出した。さらにWi-NはこのDNA損傷を抑制し、DNA修復マーカーであるp53BP1を増加させた。以上より、Wi-Nは神経変性関連細胞ストレスに対する有望な介入因子であることを提案する。
フッ素フリー、生物資源利用、環境負荷低減
環境・生体負荷低減を志向したフッ素フリー表面処理剤の開発
Development of Fluorine-Free Surface Treatment Agents to Reduce Environmental and Biological Impacts
発表者
○佐藤 知哉(1)、堀江 祐範(1)
所属
(1)産総研 健康医工学研究部門
概要
フッ素化合物は他の物質にはないユニークな物理・化学的特長を有するため、様々な産業分野に浸透している。例えば、フッ素系表面処理剤はその優れた安定性や難付着性により、多種多様な製品の表面処理に使用されてきた。一方で近年、フッ素化合物の環境や生体に対する有害性が指摘されるに従い、フッ素代替の動きが加速しており、負荷の小さなフッ素フリーな新技術が求められている。本発表では、産総研が独自に設計したフッ素フリー表面処理剤の概要、合成、各種基材への適用と難付着性を中心にした表面機能について紹介する。
2:医療機器/医療支援技術
(Medical devices / Medical supporting technology)
(P016~P019)
動物実験 血栓形成 臨床検査
大型実験動物の臨床検査試薬による血液検査結果をいかに正確に評価するか?
How can we accurately evaluate the results of blood tests using clinical diagnostic reagents in large laboratory animals?
発表者
○丸山 修(1)、坂田 美乃(1)、熊野 穣(1)
所属
(1)産総研 健康医工学研究部門
概要
ECMOに代表される体外循環装置の開発にあたり、血液適合性を評価することは重要である。特に血栓形成は深刻な課題であり、血栓形成が生じないことを確認するため、ウシやブタなどの大型実験動物を使用した動物実験が行われている。血液循環中の血栓形成反応を確認するために、臨床検査試薬を用いた血液検査が行われているが、種の違いによる検査結果の信頼性が議論されている。本研究では、ウシ、ブタおよびヒト血液について、臨床検査試薬を使用したトロンビン生成反応を実施し、血栓形成に至る時間、血栓量および血栓の形態的観察結果を比較、評価する。その結果から、大型実験動物の臨床検査試薬による検査結果の妥当性を検討する。
薬剤、臨床検査
同じ薬剤投与量でも副作用が起こる人と起こらない人がいるのはなぜか? ― 治療下における検査と解釈の課題 ―
Why do adverse effects occur in some patients but not in others, even when the same drug dose is administered? -Challenges in testing and interpretation under therapeutic conditions-
発表者
○熊野 穣(1)
所属
(1)産総研 健康医工学研究部門
概要
同一の薬剤投与量であっても、副作用の発現には個人差が認められ、その要因は十分に整理されていない。本研究では、直接型抗凝固薬(DOAC)をモデルケースとし、PT、APTTなどの従来検査に加え、凝固反応全体を反映するトロンビン生成能試験の知見を踏まえ、治療下における検査結果の解釈がどのように揺らぐかを整理した。同じ検査値であっても、前提となる凝固状態や評価目的が異なることで解釈が変わり得ることを示し、治療下評価における検査と解釈の課題について考察する。
口腔ケア技術、医療機器、バイオセラミックス
高齢者セルフケア機能の飛躍的向上を可能とする歯質被覆材の開発
Development of a dental hydrocolloid that enables a dramatic improvement in self-care capabilities for the elderly
発表者
○杉浦 悠紀(1)、須丸 公雄(2)、松本 真理子(1)、中村 佳博(3)、柴山 祥枝(4)
所属
(1)産総研 健康医工学研究部門、(2)産総研 細胞分子工学研究部門、(3)産総研 地質情報研究部門、(4)産総研 物質計測標準研究部門
概要
フッ素歯質強化剤に替わる、高齢者のセルフケアに特化した、新規歯質被覆材の開発を行う。1980年代に提案された、歯の表面を改質し、対う蝕性を向上させ、口腔環境改善を図るという、歯質強化の試みは、既にグローバルスタンダードとなっている。その一方で、性能のみならず1980年代当時の資源供給能、品質、価格等の観点、からフッ素歯質強化剤が提案され、その後の法令等の観点からも、歯質強化剤は現在までフッ素一色となっている。歯質の水酸アパタイトを、より耐酸性の高いフッ素アパタイトに改質するフッ素系歯質強化剤は、確かに若年層には一定の効果をもたらしている。一方で、高齢者のほぼ全員がう蝕に罹患する現状を鑑みるに、性能が十分であるとは言えない。本研究では、これまでとは一線を画す、新規歯科材料開発を行う。
リハビリテーション、運動障害、ミエリン
脳内のミエリンに着目した脳損傷による運動障害の評価と介入
Assessment and Intervention for Movement Impairment Focused on Myelination after Brain Injury
発表者
○後藤 太一(1)、釣木澤 朋和(2,3)、小牧 裕司(4)、疋島 啓吾(1)、九里 信夫(2)
所属
(1)産総研 健康医工学研究部門、(2)産総研 人間情報インタラクション研究部門、(3)筑波大学 システム情報系知能機能工学域、(4)公益財団法人 実中研 バイオイメージングセンター
概要
医療技術の進歩に伴い、脳損傷後の救命率は飛躍的に上昇した。次には、実社会へ復帰するため、リハビリにより身体機能回復の重要性が高まっている。しかし、リハビリを経ても運動障害は残存することが多いという課題から、運動障害を効果的に改善するリハビリ手法は未確立である。脳内のミエリンは、運動機能の獲得や定着に貢献する脳内構造の1つであるが、脳損傷後の機能回復に対する重要性は未だ示されてない。本研究課題では、脳損傷後の運動障害の発症と改善に対する脳内のミエリンの関与について前臨床的に検証を行った。加えて、リハビリと脳内のミエリン増加を促進する介入による脳損傷後の運動障害の回復への影響を検証した。
3:次世代医療/診断技術
(Next-generation medical/diagnostic technology)
(P020~P024)
マイクロ流体デバイス、毛管現象、簡易医療検査
簡易医療検査への応用を目指したオイル薄膜が介在するキャピラリーマイクロ流体デバイス
Oil-film-mediated capillary microfluidics for simple medical diagnostic applications
発表者
○矢菅 浩規(1)、竹井 裕介(1)、武居 淳(1)、岡田 瞬(2)、中山 裕貴(2)、庄司 観(2)
所属
(1)産総研 セルフケア実装研究センター、(2)長岡技術科学大学
概要
毛管現象は外部ポンプを必要としない流体駆動原理として、マイクロ流体デバイス型の簡易医療検査デバイスに利用されてきた。本研究では、従来この種のデバイスで必要とされてきた流路表面の親水化処理を不要とし、デバイスの簡素化と安定性向上を可能とする手法として、水溶液と固体構造の間にオイル薄膜を介在させる液体輸送システムを提案する。本手法により、疎水性材料からなる流路においても水溶液輸送が実現できる。本発表では、流路設計および液体組成が輸送特性に与える影響を評価し、簡易検査デバイスへの適用性と設計指針について議論する。
脂質ナノ粒子、mRNAデリバリー、浮遊系細胞
新規設計の脂質ナノ粒子を用いた浮遊系細胞におけるmRNA由来タンパク質発現
mRNA-derived protein expression in suspension cells using newly designed lipid nanoparticles
発表者
○小淵 里恵(1,2)、鄭 雄一(2)、寺村 裕治(1)
所属
(1)産総研 細胞分子工学研究部門、(2)東京大学 大学院工学系研究科
概要
脂質ナノ粒子(LNP)は、細胞への高効率な核酸導入を可能にする非ウイルスベクターとして注目されている。LNPは通常、粒子の安定性向上を目的として表面をPEG脂質で被覆されているが、近年、抗PEG抗体の産生が報告されており、PEGに代わる材料の開発が求められている。そこで本研究では、poly(2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine)結合脂質(PMPC脂質)を用いた新規LNPを設計し、高いmRNA由来タンパク質発現効率の実現を試みた。浮遊系細胞株であるヒト急性リンパ芽球性白血病T細胞(CCRF-CEM)を用いて発現効率を評価した結果、従来のPEG被覆LNPと比較して、約35倍高いタンパク質発現が確認された。これらの結果は、本LNPがより高効率かつ安全な細胞療法への応用可能性を有することを示唆している。
Glycan Painting
糖鎖ペイント法:生体を構成する全細胞種のカラーID化
Glycan Painting:Comprehensive Color-Based Identification of Cell Types in Tissues
発表者
○長崎 晃(1)
所属
(1)産総研 細胞分子工学研究部門
概要
本研究では、生体を構成する全細胞種に対して固有の色を割り当てる「カラーID化」の概念と、その実現に向けた新規染色戦略を提案する。従来のHE染色や免疫染色は、形態情報あるいは限られた分子情報に依存しており、組織内の多様な細胞種を包括的かつ直感的に識別することは困難であった。本手法では、細胞種に特異的な糖鎖の組合せに着目し、複数のレクチンプローブを組み合わせた多重染色により、各細胞種の糖鎖プロファイルを色情報へと変換する。これにより、組織切片中のほぼすべての細胞を異なる色として可視化し、細胞種ごとの識別を可能にする。さらに、本アプローチは細胞種の網羅的分類および空間分布の解析を同時に実現し、病理診断や組織解析の高度化に寄与することが期待される。本研究は、生体内の細胞多様性を色として表現する新たな基盤技術を提示するものである。
リポソーム、細胞外小胞、モノクローナル抗体、スフィンゴ糖脂質、乳がん、フローサイトメトリー
リポソーム免疫法による脂質ベシクル選択的な抗糖脂質抗体の創出と細胞外小胞検出への応用
Development of antibodies for the detection of glycolipid antigens on extracellular vesicles using a liposome-based immunization method
発表者
○奥田 徹哉(1)、丸山 迪代(1)
所属
(1)産総研 モレキュラーバイオシステム研究部門
概要
リポソームをキャリアとする免疫法は、低分子や糖脂質に対する有効な抗体誘導法である。本研究では、本法で得た抗糖脂質抗体が、リポソームや細胞外小胞など脂質ベシクル上の抗原を選択的に認識する特性を見出した。本研究は、500~2000nm前後の粒子への抗体反応をフローサイトメーターで解析するシンプルな手法により実施した。本法により得られた抗体は、他法で得られた抗体と比較して、糖脂質を含むリポソームを特異的かつ高感度に検出した。また、乳がん特異的糖脂質抗原をリポソームキャリアで免疫することで、乳がん細胞由来の細胞外小胞を高感度に検出可能なモノクローナル抗体の取得に成功した。
がん、塩化物イオン、FETセンサ
塩化物イオン排出を指標とした腫瘍組織識別に向けたFETセンサの開発
Development of an FET sensor for tumor tissue discrimination based on chloride ion efflux
発表者
○山岸 彩奈(1)、南木 創(2)、竹下 俊弘(3)、中村 史(1)
所属
(1)産総研 細胞分子工学研究部門、(2)産総研 健康医工学研究部門、(3)産総研 セルフケア実装研究センター
概要
Clー排出チャネルCLIC1は、がん細胞で過剰発現することが報告されている。これまでに我々は、CLIC1高発現がん細胞に機械刺激を印加することで、Clー排出が誘起されることを見出してきた。本研究では、Clーを検出可能なFETセンサを組み込んだ圧子を作製し、膠芽腫細胞を移植したマウス腫瘍モデルを用いて、腫瘍組織圧入時のClー排出能を評価した。その結果、正常筋組織と比較して、腫瘍組織では有意なFETセンサ応答が確認された。以上より、本デバイスにより腫瘍組織から排出されるClーを特異的に検出可能であることが示唆された。本手法は、将来的にがんの術中迅速診断技術への応用が期待される。
4:創薬基盤 (Drug discovery platform) (P025~P038)
変形性関節症、細胞外マトリックス、ペプチド
変形性関節症の治療に向けた細胞外マトリックス分解酵素阻害ペプチドの探索
Screening for inhibitory peptides against extracellular matrix-degrading enzymes toward osteoarthritis therapy
発表者
○西島 菜々美(1,3)、戸井 基道(2,3)、加藤 義雄(1)
所属
(1)産総研 モレキュラーバイオシステム研究部門、(2)産総研 生命工学領域、(3)筑波大学大学院 生命農学学位プログラム
概要
変形性関節症は、関節軟骨の分解が進行することにより運動機能が低下する疾患であり、根本的な治療法は確立されていない。軟骨の破壊に直接関与するMMP13(コラーゲン分解酵素)を標的とする低分子阻害剤の開発が試みられてきたが、特異性が課題となっている。そこで本研究では、MMP13とその内在性阻害ペプチドであるTIMPに着目し、この相互作用を定量的に評価する系を構築した。この評価系を基盤として、MMP13に対して高い特異性を有する変異TIMP配列の探索を行う。将来的には、変形性関節症に対する新規治療薬候補となることが期待される。
振動、車両、医薬品
医薬品輸送用車両における振動の解析
Analysis of Vibrations in Vehicles Used for Transporting Pharmaceuticals
発表者
○回渕 修治(1)
所属
(1)産総研 細胞分子工学研究部門
概要
2018年に厚生労働省より医薬品の適正流通ガイドライン(GDP)が発出されているが、振動・衝撃に関する規定はない。一方、添付文書には振動・衝撃への注意を要する医薬品があり、輸送過程の振動の実態把握が課題である。本研究は、営業車両の走行時荷台振動を測定し、医薬品卸における輸送環境の実態調査を目的とした。振動ロガーを後輪車軸中央の荷台平面に装着し、実際の医薬品搬送経路で、営業車両の荷台振動の測定を行った。医薬品卸における輸送環境の研究は報告例が少なく、これらの結果が医薬品の輸送環境の改善に繋がると考えられる。
創薬化学、自動化、分子設計
医薬分子の発明は自動化の時代へ~医薬分子自動設計装置の実践運用、ならびに、自動合成装置の開発
An Automated Invention Platform for Medicinal Chemistry - Practice of Automated Design System and Development of Automated Synthesis System
発表者
○石原 司(1)
所属
(1)産総研 モレキュラーバイオシステム研究部門
概要
少子高齢化が進む日本では、労働生産性の向上や知識・技能の継承が危急の課題となっています。そこで我々は、次世代産業の発展の礎となる研究活動そのものの自動化を目指しております。本研究では、従前の方法論では数年もの歳月を伴う医薬品創出を題材に掲げ、その自動化を進めました。近年における機械学習およびロボット技術の飛躍的進化は、医薬候補分子の設計および化学合成を自動化しえます。既に、自動設計と自動合成の具現化と融合による自動発明装置を構築し、稼働を始めています。加えて、最近注目を浴びる新規創薬様式への適用を進めました。将来的には、医薬産業のみならず、ファインケミカル全般への展開を目指しています。
ウイルスベクター、遺伝子治療、ウイルス
遺伝子治療用ウイルスベクターの産生法の開発と応用
Development and application of methods for producing viral vectors for gene therapy
発表者
○前田 史雄(1)、今井 賢一郎(1)、夏目 徹(1)
所属
(1)産総研 細胞分子工学研究部門
概要
Herpes simplex virus (HSV) ampliconベクターはウイルスゲノムの代わりに発現させたい遺伝子を含むプラスミドDNAを保持している。遺伝子積載容量が非常に大きい(約150kb)こと、細胞・免疫毒性が低く、動物モデルにおいて反復投与が可能なことが従来のウイルスベクターに比べて優れている点である。本発表では近年、遺伝子治療のモダリティとして活用が盛んなウイルスベクターの概要と、発表者が最近開発したHSVベクターの簡易な産生法とその活用について紹介する。
細胞外小胞、保存技術、機能性物質
プロトン凍結による細胞外小胞の新規保存方法の開発
Development of a novel method for preserving extracellular vesicles using proton freezing
発表者
○佐々木 大輔(1)、安部 博子(1)
所属
(1)産総研 健康医工学研究部門
概要
細胞外小胞(Extracellular vesicles; EVs)は、内包する生理活性物質を効率よく細胞・組織に送達することができる夢の新規治療物質として注目を集めている。しかしながら、現在までに薬事承認はなく、臨床応用には至っていない。その一つの原因としてEVsの特性に起因する保存方法の難しさが挙げられる。したがってEVsを産業利用するためには、EVsの特性を保持したまま一様に保存することができる汎用的な方法を確立することが望まれる。そこで本研究では、膜構造を破壊せずに凍結するプロトン凍結法をEVsに応用し、これまでにない新たなEVs保存方法の確立を目指す。添加材を使用しないEVsの長期保存方法が確立されれば、EVsの臨床応用・産業利用の加速化が期待できる。
光ゲル化、酵素分解、細胞培養
光で即時ゲル化し酵素で分解できる新材料 ~これまでにない細胞操作を実現する新規バイオツール~
A new material implementing rapid-photo gelation and enzyme degradation ‐A novel biotool for unprecedented cell manipulation‐
発表者
○須丸 公雄(1)、沖原 正明(1)、友田 綾花(1)、高木 俊之(1)
所属
(1)産総研 細胞分子工学研究部門
概要
水溶液への光照射によって強くしなやかなハイドロゲルを即時生成、その後酵素分解が可能な新規ポリマー材料を開発した。このポリマーを0.3-1%含む培養液に細胞を分散し光ゲル化させると、細胞はダメージを受けることなくゲルに閉じ込められ、そのまま増殖して500 μmを超える細胞組織体に成長すること、ゲルを溶解させて細胞を取り出せることを確認した。また、ゲル表面への細胞接着制御も可能で、細胞の3次元培養や3Dプリンティングなどの次世代細胞プロセシングへの応用についても検討された。
糖鎖、創薬標的、空間解析
Lectin-IMC:糖タンパク質創薬シーズの空間的選別・検証を可能にする解析基盤
Lectin-IMC: A Spatially Resolved Platform for Selection and Validation of Glycoprotein Drug Targets
発表者
○岡谷 千晶(1)、堀内 梅子(1)、Boottanun Patcharaporn(1)、宮古 圭(1)、久野 敦(1)
所属
(1)産総研 細胞分子工学研究部門
概要
糖鎖修飾異常は多くの疾患に関与し、診断マーカーや創薬標的として注目されている。しかし、創薬標的の特定には統合的検証が不可欠である一方で、糖鎖・キャリアタンパク質・組織内局在を統合的に検証する手法は限られている。本研究では、糖鎖とタンパク質の空間的検証を可能とするLectin-IMCを組み込んだマルチモーダル解析フレームワークを構築した。心筋線維化モデルに適用し、病変微小環境において異常糖鎖修飾を示す糖タンパク質を創薬候補として選別・検証可能であることを示した。本手法は、糖鎖マルチオミクス解析で得られた候補分子の妥当性評価を可能とし、糖鎖創薬を加速する糖鎖空間オミクス基盤技術として位置づけられる。
一細胞解析、再生医療等製品、品質評価法
一細胞トランスクリプトーム解析で評価する細胞の品質 ーMSCの品質管理ー
Evaluation of cellular quality using single-cell transcriptome analysis: Quality assessment of Mesenchymal Stromal Cells (MSCs)
発表者
○河野 掌(1)、永井 武(1)、小林 慶一(1)、石黒 斉(1)
所属
(1)地方独立行政法人 神奈川県立産業技術総合研究所 (KISTEC)
概要
再生医療等製品は市場拡大が進む一方、品質評価法の標準化が課題となっている。本研究では、間葉系間質細胞(MSC)を対象に一細胞トランスクリプトーム解析(scRNA-seq)を実施し、細胞集団構成と分化能・増殖能との関連を解析した。その結果、各ロット間で細胞組成差が認められ、特定クラスター割合が分化能や増殖能と相関した。また、増殖能低下ロットでは老化関連遺伝子の発現上昇を確認した。本手法は、MSC品質の客観的・定量的評価法として、再生医療等製品のポテンシーアッセイや品質標準化への応用が期待される。
糖、ペプチド、タンパク質
糖ペプチド・糖タンパク質の化学的調製を目指した新規反応開発
Development of New Chemical Reactions for Preparation of Glycopeptides and Glycoproteins
発表者
○坂本 一馬(1,2)、明野 純也(1,3)、高須 清誠(3)、生長 幸之助(4)、深谷 訓久(1)、上田 善弘(1,2)
所属
(1)産総研 化学プロセス研究部門、(2)筑波大学 数理物質系、(3)京都大学大学院 薬学研究科、(4)産総研 触媒化学研究部門
概要
糖タンパク質は多様なグリコフォームを含むため、各糖鎖の影響を明らかにするには、均一糖タンパク質の化学合成が不可欠である。従来法では、糖鎖結合アミノ酸を基質として固相合成で段階的に構築するが、多工程であるためライブラリ構築には適さない。本研究では、炭素-炭素二重結合へのラジカル付加を基盤として、天然アミノ酸構造を構築しつつ糖とペプチドを連結させる反応開発を行なった。
生体模倣システム、細胞間相互作用、免疫細胞循環
3Dシェーカー駆動型複数臓器生体模倣システムデバイスの開発ならびにその基礎性能評価
Development and Fundamental Performance Evaluation of a 3D Shaker-Driven Multi-Organ Micropysiological System
発表者
○吉富 廉(1)、杉浦 慎治(1)
所属
(1)産総研 細胞分子工学研究部門
概要
複数臓器生体模倣システム(複数臓器MPS)は、動物実験に代わり、臓器間相互作用を in vitro で再現する技術である。しかし、既存の複数臓器MPSの多くは構造が複雑で、同時に処理できるサンプル数が限られるという課題を有している。本研究では、3Dシェーカーによる培地循環を利用した簡便な複数臓器MPSデバイスを開発した。本デバイスは細胞培養カップと連結ウェルから構成され、高スループットかつ多様な培養手法に対応可能である。さらに、免疫細胞の循環を含む臓器間相互作用の評価や細胞機能の向上が可能であることを示した。現在、肥満モデルをはじめとする臓器間相互作用が重要な疾患応用の開発に取り組んでいる。
細胞死、カスパーゼ、イメージング
自在な炎症度制御が可能な細胞死誘導法の開発を目指したアポトーシスの分子機構の解析
Understanding the molecular mechanisms of apoptosis toward the development of cell death induction methods with tunable inflammatory responses
発表者
○篠田 夏樹(1,2)、平 雄介(2)、楊 倬皓(3)、宮田 佑吾(4)、白崎 善隆(3)、瀬川 勝盛(4)、三浦 正幸(2,5)
所属
(1)産総研 細胞分子工学研究部門、(2)東京大学 大学院薬学系研究科、(3)東京大学 先端科学技術研究センター、(4)東京科学大学 総合研究院難治疾患研究所、(5)基礎生物学研究所
概要
ヒトの身体では日々100億個以上もの細胞が死に、入れ替わっています。細胞はその死に方によって炎症を惹起する場合としない場合があります。アポトーシスは貪食によって速やかに除去される唯一の非炎症性細胞死です。我々は、アポトーシス実行因子であるカスパーゼの細胞内活性化動態を解析する新規技術「Dual FRET imaging system」を確立し、死細胞の貪食を促進する新規分子機構を見出しました。また、この分子機構へと介入することで、貪食に必要な死細胞上の「目印」の露出の様式を変化させることに成功しました。本研究成果は、炎症への影響を自在に制御した細胞死誘導法の開発に資する基盤となることが期待されます。
リアルタイムレポータアッセイ、3次元培養
レポーターを定常発現する表皮細胞株のみで構成された3次元構造体のリアルタイムアッセイへの展開
Real-time reporter gene assay based on 3D layered structures solely consisted of the normal keratinocyte cell line harbouring promoter-reporters.
発表者
○冨田 辰之介(1)、中島 芳浩(2)、近江谷 克裕(3)
所属
(1)産総研 細胞分子工学研究部門、(2)産総研 健康医工学研究部門、(3)ブカレスト大学 生物学部
概要
皮膚用医薬品・化粧品開発では動物実験忌避が顕著で、信頼できるin vitroアッセイが求められる。初代培養由来の表皮モデルは有力だがドナー依存のロット間差が大きい。株化細胞は遺伝子操作等が容易な一方、3次元構造作成が難しく負荷できる化合物の種類が限られる。我々は2種プロモータ駆動の2色ルシフェラーゼを安定発現するHaCaT細胞を構築し層状3次元構造体に培養、IL-8とユビキチンCでバイアビリティを反映した炎症マーカ変動を評価した。構造体は2Dより分化マーカ上昇を示し、構造体への親油性感作性物質負荷で時間依存的・量依存的なIL-8上昇を観測した。加えて、本アッセイで得られる時間-応答曲線のデータパターン分類についても検討した。
エクソソーム、抗体-触媒複合体、生体共役反応
近接標識法に基づくエクソソーム表面のタンパク質修飾
Protein-Modification on Exosome Surfaces Based on Proximity Labeling Methods
発表者
○上田 善弘(1)、舘野 浩章(2)、生長 幸之助(3)
所属
(1)産総研 化学プロセス研究部門、(2)産総研 細胞分子工学研究部門、(3)産総研 触媒化学研究部門
概要
エクソソームは細胞外小胞(EV)の一種であり、細胞間情報伝達や物質輸送に重要な役割を果たす。しかし、高純度エクソソームの簡便な取得技術や機能改変技術が未発達であるため、理解の深化や機能解明が進まず、科学的エビデンスを伴った産業応用の障壁となっている。我々は、若手融合チャレンジ研究の枠組みにより、酸化触媒とエクソソーム抗体を複合化させた触媒反応系を用いることで、エクソソームマーカー選択的な化学ラベル化技術の開発を行った。
筋肉、腱、再生
筋肉は、腱を酸化ストレスから保護する
Skeletal muscle contributes to a protective effect on cells via upregulation of antioxidant responses
発表者
○土屋 吉史(1,2)、田部井 陽介(2)、藤本 雅大(1,2)
所属
(1)産総研 セルフケア実装研究センター 生体・運動機能研究チーム、(2)産総研 健康医工学研究部門 細胞機能解析研究グループ
概要
腱障害は高頻度に発症するにも関わらず治癒に膨大な時間がかかる。そのため、歩行や日常動作に困難をまねく。これまで腱障害に対する様々なアプローチが存在するものの、侵襲性とコストの高さが課題となっている。本研究では腱障害に対する保存療法的アプローチを目指すべく、骨格筋由来の内分泌因子 (マイオカイン) が腱障害に対し保護効果を有するか否かを細胞レベルで検証することを目的とした。 マウス腱の初代培養細胞にマイオカインを添加したところ、酸化ストレス誘導性の細胞死が抑えられていた。この結果は、マイオカインが腱障害時に生じる酸化ストレスに対し保護効果をもつことを示唆している。
5: バイオ計測・評価技術/Bio-measurement and evaluation (P039~P060)
筋萎縮、スクリーニング、機能性食品
筋肉量を調節する成分探索に資する簡便な評価系
A simple evaluation system to identify components that regulate muscle mass
発表者
○安倍 知紀、新海 陽一
所属
産総研 細胞分子工学研究部門
概要
健康長寿を実現するためには、加齢による骨格筋量と質の低下を予防または改善することが重要である。筋肉量を調節する化合物や天然食品成分を探索するためには、筋細胞の筋管径測定がしばしば行われる。しかし、測定には蛍光免疫染色など煩雑な作業と高価な試薬が必要であった。本技術は、安価なメイギムザ染色により約2時間で筋管径を評価する系で、96ウェルプレートを用いた測定が可能である。筋肥大を誘導する成分に加えて、細胞老化、炎症、低栄養などさまざまな原因による筋萎縮を予防または改善する成分探索に応用できる。本技術は、新たな機能性食品開発や機能性表示による価値の向上に貢献するものと期待している。
核内受容体、機能性評価
核内受容体レポーターアッセイによる機能性成分評価系の構築
Establishing a system for functional ingredient evaluation using nuclear receptor reporter assays
発表者
○羽田 沙緒里(1)、前田 史雄(2)、森田 直樹(1)
所属
(1)産総研 バイオものづくり研究センター、(2) 産総研 細胞分子工学研究部門
概要
健康長寿への関心の高まりや、未利用資源の活用、様々な食品素材の高付加価値化を目指して、様々な素材の成分を科学的に評価する手法の開発が重要となっています。本研究では、さまざまな疾患や生理機能に関与することが知られている核内受容体の活性化を指標として、網羅的かつ高感度に評価できるレポーターアッセイ系の構築を行いました。構築した評価系を活用し、多様な素材の機能性を効率的に解析できる手法の確立を目指しています。
PCR、template、Decontamination
遺伝子検査のエラーや情報漏洩を防ぐためのDNA汚染対策技術
DNA contamination prevention technologies to prevent errors and data leaks in genetic testing
発表者
○陶山 哲志(1)、佐々木 章(1)
所属
(1)産総研 モレキュラーバイオシステム研究部門
概要
医療や食品・環境の検査等に欠かせない遺伝子検査は、酵素による遺伝子複製の連鎖反応(PCR)を用いて特定の遺伝子を増幅する過程に大きく依存している。PCRによる遺伝子増幅は非常に鋭敏であり高い効率を発揮する一方で、本来の検査対象ではない遺伝子、例えば他の試料から増幅した遺伝子の断片が少しでも混入すれば、検査に誤りが生じるリスクもまた無視できない。さらに秘匿すべき情報を含む遺伝子を扱う場合には、その漏洩を防ぐことも重要な課題である。当研究グループでは民間企業と共同でPCRで増幅した遺伝子の断片を外部に漏らさずに不活化する装置を試作した。産総研ではこの技術を社会実装するための取り組みを続けている。
DNAオリガミ、ナノポア、リポソーム
DNAナノ構造体による人工細胞膜の機能化
Functionalization of Artificial Cell Membranes Using DNA Nanostructures
発表者
○岩渕 祥璽(1)
所属
(1)産総研 モレキュラーバイオシステム研究部門
概要
近年、DNAの塩基配列設計によって、ナノメートル精度で設計可能な構造体の形成、計算回路の構築、種々の分子修飾結合を用いた生体分子の機能制御が可能になっている。特にDNAオリガミと呼ばれる技術は任意形状の数十~数百nmスケールの機能性ナノ構造の構築が可能であり、将来的なバイオセンシングやナノロボットに向けた応用が期待されている。 本発表では、DNAオリガミを設計・構築する手法および構造体を機能化した例を紹介する。具体的には、膜タンパク質チャネルを模倣した人工ナノポアの構築およびこの人工ナノポアによって人工細胞膜(リポソーム)に対して分子輸送能力を付与した例を取り上げる。
微粒子材料、生体分子、品質評価
生体分子を担持した微粒子の単一粒子ICP-MS評価
Evaluation of Biomolecule-Carrying Microparticles by Single-Particle ICP-MS
発表者
○福田 枝里子(1)、宮下 振一(2)、小椋 俊彦(3)、松浦 俊一(4)、高木 俊之(1)
所属
(1)産総研 細胞分子工学研究部門、(2)産総研 物質計測標準研究部門、(3)産総研 健康医工学研究部門、(4)産総研 化学プロセス研究部門
概要
単一粒子ICP-MSは、微粒子を一粒子ごとに検出し、構成元素に基づいて粒径や微粒子上に担持された生体分子由来成分の量を評価できる。本研究では、タンパク質や脂質成分を担持した微粒子について、元素を指標とした評価法を検討した。従来のバルク測定では捉えにくい粒子ごとのばらつきや担持量の違いを評価できる点が特徴である。本技術は、ドラッグデリバリーシステムや検査薬等に用いられる生体分子担持微粒子の製造工程管理、均一性評価、品質確認等への活用が期待される。
水和構造、誘電率、マイクロ波干渉
生体分子の水和に起因する水の誘電率変化を高感度に検出する方法
High-sensitivity method for detecting dielectric changes in water driven by biomolecular hydration
発表者
○今清水 正彦(1)、杉山 順一(2,3)
所属
(1)産総研 細胞分子工学研究部門、(2)産総研 材料基盤研究部門、(3)東海国立大学機構 岐阜大学高等研究院
概要
我々はこれまで、混合直後の非平衡タンパク質水溶液において、sub-THz帯電磁波照射が水和構造形成を加速することを示してきた。本研究では、水和構造の遅い時間変化を追跡するため、複素誘電率への変換を介さない簡便な評価手法を提案する。従来はノイズとして除去されていた底面反射由来のマイクロ波干渉に着目し、試料長が有効波長の1/4となる条件で生じる相殺干渉を積極的に利用した。その結果、反射損失ピーク周波数のシフトを指標とすることで、生の反射係数から静的誘電率を直接評価でき、ひいては水和構造の時間変化を追跡可能であることを示した。本手法は、sub-THz照射効果の定量化に加え、バイオ・食品・材料分野における水和構造ダイナミクスの汎用的計測技術としての展開が期待される。
sub-terahertz、Na2-5’-guanosine monophosphate、dielectric relaxation spectroscopy
Sub-THz波照射による5′-GMP自己集合の非熱的促進
Non-thermal promotion of 5’-GMP self-assembly by sub-THz irradiation
発表者
○Jade Mouton(1)、今清水 正彦(2)
所属
(1)Department of Physics Measurement、The University of Montpellier、(2)産総研 細胞分子工学研究部門
概要
In our previous study, we demonstrated that sub-terahertz (sub-THz) irradiation can non-thermally accelerate specific DNA base-pair formation in aqueous solution under non-equilibrium hydration conditions. To elucidate the underlying molecular mechanism, we focus on the self-assembly of Na2-5’-guanosine monophosphate (5’-GMP), which forms G-quadruplex (G4) structures governed by two weak interactions, hydrogen bonding and π-π stacking, similar to those in DNA. In general, G4 formation is promoted at high concentration and low temperature. During G4 formation, Na+ ions redistribute from phosphate groups into the central channel of the G4 structure. We hypothesized that this ion relocation would be detectable by dielectric relaxation spectroscopy as changes in conductivity and relaxation properties. We found that sub-THz irradiation induces a distinct conductivity response under specific solution conditions that is not reproduced by thermal effects. This behavior indicates irradiation-dependent modulation of molecular self-assembly mediated by weak interactions, offering a new physical approach for controlling biomolecular structures.
細胞製造、振動、筋細胞
振動刺激を活用した筋細胞の状態制御技術の創出に向けて
Toward the Development of Vibration-Based Technology for Controlling the Cellular State of Muscle Cells
発表者
○赤木 祐香(1)、二宮 啓(2,3)、安倍 知紀(1)、回渕 修治(1)
所属
(1)産総研 細胞分子工学研究部門、(2)研究戦略本部 ネイチャーポジティブ技術実装研究センター、(3)地質調査総合センター 活断層・火山研究部門
概要
再生医療や細胞製造では、目的細胞を安定かつ均一な品質で得るため、薬剤添加に依存しない培養制御技術が求められている。振動刺激はその候補となるが、筋細胞に対して有益に働く条件と過大刺激となる条件は十分に整理されていない。本研究の目的は、筋芽細胞C2C12を対象として、振動刺激を筋細胞の状態制御へ活用するための基礎指針を得ることである。そこで、振動条件に対する細胞数、細胞障害、代謝応答を予備的に評価した。その結果、条件により応答が大きく異なり、過大刺激では障害や代謝ストレスが生じる可能性が示された。今後はCa応答や分化指標を統合し、筋細胞制御に適した条件地図の構築を目指す。
Nanopore sequencing、bioinformatics、microbiome profiling、long-read amplicons
nanoID: Sensitive and accurate recovery of sequence variants enables high-resolution microbiome profiling using full-length 16S rRNA gene nanopore sequencing
発表者
○Dieter Tourlousse(1)、Yuji Sekiguchi(1)
所属
(1)Molecular Biosystems Research Institute、AIST
概要
Near-full-length 16S rRNA gene sequencing using long-read platforms provides a powerful approach for high-resolution microbial identification. Nanopore sequencing, in particular, offers high flexibility and affordability, but bioinformatics tools for accurate analysis of long-read amplicon data remain underdeveloped. nanoID addresses this gap by enabling sensitive and accurate inference of error-free sequence variants directly from long-read amplicons, outperforming existing methods in both accuracy and sensitivity. For microbial isolate identification, nanopore sequencing combined with nanoID is expected to replace traditional Sanger sequencing approaches. Beyond isolate identification, nanoID can substantially improve microbiome studies by enabling reliable, species-level characterization of microbial communities using affordable amplicon sequencing. Together, these advances position nanoID as a key tool for high-resolution microbiome profiling with long-read sequencing technologies.
バイオセンサ、CRISPR/Cas、酸化還元酵素
リガンド誘導型酵素反応を活用した迅速・簡便なバイオセンシング技術の開発
Rapid and Facile Biosensing Technologies Based on Ligand-Induced Enzymatic Reactions
発表者
○繁森 弘基(1)、民谷 栄一(1,2)、古谷 俊介(1)、永井 秀典(1,3)
所属
(1)産総研 モレキュラーバイオシステム研究部門、(2)大阪大学 先導的学際研究機構、(3)大阪大学 工学研究科
概要
酵素の中には、リガンドとの結合を引き金として基質の切断や酸化還元といった触媒活性を発現する物がある。こうした酵素・基質分子は標的分子(リガンド)と混合するだけで光や電気といった信号を増幅するため、バイオセンシングのプロセスを迅速かつ簡便に実行するツールとして有用である。 発表者はこれまでリガンド誘導型酵素反応を活用したバイオセンサの開発に着手しており、本発表では「CRISPR/Cas酵素のヌクレアーゼ化に基づく迅速・多項目DNAセンシング」、「小型電極上でのアポ型酸化還元酵素の活性化に基づく簡便なビタミンB2センシング」について報告する。
分子認識、センサアレイデバイス、構造類縁体・異性体
分子のわずかな違いを識別する分子認識デバイスの開発
Development of molecular recognition devices for the discrimination of subtle differences of analytes
発表者
○南木 創(1)、小島 直(1)
所属
(1)産総研 健康医工学研究部門
概要
化学的性状の似通った構造類縁体・異性体は、その識別に酵素等による前処理や質量分析等の機器分析技術を要することから、簡易に定性・定量することは難しい。そこで我々は、1つの分子認識材料(=ホストモノマー)から複数の分子認識場を導出するセンサデバイスの構築論を提案し、共通の分子骨格を持つ標的分子群の簡易かつ網羅的な分析技術を実証したので報告する。
時系列データ、特異スペクトル解析、周期性
生物時系列データに対する特異スペクトル解析法の適用
Application of the singular spectrum analysis for biological time-series data
発表者
○左倉 和喜(1)
所属
(1)産総研 バイオものづくり研究センター
概要
生物学研究で取得される時系列データには必ずといってよいほどノイズや欠損値が含まれており、時にデータ解析や解釈を不可能にする。一方でプラズマ物理学では、非定常な時系列データに対してノイズ除去と欠損値補完を行う特異スペクトル解析(SSA)という手法が発達していた。そこで、従来は解析困難だったノイズや欠損値の多い生物データにSSAを適用すれば、生物学的解釈を可能にすることができると着想した。本発表では、生物が示すノイズの多い周期データを題材とし、SSAを適用することで周期性解析が可能となったことを示す。将来、SSAが生物学以外の分野で適用されれば、様々な研究開発において時系列データの解釈可能性を底上げできるだろう。
植物、転写因子、酵母
植物転写因子相互作用解析システム
Plant Transcription Factor Interaction Analysis Platform
発表者
○中野 仁美(1)、光田 展隆(1)、坂本 真吾(1)、菅野 茂夫(1)、中村 彰良(1)、鈴木 隼人(1)
所属
(1)産総研 バイオものづくり研究センター
概要
当研究チームは、長年にわたり植物転写因子に焦点を当てて研究や技術開発を進めてきました。モデル植物であるシロイヌナズナおよびイネの全転写因子の9割以上の遺伝子配列を整備しており、これらを用いて各種組換え体の作出や様々な解析を行ってきました。このうち、酵母を用いた転写因子の相互作用解析技術を産学官の研究者および技術者の皆さまに広く提供しています。本解析技術は、96穴プレートとロボットを用いており、任意のプロモーター配列やタンパク質と相互作用する植物転写因子を高感度かつハイスループットに同定することが可能です。その他、植物の遺伝子機能解析技術や付随する技術をご紹介いたします。
ポリマーラッピング、凝集抑制、半導体カーボンナノチューブ
バイオ分子検出に向けた疎水性高分子と半導体カーボンナノチューブの複合材料
Composite materials of hydrophobic polymers and semiconducting carbon nanotubes for detection of biomolecules
発表者
○丹下 将克(1)、加藤 大(2)
所属
(1)産総研 材料基盤研究部門、(2)産総研 健康医工学研究部門
概要
カーボンナノチューブ(CNT)は凝集しやすく、半導体CNTの際立った光学的・電気化学的特徴が損なわれやすい。また、CNTのチューブ構造に依存して電子状態が異なることから、CNTのチューブ構造を選別する技術なしには、半導体CNTの際立った特徴を活かした用途展開が成り立ちにくい。 本研究では、チューブ構造を識別できる疎水性ポリマーを分散剤として、半導体CNT分散液の調製手法を独自開発してきた。最近、凝集を抑制しつつ湿式成膜できる『らせん気流法』を見出した。これら独自技術で、光吸収などの分光スペクトル線幅の極めて狭い半導体CNT複合固体が実現し、他に類のない特性を有する半導体CNT複合膜によるバイオ分子検出への展開が可能になった。
微生物制御、衛生評価、ろ過除菌
微生物接着剤:混ぜるだけで微小細菌の検出精度を高める添加剤
Microbial Cell Glue: Development of Early Detection Technology for Small Bacterial Contamination
発表者
○中井 亮佑(1)、佐藤 佑哉(2)、五十嵐 健輔(1)、山本 京祐(1)、寺村 裕治(2)
所属
(1)産総研 バイオものづくり研究センター、(2)産総研 細胞分子工学研究部門
概要
近年、ろ過滅菌グレードフィルターでは除去できない「微小細菌」がさまざまな場所に存在することが判明しており、飲料製造プロセスや食品などからの検出事例が報告されています。しかしながら、微小細菌は一般的な光学顕微鏡で検出することが困難です。さらに、各種プロセス中の微小細菌のほとんどは一般的な培養技術では分離することも難しい状況です。私たちは、独自の微小細菌株ライブラリを用いてその検出・評価系を構築するとともに、その効率的な捕捉技術として "微生物接着剤" を開発しています。これらを微生物混入(コンタミ)の早期検出や高精度解析に役立てたいと考えています。
国際標準化、光計測、光学顕微鏡
バイオテクノロジー分野における光計測・光学顕微鏡計測の国際標準化
International standardization of optical signal measurement and optical microscopy in biotechnology
発表者
○佐々木 章(1)、丹羽 一樹(2)、中島 芳浩(3)
所属
(1)産総研 モレキュラーバイオシステム研究部門、(2)産総研 物理計測標準研究部門、(3)産総研 健康医工学研究部門
概要
創薬や食品などのバイオ分析では、生体物質の量は蛍光や発光など極めて微弱な光シグナルに変換して測定されている。分析装置の感度や発光試薬の品質を客観的な尺度で評価するために参照用光源などの光学リファレンスの活用が求められている。 これまでに産総研チーム主導のもとで国際規格ISO 24421:2023が審議、発行され、バイオ分析における光測定結果の信頼性向上、相互比較性の確保や測定装置の品質管理などでの活用が進展している。また、光学顕微鏡を用いた定量測定の信頼性向上に向けた国際規格ISO 24479:2024も日本から提案され発行されている。これらの活動を中心に、顕微鏡を分析装置として活用するための取組について紹介する。
海洋生分解性プラスチック、ISO標準化
公設試としての都産技研による海洋生分解性プラスチックISO標準化への取り組み
Efforts of the Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute, as a Public Research Institute, Toward ISO Standardization of Marine Biodegradable Plastics
発表者
○奥 優(1) 、田中 真美(1)
所属
(1) (地独)東京都立産業技術研究センター
概要
海洋生分解性プラスチックの開発と普及のため、プラスチックの分解性の評価方法の標準化が求められている。ISO 16636:2025は、特殊な設備や高度な測定技術に依存しない、実海域における崩壊量の簡便な試験規格である。本規格は産業技術総合研究所を中心としたNEDO委託事業および経済産業省委託事業の成果として提案された。試験方法の開発にあたり、日本バイオプラスチック協会、神戸大学、鹿児島大学および複数の公設試験研究機関が再委託先として協力し、東京都立産業技術研究センターでは東京湾での実海域試験を行った。本発表ではISO発行に関する弊所の取り組みと現在展開している受託試験サービスについて報告する。
ホスホリパーゼD、カルシウム定量、結晶構造解析
カルシウム定量に応用可能なCa2+依存性ホスホリパーゼDの構造
Structure of a Ca2+-dependent phospholipase D applicable to Ca2+ quantification
発表者
○安武 義晃(1)、平田 竜也(2)、野村 駿介(3)、小西 健司(2)、米田 一成(4)、酒瀬川 信一(1,3)、櫻庭 春彦(5)
所属
(1)産総研 バイオものづくり研究センター、(2)ナガセダイアグノスティックス株式会社、(3)旭化成ファーマ株式会社、(4)東海大学 農学部、(5)香川大学 農学部
概要
ホスホリパーゼD(PLD)はリン脂質を加水分解し、ホスファチジン酸と遊離ヘッド基を生成する酵素であり、広く生物界に分布する。Streptomyces由来のPLDにはカルシウム依存的に活性化され、血清カルシウム定量法として応用可能なユニークな酵素が存在する。本研究では、このようなPLDの一つである Streptomyces avermitilis 由来酵素(SaPLD)の結晶構造を決定した。SaPLDはFe3+-Ca2+-Ca2+触媒中心を保持し、さらに活性部位周辺に多数のCa2+結合を有していた。本構造を基盤として酵素の基質選択性や活性機構について考察する。
タンパク質デザイン、小型結合タンパク質、タンパク質多量体
配向調節されたホモ2価小型結合タンパク質の設計技術と応用
Design and application of orientation-regulated homobivalent small binders
発表者
○志賀 翔多(1,2)、渡邊 秀樹(1)、真壁 幸樹(2)、本田 真也(1)
所属
(1)産総研 モレキュラーバイオシステム研究部門、(2)山形大学大学院 理工学研究科 バイオ工学専攻
概要
小型結合タンパク質を連結して作製されるホモ2価二量体は、多様な生理活性を示す分子として機能する。その機能は、二量体を構成する結合ドメインの配向に影響を受けるため、配向を制御する設計技術の拡充が求められている。本発表では、3Dドメインスワッピングというタンパク質多量体化機構を応用した二量体の配向調節技術について報告する。さらに、本技術を基盤として開発したイムノアッセイ増感剤の応用例についても紹介する。
w/oドロップレット、バクテリオファージ、ファージセラピー
Water-in-oilドロップレットを用いた環境中ファージのハイスループットスクリーニング
High-throughput bacteriophage screening from environmental samples using w/o droplet co-cultivation method
発表者
星野 美羽(1,2)、○野田 尚宏(1,2,3)
所属
(1)東京大学 大学院新領域創成科学研究科、(2)産総研 モレキュラーバイオシステム研究部門、(3)産総研 細胞分子工学研究部門
概要
Water-in-oilドロップレット(以下、ドロップレットと記す)を用いて土壌より単離した細菌を宿主として、それに感染するファージのスクリーニングを行った。土壌由来のファージ溶液を調整し、w/oドロップレット内に単離した宿主細菌と共封入することで、この細菌に感染するファージのスクリーニングを行った。この際、ドロップレット内に細胞膜非透過性でファージを優先的に蛍光染色する核酸インターカレーターYOYO-1を封入した。内部でファージ増殖が起こったと示唆されるドロップレットを確認することができた。本技術はファージセラピーを見据えたハイスループットなファージスクリーニングへの応用が期待できる。
w/oドロップレット、細胞膜染色色素、微生物培養
Water-in-oilドロップレット内の微生物増殖検出技術の開発
Development of the method for detecting microbial growth in water-in-oil droplets
発表者
○星野 美羽(1,2)、大田 悠里(2)、森田 雅宗(2)、佐々木 章(2)、野田 尚宏(1,2,3)
所属
(1)東京大学 大学院新領域創成科学研究科、(2)産総研 モレキュラーバイオシステム研究部門、(3)産総研 細胞分子工学研究部門
概要
Water-in-oilドロップレットを用いた微生物培養はそのハイスループット性から近年注目を集めている。ドロップレット培養においてはドロップレットに微生物を封入し、内部で微生物が増殖したドロップレットを識別し、シングルドロップレットレベルで分取する。分取したドロップレットを破壊することで増殖した微生物を回収することができる。これらの一連のシステムにおいて、ドロップレット内部で微生物の増殖を検出する技術については技術開発の余地が残されている。本研究では細胞膜染色色素を用いてドロップレット内での微生物増殖を検出する技術の開発を行った。
w/oドロップレット、微生物資材、土壌細菌
Water-in-oilドロップレット共培養法を用いた微生物資材による個々の土壌細菌への作用解析
Water-in-oil droplet co-cultivation for analyzing the effects of a microbial inoculant on individual soil microbes
発表者
○小林純怜(1,2)、星野美羽(1,2)、佐々木章(2)、森田雅宗(2)、松倉智子(2)、常田聡(3)、野田尚宏(1,2,3)
所属
(1)東京大学 大学院新領域創成科学研究科、(2)産総研 モレキュラーバイオシステム研究部門、(3)産総研 細胞分子工学研究部門
概要
微生物資材は土壌環境や植物生育の改善に寄与するが、個々の土壌細菌への作用解析は十分ではない。本研究ではWater-in-oilドロップレットを用いた共培養により、微生物資材の各土壌細菌への作用を解析する手法の確立を目指した。モデル資材Bacillus subtilisとの共培養から、従来法では培養困難であったStenotrophomonas lactitubiを新たに見出し、両者が共存可能であることを明らかにした。将来的には、微生物資材やプロバイオティクス等に対する共役微生物を、微生物叢の多様な微生物から選抜する手法として、農業や食品産業等の幅広い分野への展開を目指す。
6:生物資源利活用 (Bioresource utilization technology) (P061~P068)
廃水処理、未培養微生物、メタン生成
メタン生成アーキアに寄生するCPR細菌の分離培養と新門Minisyncoccotaの提案
Novel bacteria parasitizing archaea from wastewater treatment system
発表者
○中島 芽梨(1)、中井 亮佑(1)、成廣 隆(1)、黒田 恭平(1)
所属
(1)産総研 バイオものづくり研究センター
概要
Candidate phyla radiation(CPR細菌群)は、かつて未培養細菌の巨大な系統群であり、ゲノムや細胞サイズが小さく生合成回路を欠いていることから、その多くが宿主微生物と寄生または共生的な生活環を持つことが推測されてきた。我々は、嫌気性廃水処理システム内において複数種のCPR細菌とメタン生成アーキアがドメインを超えた寄生関係“cross-domain symbiosis“にあることを発見し、集積培養系を用いた分子生物学的解析やオミクス解析の結果から、これらCPR細菌の候補となる学名を提案した。また、CPR細菌の分離培養に成功し、新種Minisyncoccus archaeiphilus PMX.108T株と記載、CPR細菌群を新門Minisyncoccotaと命名した。本発表では、PMX.108T株の生態や機能、廃水処理に与えうる影響について示す。
水稲、レンコン、長岡
NAGAOKA・AIST-BILおよびJST-COI NEXT事業における作物生産性向上に向けた取り組み
Efforts to Enhance Crop Productivity in Nagaoka City through NAGAOKA・AIST-BIL and JST-COI NEXT
発表者
○富田 駿(1)、黒田 恭平(1)、蒲原 宏実(1)、小林 ひかり(2)、大池 達矢(3)、幡本 将史(4)、野口 太郎(5)、志田 洋平(6)、成廣 隆(1)
所属
(1)産総研 バイオものづくり研究センター、(2)株式会社ホーネンアグリ、(3)十和田グリーンタフ・アグロサイエンス株式会社、(4)長岡技術科学大学 環境社会基盤工学、(5)都城高専 物質工学、(6)長岡技術科学大学 物質生物工学
概要
バイオものづくり研究センター 微生物生態工学研究チームでは、新潟県長岡地域における有機廃棄物を含む生物資源の循環利用をテーマに、長岡・産総研 生物資源循環BIL (NAGAOKA・AIST-BIL)および JST 共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)事業の一環として研究開発を進めている。本発表では、慣行栽培における化学肥料および化学農薬使用量の低減と作物生産性の向上を目的として、長岡地域の主要作物である水稲を対象とした土壌改良資材による収量向上、およびレンコンのセンチュウ病害防除に関する研究成果を紹介する。なお、本研究のうち水稲に関する研究は、JST COI-NEXT「“コメどころ”新潟地域共創による資源完全循環型バイオコミュニティ拠点」の支援を受けて実施した。
硫酸転移酵素、生合成、バイオものづくり
海洋生物に由来する新規硫酸転移酵素の機能解析
Novel Sulfotransferases from Marine Organisms
発表者
Nowshin Farjana(1,2)、三谷 恭雄(3)、加藤 創一郎(1,4)、○蟹江 秀星(1)
所属
(1)産総研 バイオものづくり研究センター、(2)北海道大学大学院 農学院、(3)産総研 モレキュラーバイオシステム研究部門、(4)東京大学 大学院農学生命科学研究科
概要
硫酸転移酵素は生体分子に硫酸基を付加し、その構造や機能を大きく改変する重要な酵素群である。近年、硫酸修飾による薬理活性・物性向上が報告される一方、酵素の多様性や基質特異性の理解は不十分であり、そのことがバイオプロセスによる硫酸修飾分子の生産技術開発のボトルネックとなっている。本研究ではホタルイカにおける発光基質の生合成に着目し、ホタルイカの発光組織のトランスクリプトーム解析と微生物発現により新規硫酸転移酵素2種を同定し、それぞれの基質特異性と硫酸修飾部位の違いを明らかにした。本成果は酵素による選択的硫酸修飾を基盤とした新規バイオプロセス開発への展開が期待される。
ポリアミド4、生分解、バイオマス
N-メチロールポリアミド4の開発(合成・物性・生分解性)
Development of N-methylol polyamide 4: synthesis, properties and biodegradability
発表者
○川崎 典起(1)、日野 彰大(1)、山野 尚子(1)、中山 敦好(1)
所属
(1)産総研 モレキュラーバイオシステム研究部門
概要
ポリアミド4は、自然環境下で容易に生分解されることやバイオマス由来モノマーの利用が可能であることに加え、優れた熱的・機械的特性と分子設計に高い自由度をもつ有用な材料である。その物性は分子鎖間のアミド基による水素結合に起因しており、さらなる用途展開には物性改質が重要である。分子鎖の構造を変化させることで水素結合が影響を受け、物性変化が生じると考えられる。本研究では、主鎖修飾による物性制御を目的として、パラホルムアルデヒドを用いてアミド基をメチロール基で修飾し、修飾度の異なるN-メチロールポリアミド4を合成し、物性および生分解性への影響を調べた。
紫外線反射、撥水性、トンボ
トンボ由来の紫外線反射・超撥水ワックスの比較解析
Comparative analysis of UV-reflecting, ultra-water-repellent waxes derived from dragonflies
発表者
○二橋 亮(1)、小山 恵美子(2)
所属
(1)産総研 モレキュラーバイオシステム研究部門、(2)産総研 エレクトロニクス基盤技術研究部門
概要
演者らは、日差しに強いシオカラトンボなどが分泌する紫外線ワックスに関して、ワックス主成分である極長鎖アルデヒド・極長鎖メチルケトンを複数種合成して、性能の比較解析を行った。その結果、極長鎖アルデヒドと極長鎖メチルケトンでは紫外線反射や撥水性の性能が異なることや、鎖長によっても特徴が変化することが確認された。また、極長鎖アルデヒドと極長鎖メチルケトンの組み合わせを工夫することで、安定した紫外線反射能を再現できることが確認された。紫外線反射や撥水性を向上させる添加物として化粧品分野や塗料組成物としての利用を想定している。
パラミロン、ミドリムシ、ものづくり
ミドリムシから始まるものづくり:貯蔵多糖パラミロンを用いた機能性バイオ材料
Functional Biomaterials from Paramylon of Euglena gracilis
発表者
○秋山 健太郎(1)、谷 知己(1,2)、氷見山 幹基(1)、芝上 基成(1)
所属
(1)産総研 モレキュラーバイオシステム研究部門、(2)中央大学 理工学術院
概要
ミドリムシが貯蔵多糖として生産するパラミロンは、約2,000個のグルコースがβ-1,3-結合により連結した生体高分子であり、材料として以下の優れた特徴を有する。1 分子量がほぼ均一である;2 細胞からの精製が容易である;3 富栄養条件下では乾燥細胞重量の70%以上まで蓄積する;4 溶媒可溶性を示し、分子修飾が容易である。これらの特徴に着目し、私たちはパラミロンを「材料創製のための出発原料」と位置づけて研究を行っている。本ポスター発表では、これまでに作製したパラミロンを基材とした機能性バイオ材料と、先端バイオイメージング技術によるミドリムシの観察結果について紹介する。
微小水滴、PET分解活性検出プローブ、微生物スクリーニング
マイクロドロップレット区画培養と蛍光センシングの統合によるPET分解性微生物探索プラットフォーム
A microdroplet-based screening platform integrating compartmentalized cultivation with fluorescence sensing for PET-degrading microorganisms
発表者
○中村 彰伸(1,2)、野田 尚宏(3)、佐々木 章(1,2)
所属
(1)産総研 モレキュラーバイオシステム研究部門、(2)産総研 サーキュラーテクノロジー実装研究センター、(3)産総研 細胞分子工学研究部門
概要
W/Oドロップレットは、フッ素オイル中で界面活性剤により形成される逆ミセル様の微小水滴であり、多様な微生物をシングルセルから培養可能である。さらに、微小流路デバイスと蛍光検出系を組み合わせることで、特定機能を有する微生物を迅速に取得できる。しかし、従来の蛍光プローブを用いた蛍光検出系では、蛍光プローブのドロップレット間移動に起因する偽陽性が生じる問題がある。本研究では、漏洩を抑制した新規蛍光プローブを設計・開発し、PET分解活性をもつ微生物をW/Oドロップレットにより高精度かつ迅速にスクリーニングする系を構築した。本ポスターではその詳細を報告する。
培養、微生物、接着
Water-in-oilドロップレット内への足場材封入による細胞・微生物動態変化の観察
Observation of changes in the behavior of cells and microorganisms by encapsulation of scaffold materials within water-in-oil droplets
発表者
○高木 悠友子(1)、森田 雅宗(1)、佐々木 章(1)、野田 尚宏(2)
所属
(1)産総研 モレキュラーバイオシステム研究部門、(2)産総研 細胞分子工学研究部門
概要
ナノリットルオーダーの水溶液滴が油相に分散したwater-in-oilドロップレットは固形面の存在しない環境であり、微小培養空間として利用される場合には主に接着を必要としない微生物の単離に活用されてきた。我々は、ドロップレット内に足場となる固形担体を封入することにより、接着面の有無を制御した特殊な環境で細胞や微生物を培養することに取り組んでいる。足場自体が浮遊状態であることから、通常の平面培養とは違う角度から接着状態を観察することも可能である。この手法の発展により、細胞‐物質表面間のシグナルを起因とする細胞挙動変化の理解や、シングルセル培養の特性を活かした新規スクリーニング手法の開発を目指す。
7: バイオものづくり/Biomanufacturing (P069~P085)
ドロップレット、環境微生物、可培養化
ドロップレット高密度培養法を活用した環境微生物の可培養化技術の開発
Development of a high-density droplet cultivation method for environmental microorganisms
発表者
○岩下 智貴(1)、菅野 学(1)、玉木 秀幸(1)
所属
(1)産総研 バイオものづくり研究センター
概要
環境中に生息する微生物の大部分は依然として未培養であり、それらの可培養化は新規かつ有用な生物資源を探索する上で極めて重要な課題である。本研究では、Water-in-oil droplet(WODL)技術を用いた培養手法による環境微生物への可培養化効果を検証した。複数の環境試料から抽出した微生物をWODL内に封入し培養した結果、従来法と比較して約10倍の可培養化率(最大48%)を達成した。さらに、WODL内で培養された微生物群集は、従来法よりも高い多様性を維持していることが示された。以上の結果は、本手法が環境中の多様な微生物を効率的に培養する上で有望なアプローチであることを示唆している。
微生物スクリーニング、water-in-oil droplets
Water-in-Oilドロップレットスクリーニングにおける有用微生物の機能検出系構築に関する取り組み
Development of a functional detection system for screening microorganisms using water-in-oil droplets
発表者
○森田 雅宗(1,3)、高井 亮吾(2,3)、野田 尚宏(1,3)、松倉 智子(1,3)、佐々木 章(1,3)、松岡 諭史(2,3)、緒方 是嗣(2,3)、渡辺 真(2,3)
所属
(1)産総研 モレキュラーバイオシステム研究部門、(2)島津製作所 基盤技術研究所、(3)島津製作所-産総研 アドバンスド・ソリューション連携研究ラボ
概要
有用微生物のスクリーニング技術として注目されているwater-in-oil(w/o)ドロップレットスクリーニングでは、微生物の機能を蛍光に変換し検出する手法が主流である。しかし、機能に応じた蛍光プローブの設計・開発が必要で、蛍光以外の検出系開発は重要な課題である。本発表では、w/oドロップレットを用いて、目的の有用微生物を蛍光検出により獲得するまでの一連のスクリーニングプラットフォームに関する事例とともに、蛍光以外の機能検出系として光学系イメージングによる菌の形態やドロップレット内比色による評価事例について紹介する。
エクソソーム、マイクロ波
マイクロ波照射による細胞外小胞の分泌促進効果
The Effect of microwave irradiation on the promotion of extracellular vesicles secretion
発表者
小高 陽樹(1)、中空 翔(2)、曽我 博文(2)、清水 弘樹(1)、○舘野 浩章(1)
所属
(1)産総研 細胞分子工学研究部門、(2)四国計測工業株式会社
概要
細胞外小胞(EV)は疾患バイオマーカーや再生医療に有用であり、分泌促進技術の確立が求められている。本研究では、温度制御型マイクロ波照射システム(TEMIS)によるEV分泌促進効果を検討した。TEMISは照射中も培養温度を37°Cに維持可能で、細胞死を伴わずマイクロ波照射を実現する。その結果、細胞生存率に変化は認められなかった一方、EV分泌量は非照射対照比で2~3倍に増加した。EVの分子的特性に有意差は認められず、TEMISはEV産生促進技術として有望である。
機械学習、バイオセンシング、バイオものづくり
培地・培養補助剤の品質評価を目的としたバイオ分析技術「Chemical tongue」の開発
Development of a chemical tongue-based bioanalytical technology for quality assessment of cell culture media and supplements
発表者
○冨田 峻介(1)、森川 久未(1)、小島 直(1)、石原 紗綾夏(1)、草田 裕之(2)、玉木 秀幸(2)、栗田 僚二(1)
所属
(1)産総研 健康医工学研究部門、(2)産総研 バイオものづくり研究センター
概要
バイオものづくりや再生医療における細胞・微生物培養では、培地・培養補助剤の品質は生産効率や製品の安定供給に直結する重要な因子である。しかしこれらは複雑な混合物であるため、従来の成分分析では包括的な品質評価が困難であり、細胞培養試験への依存が課題であった。本研究では、構成成分との相互作用に応じて異なる応答パターンを示す蛍光ポリマーアレイ「Chemical tongue」を構築し、血清の産地差・ロット差や幹細胞・微生物培養補助剤の劣化状態を高精度に識別できることを示した。本技術は個別成分分析に依存しない新しい品質管理基盤として、バイオものづくりや再生医療産業における培養プロセスの高度化への貢献が期待される。
細菌、培養、培地開発
微生物培養のための無血清培地の開発
Serum and albumin free media for Microorganisms
発表者
Wichittra Arai(1)、水谷 雅希(1)、森山 実(1)、萩原 陽子 (1)、深津 武馬(1,2,3)、○柿澤 茂行(1)
所属
(1)産総研 モレキュラーバイオシステム研究部門、(2) 東京大学 大学院理学研究科、(3) 筑波大学 大学院生命環境科学系
概要
多くの病原性微生物は宿主からの栄養素を利用して生育するため、その培養には血清等が必要となることがある。しかし血清はロット差があり、多量のアルブミン等のタンパク質を含み、また動物愛護の懸念があるため、血清の使用量の削減が求められている。今回、マイコプラズマという細菌を対象として、血清もアルブミンも含まない培地を開発した。本技術はマイコプラズマの検査・研究・ワクチン製造などに利用できると考えられ、加えて、他の微生物や細胞株にも応用できる可能性がある。
チップタイプカートリッジ、PTFE、リキッドハンドラー
PTFEナノファイバー不織布を用いたチップ型デバイス-バイオ精製カートリッジ-
Tip-type device using PTFE nanofiber nonwoven fabric
発表者
○佐藤 隆(1)、永井 美杉(1)、萩原 梢(1)、富岡 あづさ(1)、坂上 弘明(1)、金井 裕司(2)、吉田 有生乃(2)、佐伯 敦男(2)、大川 皓司(2)、中村 和博(3)、瀬川 修(3)、能勢 正章(2)、久野 敦(1)
所属
(1)産総研 細胞分子工学研究部門、(2)株式会社バルカー、(3)プレシジョン・システム・サイエンス株式会社
概要
我々は自動リキッドハンドラーを用いて生体分子を簡便かつ効率的に濃縮する目的で、ピペットチップの先端を斜めに切断し、切断面に親水化加工したPTFE製ナノファイバーの不織布フィルターを貼り付けたチップ型デバイス-バイオ精製カートリッジを開発した。本カートリッジを取り付けたリキッドハンドラーで試料溶液を吸引するとカートリッジ内に乱流が発生し、内包したアフィニティ担体が効果的に攪拌され、試料溶液中の目的分子の捕捉が促進される。本カートリッジは適切なアフィニティ担体を選択することにより抗体、組換えタンパク質、細胞外小胞の濃縮・精製も可能である。現在、有償にてテストユーザーを募集している。
バイオものづくり、酵母、物質生産
出芽酵母を利用した有用物質生産のための技術開発
Development of technologies for the production of useful substances in budding yeast
発表者
○佐原 健彦(1)、曽根田 真子(1)
所属
(1)産総研 バイオものづくり研究センター
概要
出芽酵母は、食品生産で伝統的に利用されてきた安全な微生物であり、遺伝子組換えの容易さ、生産条件に対する頑健性、ストレス耐性などから、バイオテクノロジー産業で広く利用され様々な化合物の生産宿主としても用いられています。本研究では、出芽酵母を宿主として、遺伝子発現制御技術や発現タンパク質の細胞内局在を制御する技術などの開発を進めております。また、これらの技術を応用して、天然には微量にしか存在しない生理活性物質などの有用物質の効率的な生産技術の開発や生産株の構築など、出芽酵母による有用物質生産の実用化に資する技術開発を目指しています。
カンナビノイド、放線菌、発酵生産
放線菌宿主によるカンナビノイド異種生産技術の開発
Heterologous production of cannabinoids in a Streptomyces host
発表者
○工藤 慧(1)、新家 一男(2)
所属
(1)産総研 細胞分子工学研究部門、(2)産総研 モレキュラーバイオシステム研究部門
概要
大麻草由来の有用成分として知られるcannabidiol (CBD) は向精神作用を示さず、食品添加物や医薬品として注目されている。しかし大麻草には、向精神作用のあるΔ9-tetrahydrocannabinol (Δ9-THC)とCBD双方の生合成経路が共存しているため、植物抽出物由来CBD製品へのTHCの混入が問題となっている。そこで我々は、植物由来遺伝子と放線菌の二次代謝遺伝子を組み合わせた合成生物学的手法を開発し、レアカンナビノイドの一つであるcannabigerolic acid (CBGA) を生産することに成功した。本発表では遺伝子探索や生産株の構築に関して報告する。
進化工学、遺伝暗号拡張、合成生物学
非天然アミノ酸の生産と利用を統合した細胞内進化プラットフォーム
Evolution Platform for Noncanonical Amino Acid Biosynthesis and Translation
発表者
○古旗 祐一(1)
所属
(1)産総研 モレキュラーバイオシステム研究部門
概要
遺伝暗号拡張は、新機能を有する非天然アミノ酸(ncAA)を目的タンパク質へ部位特異的に導入できる強力な技術であるが、ncAA供給や対応するアミノアシルtRNA合成酵素(aaRS)開発の困難さが実用化の障壁となっている。本研究では、酵母におけるin vivo高速遺伝子進化系OrthoRepを基盤に、ncAAの生産と利用を統合した進化プラットフォームを構築した。aaRSおよびncAA合成酵素を連続進化させ、高効率なncAA翻訳系と、安価なフェノール誘導体から非天然チロシンを生産可能な酵素群を獲得した。これにより、細胞内完結型の新たな遺伝暗号拡張技術を実証した。
適応的実験室進化、ドロップレット、加水分解酵素
微生物の環境適応を応用した新規加水分解酵素の創出
Development of novel hydrolytic enzymes through adaptive laboratory evolution
発表者
○櫻井 莉久(1)、西川洋平(1)、相馬悠希(1)
所属
(1)産総研 バイオものづくり研究センター
概要
加水分解酵素は、未利用資源の有効活用や持続可能なバイオプロセスの構築に資する中核的バイオ触媒であり、機能の多様化と高活性化が重要な課題となっている。申請者はこれまでの研究において、環境微生物が適応進化により獲得したと推測される加水分解酵素が、従来にない配列情報や反応特性を示すことを実証してきた。そこで本研究では、適応進化を実験室内で加速的に誘導する「適応的実験室進化」を活用し、有用加水分解酵素の創出を可能とする基盤技術の確立を目指す。
生分解性プラスチック、沿岸域、微生物叢解析
沿岸域でのポリヒドロキシ酪酸(PHB)分解に関わる微生物叢
Microbial consortia involved in polyhydroxybutyrate biodegradation in coastal waters
発表者
○黒田 恭平(1)、日野 彰大(2)、中山 敦好(2)、成廣 隆(1)
所属
(1)産総研 バイオものづくり研究センター、(2)産総研 モレキュラーバイオシステム研究部門
概要
本研究では、日本沿岸の15カ所から海水を採取し、遺伝子情報を取得してPHBの分解に関与する微生物を実験室レベルで評価した。その結果、これまで知られていなかったものも含めて多数の分解菌と分解酵素がPHBの分解に寄与していること、また、分解過程が進むごとに関わる微生物の種類が変わることが明らかになった。このことは、PHBの生分解にとって海水に含まれる微生物の多様性が重要であることを示している。この成果は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託業務(JPNP25009)の結果得られたものです。
ウイルス、ファージ、環境微生物
ウイルス遺伝資源の利活用に向けた機能解析と技術開発
Functional analysis and technical development for the utilization of viral genetic resources
発表者
○高橋 迪子(1)
所属
(1)産総研 バイオものづくり研究センター
概要
環境中には膨大かつ多様なウイルスが存在しており、その配列情報は近年のメタゲノム解析の進展により急速に蓄積されている。しかし、その多くは未培養・未解析のままであるため機能情報が乏しく、遺伝資源としての活用は十分に進んでいない。発表者は環境ウイルス由来遺伝資源の利活用に向けて、探索・合成・高速スクリーニングを可能にする技術基盤の構築を目指している。本発表では、その進捗とこれまでに確立したウイルス株の機能解析について紹介する。これらの技術は、バイオものづくりに加えて環境影響評価や病原ウイルスの迅速検出など、幅広い分野への応用が期待される。
一次産業、害虫防除、バイオスティミュラント
動植物×微生物の共創で切り拓く サステナブルな一次産業技術の開発
Sustainable AgriTech through plant/animal-microbe co-creation
発表者
○菊池 義智(1)、礒田 玲華(1)、原 沙和(1)、伊藤 英臣(1)
所属
(1)産総研 バイオものづくり研究センター
概要
本研究は、動植物と微生物の共創関係に着目し、一次産業の持続可能性向上に資する革新的技術の開発を目的とする。植物―微生物相互作用を活用した作物の生育促進やストレス耐性付与に加え、微生物資材の活用による施肥・農薬使用量の削減など、環境負荷低減型農業の実現を目指し研究開発を進めている。また、害虫の生態理解に基づくエコフレンドリーな防除技術や、腸内細菌を活用した養殖効率向上技術の開発にも取り組む。さらに、有用微生物の単離・定着技術の高度化を通じて応用範囲を拡張し、生産性向上と環境保全を両立する次世代型一次産業の構築に貢献する。
植物育種、ゲノム編集、転写因子
植物機能制御で切り拓く次世代植物育種とその応用
Advancing Next-Generation Plant Breeding through Plant Functional Regulation
発表者
○藤原 すみれ(1)、菅野 茂夫(1)、中村 彰良(1)、大島 良美(1)、中野 仁美(1)、貴嶋 紗久(1)、武井 敬仁(1)
所属
(1)産総研 バイオものづくり研究センター
概要
産総研・植物機能制御研究チームでは、植物が本来持つ力を最大限に引き出し、社会課題の解決に貢献するための独自技術の開発を進めています。現場ニーズに基づいて育種目標等の課題を設定し、その応用展開を推進しています。具体的には、独自の網羅的リソースやデータベース、新技術を活用した育種ターゲットの選定、各種の高度解析技術による遺伝子機能および形質の評価、先端的なゲノム編集技術の開発と活用による高機能植物の創出、さらに従来技術を発展・高度化したバイオものづくり技術の開発を進めています。本発表では、当チームの強みであるこれらのコア技術を紹介します。
植物、物質生産、機能性タンパク質
機能性タンパク質を大量に生産できる植物の開発
Development of plants for high-level production of recombinant proteins
発表者
○松尾 幸毅(1)
所属
(1)産総研 バイオものづくり研究センター
概要
外来遺伝子を生物に導入して機能性タンパク質を生産する技術は広く利用されているが、植物ではRNAサイレンシング機構により外来遺伝子の発現が抑制され、生産効率の低下が課題となっていた。これまでにRNAサイレンシング機構の主要因子に変異を導入して生産性を高めた植物を開発してきたが、生育不良や不稔が問題であった。そこで本研究では追加の遺伝子改変を行い、生産性の高さを維持しつつ正常な生育と種子形成を両立する植物体の作出に成功した。本成果により、機能性タンパク質の低コスト生産が可能となり、医薬品や再生医療分野での応用が期待される。
植物バイオものづくり、植物工場、植物改良
植物バイオものづくりの実装にむけた植物改変技術と先端栽培システムの統合的活用
Integrated utilization of plant engineering technologies and advanced cultivation systems for the implementation of plant-based biomanufacturing
発表者
鈴木 隼人(1)、厚見 剛(1)、鄭 貴美(1)、福澤 徳穂(1)、松尾 幸毅(1)、○坂本 真吾(1)
所属
(1)産総研 バイオものづくり研究センター
概要
バイオものづくり研究センター・植物分子生産研究チームでは、植物を用いた有用物質生産・バイオものづくり研究に取り組んでいる。 具体的には、1) 植物有用物質の生合成遺伝子探索、2) ゲノム編集や遺伝子組換えによる生産宿主の改良、3) 独自のウイルスベクターシステムによるタンパク質大量生産、4) 遺伝子または環境制御によるバイオマス生産制御、5) 水耕栽培と最新式密閉型植物工場を活用した有用物質の高生産など、多様な技術を統合することで、総合的な植物バイオものづくりの研究プラットフォームを構築している。 本発表では、当チームが有するコア技術・独自技術について紹介する。
P450、ライブラリ、放線菌
世界最大のP450ライブラリ
The world’s largest P450 library for Bioproduction
発表者
○北川 航(1)
所属
(1)産総研 バイオものづくり研究センター
概要
チトクロムP450ファミリーの酵素は様々な化合物に対し水酸化反応を触媒することで知られ、物質生産に有用な酵素群である。 バクテリアのゲノム情報からは数十万のP450が見いだされるが、そのほとんどが基質・反応等不明であり、遺伝子資源の有効活用は出来ていない。 そこでこれらの遺伝子を多数クローニングし、放線菌で発現ライブラリを構築した。 これにより有望なP450酵素を簡単にスクリーニングすることが可能となった。
8: 食品関連技術/Food-related technology (P086~P090)
ケクロモジ、TGR5、PPARγ
高知県産食用植物ケクロモジのTGR5およびPPARγ活性化、その活性化成分の同定
TGR5 and PPARγ Activation by Pinocembrin and Pinostrobin Isolated from Lindera sericea
発表者
○宮田 椋(1)、鈴木 大進(2)、岡﨑 由佳(2)、岩井 健人(3,4)、西脇 永敏(3)、中島 芳浩(1)
所属
(1)産総研 健康医工学研究部門、(2)高知県工業技術センター、(3)高知工科大学、(4)奈良女子大学
概要
高知県産食用植物であるケクロモジを研究対象とし、代謝調節関連受容体であるTGR5およびPPARγの活性化を、リアルタイムレポーターアッセイにより評価した。ケクロモジのメタノール抽出物にTGR5およびPPARγの活性化が確認され、rac-ピノストロビンおよびrac-ピノセンブリンを活性化成分として同定した。キラルカラムによる両化合物の光学分割も行い、アッセイを実施したところ、TGR5およびPPARγの活性化には顕著な立体選択性が認められなかった。本研究は、様々な生理活性標的の転写活性化を動態的に評価可能な技術基盤と、新たな機能性食品素材の創出につながる技術シーズを提供する。
納豆菌、M1マクロファージ、抗ウイルス免疫応答
納豆菌BN株が誘導するM1マクロファージの抗ウイルス免疫応答の解明
Elucidation of the antiviral immune responses induced by Bacillus subtilis BN strain in human M1 macrophages.
発表者
○飛田 啓輔(1)、澤畠 真名美(1)、今泉 啓一郎(2)、忽那 圭子(2)、三好 孝則(2)
所属
(1)茨城県産業技術イノベーションセンター、(2)アサヒ目黒研究所株式会社
概要
M1マクロファージは感染防御において重要な役割を果たす。発酵食品である納豆の感染防御機能は経験的に知られてきた。納豆から分離した納豆菌BN株は整腸・免疫調節作用を有する。本研究では、BN株がM1マクロファージの抗ウイルス免疫応答に及ぼす影響を調査した。その結果、BN株はTLR7/8リガンド刺激下を含め、抗ウイルス性および抗炎症性サイトカインの遺伝子発現を増強した。また、TLRシグナル関連分子の発現とリン酸化を促進したが、NFκBノックダウンによりサイトカイン発現が低下した。以上より、BN株はTLRシグナルを介して抗ウイルス免疫応答を増強することが示唆された。
マイクロバイオーム、小型魚類計測、組換えタンパク質生産
産総研発!陸上養殖・フードテックの高度化に向けた解析・探索・介入統合プラットフォーム
Integrated Platform for Discovery, Analysis, and Intervention in Aquaculture and Food Technologies
発表者
○迎 武紘(1)、出口 友則(1)、竹内 美緒(1)
所属
(1)産総研 モレキュラーバイオシステム研究部門
概要
本研究では、陸上養殖およびフードテックの高度化に資する解析・探索・介入統合プラットフォームを提案します。産総研発の3つの要素技術、魚類マイクロバイオーム解析による魚病解析、小型魚類を用いたハイスループット探索基盤、鶏卵バイオリアクターによる組換えタンパク質生産を統合し、解析×探索×介入に基づく評価技術を確立します。特に、養殖用の幼魚(稚魚・種苗)の生産性向上に向けた技術基盤を構築し、水産分野へのバイオディープテックの導入を促進します。これにより、持続可能な食料安全保障の強化および水産サプライチェーンの高度化を実現します。
乳酸菌、プロバイオティクス、機能性
地域資源としての乳酸菌の産業利用
Industrial Utilization of Lactic Acid Bacteria as Regional Resources
発表者
○堀江 祐範(1)
所属
(1)産総研 健康医工学研究部門
概要
乳酸菌はヒトにとって有益な微生物の代表であり、整腸作用や免疫賦活作用のほか、様々な機能性が報告されている。機能性を含む乳酸菌の性状は株によって異なり、機能性のほか、発酵能や安全性など食品への利用可能性について新規菌株の分離が多く試みられている。日本には多くの伝統的発酵食品があり、それらの中には乳酸発酵を伴い、多くの乳酸菌を含むものが知られている。また、地域の環境や農産物にも乳酸菌が棲息する。これら地域の乳酸菌は、生息する環境に適応してきたと考えられ、特徴的な性質が期待される。地域の発酵食品や環境を地域独自の乳酸菌のリザーバーととらえ、その活用の試みについて紹介する。
メイラード反応、味噌、抗酸化
味噌の加熱処理による抗酸化作用の増強
Enhanced antioxidant effect using heat treatment of miso
発表者
○瀬戸山 央(1)
所属
(1)地方独立行政法人 神奈川県立産業技術総合研究所
概要
味噌は高い抗酸化作用を有しており、その要因として味噌の製造過程で生じるメイラード反応生成物、メラノイジンが関与していることがいわれている。本研究では、市販味噌のメイラード反応を促進させるため、加熱処理を行い、抗酸化作用に対する影響を明らかにすることを目的とした。市販の米味噌3種類について、80℃1時間、180℃15分間の加熱処理を行い、抗酸化性測定を行った。その結果、すべての味噌で180℃15分間加熱処理で抗酸化性の増強が認められた。また分子量分画した場合、高分子量画分の抗酸化性が強いことが示され、加熱処理によりメイラード反応が促進、生成したメラノイジンが抗酸化作用の増強に寄与することが示唆された。
9: NCCEサテライト室のご紹介/Satellite room at National Cancer Center East Hospital (SP01)
医療機器、医療支援技術、ヘルスケア
NCCEサテライト室のご紹介
Satellite room at National Cancer Center East Hospital
発表者
○鎮西 清行(1,2)、葭仲 潔(2,1)
所属
(1)産総研 健康医工学研究部門、(2)産総研 セルフケア実装研究センター
概要
健康医工学研究部門では、国立がん研究センター東病院のNEXT医療機器センター内に、AISTサテライトスペースを設置しました。OILのような本格的・公式の「研究拠点」ではなく、「溜まり場」に近い位置付けですが、病院のフロア内に作られた産総研の出島として活用いただければ幸いです。 NEXT医療機器センターは、2017年の発足後、医療機器スタートアップを6社誕生させ、国産3社目の手術支援ロボットシステム”ANSUR”、リアルタイム手術支援AI”SurVis-Hys”を含む数件の薬事承認品目を産んだ実績を有する、日本で最も活発な医療機器産業エコシステムとして注目されています。 このサテライトスペースでは本格的な実験を行うことはできませんが、同病院で実施する臨床研究で用いる機材の保管、同病院で得られる各種のデータアクセスなどが可能です。これらの研究開発は、個別の共同研究契約のもとに実施します。スペース費用は交付金で負担しています。産総研内の研究者の皆様に広くご活用いただければと考えておりますので、お気軽にご相談ください。
