須丸 公雄/SUMARU Kimio
細胞分子工学研究部門
Cellular and Molecular Biotechnology Research Institute
細胞制御マテリアル研究グループ 上級主任研究員
- ポリマー溶液を光で瞬時にゲル化する技術
- 光で瞬時に水溶化できるポリマー材料
- 自然乾燥で自発架橋するポリマーコーティング材料
光に応答して素早くゲル化/水溶化するポリマーなど種々の新規光応答性材料を開発、細胞を生きたままゲルに閉じ込めたり、培養基材上での分別・配列したり、これまでにない細胞プロセシングを、光制御によって実現する技術を確立しました。また、抗菌・ウイルス特性を発揮するポリマーコート技術の開発も進めています。
ポリマー溶液を光で瞬時にゲル化する技術
光で水溶液を即時(0.5s~)ゲル化できるバイオ無侵襲ポリマーを開発しました。希薄(<1%)溶液からしなやかで壊れにくいハイドロゲルを即時形成できます。あらゆる細胞をゲルに閉じ込めて培養することができ、それを生きたまま取り出すことも可能です。形成されたハイドロゲルを水中で膨潤させると、元の10倍を超える体積で膨潤平衡に達し、含水率99.99%の状態でも、手でハンドリングすることができます。新規細胞培養システムや3Dゲルプリンタのほか、付着防止・防汚加工などへの応用が見込まれます。また、全く新規な光架橋メカニズムに基づくので、フォトレジストや光接着剤、光応答止血剤などへの展開も期待されます。
- 特願2022-197076(2022-197076):ポリマー材料
- 特願2025-112151(2025/07/02):ポリマー及びその製造方法
光で瞬時に水溶化できるポリマー材料
中性の水系において、室温を含む幅広い温度範囲で、水をほとんど含まない固体状態から、わずかな光照射で速やかに水溶化するポリマー材料を開発しました。 そしてこのポリマーを塗布して細胞培養基材を構成、この表面に足場依存性細胞を播種すると接着伸展する一方、光照射に応答して速やかに基材表面から剥離することが観察されました。これにより、培養基材上で形状やサイズ、位置情報に基づいて解析(オンプレートサイトメトリー)した細胞を、局所光照射によって生きたまま選択的に剥離回収できることを実証しました。精密細胞分別による品質管理を可能にする自動細胞培養システムのニーズに応える要素技術を提供します。
- 特許第6685564号(2017/12/14):高分子化合物およびこれを用いた細胞操作方法
- K.Sumaru et al., Biomacromolecules, 2018, [doi/10.10.1021/acs.biomac.8b00470]
自然乾燥で自発架橋するポリマーコーティング材料
エタノール溶液や水溶液としてコートすると室温などのマイルド条件で自発的に架橋し、安定なコーティング層を形成する材料を開発しました。比較的簡便なプロセスで合成、そのまま溶液として、安価に提供することができます。有効成分を含むコート溶液を用いると、架橋網目に有効成分を保持、除法するコーティング層を形成、その網目サイズは自由にチューニング可能です。抗菌・抗ウイルスコーティングの構成や材料表面への細胞接着性付与の他、防曇・防汚加工の手段として用いることもできます。
- 特願2024-033982(2024/03/06):コーティング剤