脳遺伝子研究グループ(つくばセンター)
◇研究紹介◇
脳は、最も複雑かつ高度な機能を有する組織の一つです。この脳および神経系の機能破綻は、現在の社会においても治療困難な多くの疾患を引き起こします。私たち脳遺伝子研究グループは、脳神経系の動作機序を理解するための基礎研究から、治療・創薬を目指した応用研究を通して、各種神経疾患の発症原因を理解し、その抑制や治療に資する新規知見および解析技術を創出することを目指しています。現在以下のような研究に注力しています。
- 遺伝子発現のキーとなる核内イベントの可視化とエピジェネティック解析による神経成熟機構の解明
- 細胞骨格や核内構造体の動態制御メカニズムの理解による細胞分化と再生機構の解明
- 神経回路網形成の制御機構と動作メカニズムの理解による神経精神疾患発症機構の解明
- 新規モデル動物を用いたアルツハイマー病等変性疾患の発症原因の解明と治療技術の開発
- 超解像レベルの可視化技術を用いた新規顕微イメージング技術の開発
◇業績リスト◇
|2024年|2023年|2022年|2021年|2020年|2019年以前|
◇関連トピックス◇
- 2022/09/15 受賞「一般社団法人 日本液晶学会 論文賞(A部門)」
◇技術シーズ紹介◇
◇メンバー◇
氏名 | 役職 | 研究テーマ | 研究内容 |
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新海 陽一 | 研究グループ長 |
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線虫C.elegansを活用した老化や神経機能を制御する機能性性物質の評価や、殺線虫剤の評価を行っています。また、液―液相分離に着目して、疾患発症メカニズムの理解、新規創薬ターゲットの創出、創薬スクリーニング系・疾患モデルの構築を行っています。 |
加藤 薫 | 主任研究員 |
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ナノ精度の光学顕微鏡イメージングに関する研究をしています。対象は分子、ウイルス、細胞~組織です。 1)超解像顕微鏡観察で実績(複数の学会賞受賞、NHKに画像提供)2)無染色のナノ観察でウイルス感染細胞も識別可能(共同研究:感染研)3)自動化超解像顕微鏡は2万枚/日で画像を取得。AI用超解像ビックデータを取得中(AIセンター)。 |
佐々木 保典 | 主任研究員 |
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慢性炎症が徐々に進行すると、がん、糖尿病など多くの疾患の原因となります。これらの疾患を予防・治療するには慢性炎症の段階で早期発見することが肝要です。そのために、新規マーカーを用いた血液検査等により簡便・迅速に炎症部位を特定する方法の開発を行っています。それにより健康長寿社会の実現を目指します。 |
落石 知世 | 主任研究員 |
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開発したアルツハイマー病の発症初期の病態を示すモデルマウスを用いて、認知症発症のメカニズムを解析します。また、習慣的な運動が認知機能を改善することが知られていることから、運動が発症初期の患者の脳機能に及ぼす効果のメカニズムを探るとともに、認知症の予防効果が期待される物質の探索を行います。 |
長崎 晃 | 主任研究員 |
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細胞の形を決定しているのは、細胞骨格です。病変部における異常な細胞は周囲の正常な細胞とは全く違う細胞形態をしています。つまり、異常な細胞骨格が検出できれば、病変部を特定することが可能になります。私は細胞骨格を標的にした新たな細胞染色法を開発し、病理診断などへの応用と実用化に向けた研究を行っています。 |
海老原 達彦 | 環境安全部 ライフサイエンス実験管理室 総括主幹/グループ付 |
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母系の1遺伝子不全から発症するアンジェルマン症候群について、マウスの培養神経細胞や脳組織を用いて、神経発達への遺伝子の役割や発症過程を追求する。ASEMを用いて細胞核やシナプスの微細構造を解析する。 |