細胞・生体医工学研究グループ(関西センター)
◇研究紹介◇
細胞・生体医工学研究グループでは「生体の機能調節のメカニズムの解明」という生命科学研究を基盤とし、臨床検査・治療・快適な生活環境のデザインといった医工学領域の社会的ニーズへのソリューションを提案することを志した応用研究を行っています。
- 精神的ストレスの評価、各種疾患の早期診断に有用なバイオマーカーの探索を行っています。特に、脂質酸化物のバイオマーカーとしての有用性検証と脂質酸化のコントールによるマラリア感染症等の治療への応用研究を進めています。
- 細胞の機能を制御している遺伝子の動的変化を可視化・測定することにより、医療や細胞工学技術への展開を試みています。安全な再生医療の実現等の応用展開に資する基盤技術の開発に取り組んでいます。
- がん関連因子の探索とナノ粒子への異分子修飾技術に基づいて、新たながん治療法を開発しています。
- アルパカ由来抗体をバイオマーカー計測や抗体医薬品へ応用することを目指し、蛋白質工学に基づいた新規抗体創出技術の開発を行っています。
- 脳機能に立脚した聴覚のメカニズムの解明と、音質の心理・生理評価に関する技術開発を行い、ヒトにとって快適な居住空間の提供を目指した研究開発にも展開していきます。
- ヒトなどの生物群集の数理モデルを用いた解析によって生命現象を予想し、新たな問題解決手法として産業展開を図っていきます。
◇業績リスト◇
|2024年|2023年|2022年|2021年|2020年|2019年以前|
◇関連トピックス◇
- 2024/12/1 広報誌「ざ・らいふ」2024年12月号p3. 領域長賞受賞者の言葉「ライフサイエンス実験に関する業務効率化への貢献」赤澤陽子
- 2024/10/1 広報誌「ざ・らいふ」2024年10月号p2. 研究グループ紹介 細胞・生体医工学研究グループ
- アルパカへの抗原免疫による新規シングルドメイン(VHH)抗体の取得
- in silicoスクリーニングによる高親和性VHH抗体の予測
- 蛋白質工学を利用した抗体安定化と多価抗体や抗体―薬物複合体の開発
- ストレス・疲労の客観的評価方法の開発
- 精神疾患の客観的評価法・診断マーカーの開発
- 脂質酸化物測定技術の開発
- 見えない音の発生源の見える化
- 見えない音の質(価値)の定量化
- 音を活用したデジタルセラピューティクス(DTx)
- 糖質を低分子を抗原認識するモノクローナル抗体の開発
- イムノグロブリン精製カラムの開発
- 糖脂質・α-linked Galの免疫誘導活性、IgMの精製
- 生物の群れの動きにヒントを得た(Bio-inspired)群制御
- 生物個体の分化と集団の分業の数理モデル
- 群れの空間構造・動きの対称性を利用した拡張可能で安定な群れの生成
- 高機能タンパク質材料の開発
- 医療用タンパク質デバイスの開発
- タンパク質集積化技術の開発
- 月経前症候群(PMS)の動物モデル開発
- マウスを用いた性周期と不安様行動の関連解析
- AI技術を用いたヒトの感情変動の推定と予測
◇技術シーズ紹介◇
◇メンバー◇
氏名 | 役職 | 研究テーマ | 研究内容 |
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赤澤 陽子 | 研究グループ長 |
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私たちはラクダ科動物由来シングルドメイン抗体であるVHH抗体の効率的な取得を目指して、アルパカへの抗原免疫と次世代シーケンサー解析を組み合わせた「ヒット抗体予測システム」を開発しました。本システムは抗原に結合するVHH抗体や物性予測に活用でき、VHH抗体の治療・診断用医薬や素材開発に利用できます。 |
七里 元督 | 生命工学領域研究企画室 研究企画室長/研究部門付 |
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脂質酸化物に着目し、ストレス関連性疾患(うつ病、PTSD、パニック障害、不安障害等)の診断に有用な客観的指標の開発を行っています。また、脂質酸化物・脂質メディエーターのコントロールによる疾患治療法(ストレス、疲労、マラリア原虫・インフルエンザウイルス感染症などを対象)の開発を行っています。 |
添田 喜治 | 上級主任研究員 |
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①3Dマイクロホンを活用し、迅速・簡易・安価に音源を可視化する研究を進めています。②人間の音質評価メカニズムを活用し、空調等の機械騒音、スピーカー等の音響機器、店舗等の空間の音質評価に関する研究を進めています。③音を活用した健康増進のための音響デジタルヘルスに関する研究を進めています。 |
奥田 徹哉 | 上級主任研究員 |
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糖質を低分子を認識する抗体を高効率に誘導できる糖脂質抗原を考案しました。この抗原を含むリポソームを免疫する手法にて、作成が困難であった糖鎖や低分子を認識する抗体の取得に成功しています。応用が進んでいないIgMクラスの抗体の利活用に向けてIgMの精製方法の確立にも取り組んでいます。 |
中村 真理 | 主任研究員 |
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動物の群れモデル(Boid)で複数種から成るものを扱っています。種類毎に個体行動や相互作用を変えると多様な群れパターンが現れますが、中でも特に群れの分布や動きに対称性を持つものが高い安定性を示します。これを利用して個体の行動則を設計し、機能的に動作する群れの構築を目指しています。 |
山添 泰宗 | 主任研究員 |
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血清アルブミン、酵素、抗体など様々なタンパク質を用いて、医療や診断分野において役立つ高機能なタンパク質材料の開発に取り組んでいます。 |
丸山 迪代 | 研究員 |
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多くの女性が月経前の心身の不調に悩まされており、これらは月経前症候群(PMS)と呼ばれています。現在は排卵を抑制する薬(低用量ピル)の服用が主要な治療法となっていますが、服用中は妊娠できないなどの課題も多いため、より良い解決策の提案を目指して、マウスとヒトを対象として研究を進めています。 |