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活断層・地震研究セミナー

研究者間の意見交換,議論を目的とした公開セミナーです.
一般の方でも聴講可能ですが,内容は専門家向けです.産総研では立ち入りに手続きが必要ですので,外部の方で聴講を希望される場合,予め問い合わせページからご連絡ください(報道,行政機関の方は,所属もお知らせ下さい).折り返し,当日の入館手続きをご連絡させていただきます.

2017年度 2016年度 2015年度 2014年度

第114回 6月30日(金) 14:00-15:00 国際セミナー室(7-8-326)

ニュージーランド・トンガリロ火山帯におけるS波低速度領域の分布

講演者:木下佐和子(地質情報・地球物理研究グループ)

ニュージーランド北島のトンガリロ火山帯は,太平洋プレートがオーストラリアプレートに沈み込むことで形成されたタウポ火山帯のなかで,最南端に位置する火山地域である.

トンガリロ火山帯は火山活動が活発であるため,地下にはメルトや揮発性物質が存在していると考えられている.先行研究では,地殻浅部の地震波速度構造や比抵抗構造より,メルトや揮発性物質の存在が示唆されているが,地下深部に関しては,現在まで詳細な構造はわかっていない.

そこで本研究では,トンガリロ火山帯の地下約100kmまでの詳細な地震波速度構造を求め,地下深部のメルトや揮発性物質の分布を明らかにするために,トンガリロ火山帯の地震波形データを用いてレシーバ関数解析を実施した.

まず,レシーバ関数の振幅を断面に投影し,太平洋プレートのモホ面とオーストラリアプレートのモホ面をイメージングした.さらに,レシーバ関数のインバージョン解析を実施し,火山帯の地下50kmまでのS波速度を求めた.その結果,太平洋プレートのモホ面はトンガリロ火山帯南部では地下100km以深まで連続してイメージングされたが,火山帯直下では70km程度の深さまでしか連続してイメージングされなかった.さらに,オーストラリアプレートのモホ面は,トンガリロ火山帯直下では不連続になっていた.これらは,火山帯下のメルトやマントルによる地震波減衰の影響だと解釈することができる.また,トンガリロ火山帯の下にはVsが2.5km/s以下のS波低速度領域が深さ20kmに広範囲に分布していることがわかった.このS波低速度領域には,メルトや揮発性物質が存在していると考えることができ,本研究の結果より,メルトや揮発性物質はトンガリロ火山帯より南に約40kmの領域まで広がっていることが示唆された.

第113回 6月23日(金) 14:00-15:00 国際セミナー室(7-8-326)

特定サイトの地震時断層変位量の評価にかかる不確定性

講演者:吾妻 崇(活断層評価研究グループ)

内陸活断層で地震が発生する際の被害予測においては,地震動による被害だけでなく,断層上やその周辺で発生する地表面のずれによる被害に対する検討も重要である.地震時断層変位量の評価は,過去の複数の事例に基づく経験式(回帰式)に基づいて通常行なわれる.したがって,評価値を上回る事象が発生することはある種必然的であるが,その可能性を定量的に見積もっておくことは,不確定性のリスク評価を行ううえで必要なパラメータとなってくる.本発表では,地震時断層変位量の評価に伴う不確定性を整理・区分し,そのうちの地表地震断層に沿った変位量の変化と評価式によって導かれる値との比較を行った結果を紹介する.

第112回 6月16日(金) 14:00-15:00 国際セミナー室(7-8-326)

SSEが地震発生時間に及ぼす影響

講演者:大谷 真紀子(地震テクトニクス研究グループ)

南海トラフなどプレート境界では,地震発生領域の深部などでゆっくり地震(SSE)が繰り返し発生する.2014年Papanoa地震はSSEが地震を誘発したとみられる場合であり,SSEと地震発生の関係性に注目する必要がある.本研究では,地震発生領域の近くでSSEが周期的に発生する場合を想定し,SSEが地震発生時間に及ぼす影響を簡単な1次元モデルを用いて調べる.

第111回 6月9日(金) 14:00-15:00 国際セミナー室(7-8-326)

岐阜県南東部, 屏風山断層周辺の断層帯発達過程-応力場の変化に伴う断層帯の応答-

講演者:香取拓馬(地震テクトニクスグループ)

中部日本に分布する活断層帯は, 大局的にNE-SW走向とNW-SE走向の直交する断層幾何学で特徴づけられる.これら断層帯の形成過程や時代性については, 既知のプレートモーションの解像度と比較し著しく低い現状にある. そこで本研究では, 岐阜県南東部に位置する屏風山断層周辺を対象とした地表踏査, 断層岩の構造解析・化学分析を行い, 高解像度な断層帯発達過程の解明を目指した. 当断層周辺には, 様々な時代の岩石(ジュラ紀~鮮新世)が分布しており, 断層活動に時代の制約を与えることに適している.

調査解析の結果, 断層帯の形成は始新世の逆断層運動で開始され, 格子状の小規模な断層群で特徴づけられる. その後, 南北圧縮(中期中新世)→NE-SW圧縮(鮮新世)を経て, 1.5Ma以降に現在の応力場と調和的なWNW-ESE圧縮応力場に転換したことが明らかとなった. また, 広域的な調査の結果, 数10kmオーダーの断層帯まで成熟した時期は1.5Ma以降であり, 活構造骨格およびその配置が形成されたのは比較的最近である可能性が高い.

第110回 6月2日(金) 14:00-15:00 国際セミナー室(7-8-326)

侵食地形の解析にもとづいて隆起速度の空間的差異を定量化する試み

講演者:大上隆史(地震災害予測研究グループ)

侵食地形の"険しさ"と隆起速度の関係を解明することは古典的な研究課題であり,隆起速度を反映するような指標値の抽出が試みられてきた.この研究課題に対して,高解像度地形データや各種年代測定法の普及を背景に,最近20年程度で急速に議論が発展し,新しい解析手法が開発されてきた.本発表では最新の研究動向の一部をレビューし,日本の山地と河川システム群を対象として進めてきた事例研究にもとづいて「侵食地形」や「堆積地形・堆積物」を指標として「隆起速度」を定量的に比較可能か議論する.

第109回 5月19日(金) 14:00-15:00 国際セミナー室(7-8-326)

日奈久断層帯海域部における"Seismic Trenching"を用いた断層活動履歴の解明

講演者:八木雅俊(地震災害予測研究グループ)

海域活断層の調査で用いられる音波探査は,その特性から上下変位が主体の正断層や逆断層に比べ,水平変位が主体の横ずれ断層の把握は原理的に困難とされてきた.本研究では,こうした課題を克服するSeismic Trenchingの確立を目指した.検討対象断層として,日奈久断層帯海域部の八代海海底断層群を選定し,高分解能地層探査を稠密に実施することで,3次元的な地下構造の把握を行った.その結果,溝状地形を変位基準として右横ずれの検出に至った.ここでは,その成果と今後の課題について報告する.

第108回 5月12日(金) 14:00-15:00 国際セミナー室(7-8-326) 

2015年9月鬼怒川大水害による浸食・堆積過程

講演者:松本 弾(海溝型地震履歴研究グループ)

洪水は津波と同じく陸域を広く浸水させる自然災害であり,両者の堆積物を識別することは重要であるが,現世の洪水堆積物の詳細な記載例は多くない.本発表では,平成27年関東・東北豪雨の際に鬼怒川の氾濫によって形成された浸食痕や洪水堆積物を流向や浸水深と合わせて詳細に記載した.その結果,その堆積学的・微化石学的特徴が,越水から破堤へと至る鬼怒川の氾濫過程と対応していることが明らかになった.

第107回 4月28日(金) 14:00-15:00 国際セミナー室(7-8-326)

トレンチ調査が示す日奈久断層帯高野-白旗区間の活動履歴

講演者:白濱 吉起(活断層評価研究グループ)

2016年4月に発生した熊本地震では,布田川断層帯が主に活動し,約34kmに渡って地震断層が出現した.隣接する日奈久断層帯では地表地震断層がその北端にのみ生じたが,余震活動は断層帯中央部の日奈久区間にまで及んでおり,大地震の発生が危惧される.そのため,我々は同断層帯における活動履歴の詳細 を明らかにすることを目的に,北側の高野-白旗区間においてトレンチ調査を実施した.本トレンチでは壁面に明瞭な断層と地層の変形が確認され,15000 年前以降に4~5回のイベントが確認された.発表ではその詳細について紹介し,議論を行う.