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11活断層・地震研究セミナー

研究者間の意見交換,議論を目的とした公開セミナーです.
一般の方でも聴講可能ですが,内容は専門家向けです.当面の間はTeamsを用いたオンラインで開催いたします.外部の方で聴講を希望される場合,予め問い合わせページからご連絡ください.

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第328,329回 7月5日(金) 11:00-12:00 第3会議室・及びTeams 

点群法線ベクトルを用いた震源クラスタリングによる令和6年能登半島地震の断層面形状抽出
Multi-scale fault geometries of the 2024 Mw 7.5 Noto Peninsula Earthquake from hypocenter-based clustering of point-cloud normal vectors

講演者:佐脇 泰典(地震テクトニクス研究グループ)

震源分布は三次元点群データとみなすことで,地下の断層面形状を反映することが期待される.我々は点群法線ベクトルと震源位置からなる6次元特徴ベクトルのクラスタリングにより,断層面形状を抽出する手法を開発した.この手法を令和6年能登半島地震の余震分布に適用した.半島直下において,主に4枚の断層面を抽出し,断層長はそれぞれ約20 kmだった.北岸では南南東傾斜と,輪島東部周辺では東南東傾斜の構造が見られた.一方,門前周辺では,東傾斜という明らかな面形状変化が見られた.地殻変動,津波,応力場,重力異常,本震すべり分布などから,抽出したこれらの面が持つ地震学的背景や能登半島の地震テクトニクスを議論する.

 

 

明応津波は史上最大の津波か?-浜松平野の津波堆積物からの考察-

Was the Meiō Tsunami the largest in history along the eastern Nankai Trough? - A consideration from the tsunami deposit in the Hamamatsu strand plain -

講演者:藤原 治(研究部門長)

明応(東海)地震(M8.2-8.4 )は1498年9月11日(明応七年八月二十五日)に発生した.京都・奈良の揺れは震度4~5弱とそれほど大きくはないが,紀伊熊野は震度6,静岡市清水区では震度6強~7と推定され,熊野湯峰温泉の湯が止まったことが知られる.これらは明らかに東海地震の特徴である.この地震は歴史上の他の東海地震に比べて津波が大きかったことで有名である.伊勢大湊では1000軒余りの流家,5000人の流死,伊勢・志摩では1万人が流死との記事がある.この津波はより長い期間で見ても最大規模と言えるだろうか?静岡県浜松市の海岸平野では過去6000年程度の間に津波や高潮で形成されたと考えられる堆積層が見つかる.その中で明応地震によると考えられる津波堆積物は,地震発生時の海岸から内陸1km以上にまで厚く堆積している.過去6000年程度の浜松平野の地形発達と津波堆積物の時空分布パターンから,明応津波が過去最大であった可能性を議論する.

第327回 6月21日(金) 11:00-11:30 オンライン(Teams) 

航空機LiDAR点群のフィルタリングと地形表現図の作成,および地形判読の補助AIに関する研究開発
Research and Development on Point Clouds Observed by Airborne LiDAR

講演者:篠原 崇之(地震災害予測研究グループ)

航空機で観測されたLiDAR点群は地形判読や防災,都市のインフラ管理などに用いられている.この点群を利活用する際においては,地面の点群のみを抽出するフィルタリング作業,地面の点群から地形表現図を作成する作業,地形表現図を目視判読する作業が重要になる.これらの作業に対して,講演者が前職で行っていた作業の自動化や効率化に関する研究開発内容を紹介する.

また,4月の着任後から,目視判読の効率化を行うAIに関する研究開発に着手しているため,簡単なデモを行う.

第326回 6月14日(金) 所内限定
第325回 6月7日(金) 11:00-11:30 オンライン(Teams)

個別要素法を用いた地層変形挙動の数値シミュレーション

Discrete Element Simulations of Deformation Behavior in Sandy Soils

講演者:片桐 淳(地震災害予測研究グループ)

個別要素法(Discrete element method: DEM)は,摩擦性固体粒子集合体の数値シミュレーション手法で,砂や岩,粉体などを対象に様々な分野で利用されている.4月の着任後から,DEMを地震時における断層すべり,ならびに,地表面変形解析に応用する研究に着手している.本発表では,DEM解析の概略,これまで地盤防災や資源開発などの分野でDEMを応用した事例を紹介する.また,着手し始めた断層すべりのDEM解析の研究計画についても簡単に紹介する.

5月17日(金)に予定していた第324回セミナーは都合により中止となりました

沖縄県与那国島に分布する正断層の断層帯構造と変形集中過程

Fault zone architecture and deformation localization of the normal fault in Yonaguni Island, Okinawa Prefecture

講演者:大橋 聖和(地震テクトニクスグループ)

沖縄県与那国島には,後期更新世の隆起サンゴ礁段丘を約10〜20 m北落ち変位させる活断層が多数分布し,単位面積あたりの断層長は主要活断層帯である宮古島断層帯を超える.発表者らは,海岸沿いに露出する複数の断層露頭において,本断層の性状や発達過程,広域テクトニクスとの関連性を明らかにする調査を行なってきた.島の東部では断層ガウジ・断層角礫帯からなる幅約20 mの断層コアと,その周囲に小規模なカタクレーサイト帯からなる片側幅約60 mのダメージゾーンが分布する.本発表では,区分した断層帯構造,断層帯の幅と変位量との関係性,断層コアへの変形集中過程の3つを紹介する.