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活断層・地震研究セミナー

研究者間の意見交換,議論を目的とした公開セミナーです.
一般の方でも聴講可能ですが,内容は専門家向けです.当面の間はTeamsを用いたオンラインで開催いたします.外部の方で聴講を希望される場合,予め問い合わせページからご連絡ください.

2021年度 2020年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度 2015年度 2014年度

第246回 9月24日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams) *第245回は所内限定開催

微小地震の震源メカニズム解に基づく日本全国地殻応力場の推定

Estimation of Crustal Stress Orientation in Japan from Focal Mechanism Solutions of Small to Microearthquakes

講演者:内出 崇彦(地震テクトニクス研究グループ)

地下の応力場を推定する手掛かりの一つとして,微小地震の震源メカニズム解が挙げられる.Uchide (2020)では深層学習によるP波初動極性の自動読み取りにより,11万件ほどの微小地震の震源メカニズム解を決定した.本研究ではさらに解析対象を拡大して,50万件以上の微小地震の震源メカニズム解を決定した.そのうち,精度よく求まった21万件余りの震源メカニズム解を使って,日本列島内陸部及び近海について,20km以浅での応力場を推定した.地質境界を境に応力方位が急変する例が見られたり,局所的な応力方位の異常が見られたりするなど,得られた応力場には興味深い特徴がいくつか見られたので,今後の応力地図作成の見通しと併せて報告する.

第244回 9月6日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams)

陸上ボアホール歪観測による紀伊半島沖浅部SSEの検出

Detection of shallow SSE off the Kii Peninsula by onshore borehole strainmeter

講演者:板場 智史(地震地下水研究グループ)

2020年12月上旬から翌1月下旬にかけて,紀伊半島沖熊野灘において活発な浅部微動活動が観測された.2020年12月中旬~翌1月中旬にかけては,産総研のボアホール歪観測3点においてわずかな変化が観測された.観測された歪変化からプレート境界面上におけるすべりを仮定して断層面を推定したところ,微動発生域のうち西側・深部側においてMw6.2のすべりが推定された.微動発生域全体がすべったと仮定して断層面を推定したところ,その規模はMw6.6と推定された.

海域のボアホールにおける間隙水圧観測などによると,この領域では繰り返し浅部SSEが発生していることが報告されている.観測条件が良好な場合については陸域のボアホール歪観測でも有意な変化が検出され断層モデルの推定が可能であることが分かっている(例えば2016年4月).スタッキング手法を用いて過去の観測波形を網羅的に調査したところ,これらのイベント以外にもいくつかの浅部SSE発生の可能性がある事例が検出された.陸域の観測網は,浅部SSE発生領域からは大きく離れており,海溝軸(dip)方向へのすべりの広がりを把握することは困難である.一方でstrike方向の広がりなど,大まかな全体像を把握するには有用であると考えられる.

第243回 9月3日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams)

機械学習による橋梁の損傷推定を想定した教師データセットの生成

Generating machine learning datasets on damage identification using finite element bridge model

講演者:竿本 英貴(地震災害予測研究グループ)

近年,機械学習は土木分野で積極的に適用されているが代表的なベンチマーク・データセットは十分に整備されていない.ベンチマーク・データセットを構築することは,機械学習のアルゴリズム評価や活用促進のために必要不可欠と考える.

以上の観点から,本研究では橋梁モデルに対する有限要素解析を通じて橋梁の損傷推定に対するデータセット(ノイズ・欠損を含まない)を 4 段階の難易度に分けて提案する.19の機械学習アルゴリズムに生成したデータセットを入力し,各アルゴリズムから得られた決定係数を基にデータセットの可否を評価した.

第242回 8月27日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams)

九州南方沖の活断層と巨大噴火堆積物

Active faults and deposits of supereruptions in the southern offshore area of Kyushu

講演者:岡村 行信(名誉リサーチャー)

鹿児島県薩摩半島から大隅半島南方沖の反射探査断面を解析し,後期更新世以降の巨大噴火堆積物と,それらに変形を与える活断層及び沈降帯の分布を明らかにした. 地溝帯と言われている鹿児島湾との関係や,巨大噴火と断層活動との関係を議論する.

第241回 7月30日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams)

奥尻島周辺海域の海底地質と変動地形

Geology and Tectonic Geomorphology around the Okushiri Island, SW Hokkaido, Japan

講演者:大上 隆史(地震災害予測研究グループ)

奥尻島周辺海域において,地質調査船「白嶺丸」による研究航海(GH94航海,GH95航海)で取得された音波探査記録にもとづき,海底地質のとりまとめを進めている.調査対象海域が位置する日本海東縁の「ひずみ集中帯」と呼ばれる領域は地震活動が活発であり,逆断層に伴う顕著な変動地形が発達している.本発表では先行研究をレビューし,層序および変動地形の検討結果を報告する.

第240回 7月16日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams)

視認困難な津波堆積物の識別:防潮林帯での検討

Identification of invisible tsunami deposits: a case study at the coastal forest

講演者:篠崎 鉄哉(海溝型地震履歴研究グループ)

過去に発生した津波の痕跡は必ずしも目視で確認できる形態で地層中に保存されているわけではない.そのため,津波履歴・規模をより正しく推定するためには,視認可能な堆積物だけでなく,視認困難な堆積物を識別する必要があり,その手段の確立が求められている.本発表では,青森県おいらせ町の防潮林帯において視認困難な津波堆積物の識別を堆積学的・地球化学的観点から検討した結果について報告を行う.

第239回 7月9日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams)

中国・四国地方における地震波速度構造の推定と地殻応力場に対する考察

Estimation of seismic velocity structure in the Chugoku and Shikoku regions and its considerations for the crustal stress fields

講演者:椎名 高裕(地震テクトニクス研究グループ)

中国・四国地方の地殻応力場は概ね東西圧縮の横ずれ場として特徴付けられる.一方,山陰地域や中央構造線北側の一部の領域では圧縮軸方位が西北西-東南東方向を向くことが知られている[例えば,Uchide, 2020; 今西・他, 2021].本研究では,中国・四国地方の地殻応力場の不均質性やその成因を地殻構造の観点から検討することを目的として,両地域における3次元地震波速度構造の推定を試みた.本発表では推定された地震波速度構造を示すとともに,中国・四国地方の不均質構造やそれらと地殻応力場との関係を議論する.

第238回 7月2日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams)

単一地震計の非同一成分の相互相関を用いた地震波速度変化のモニタリング

Temporal change of seismic velocity by using the single-station cross-correlation of ambient noise

講演者:二宮 啓(地震災害予測研究グループ)

2つの地震計で観測された地震記録の相互相関を計算することで,観測点間を伝播する仮想的な地震波を抽出できる(地震波干渉法).この地震波干渉法を単一地震計の非同一成分に適用することで,観測点周辺を伝播する地震波を抽出できる.2観測点間の地震波干渉法では減衰の影響によって,高周波数の波を抽出することが難しい場合があるが,単一地震計の場合は高周波数の波を抽出でき,よりローカルな構造を反映できる.本研究では,熊本地震によって生じた地震波速度変化を単一地震計の相互相関関数を使って推定した.本発表では,手法の説明と推定した地震波速度変化の考察を行う.

第237回 6月25日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams)

High resolution marine surface Δ14C reconstructions using marine organisms produced carbonate attached to tetrapods ashored by high-wave in northern Pacific Coast of Japan

講演者:レゲット 佳(活断層評価研究グループ)

Radiocarbon is produced in the upper atmosphere and distributed in surface of the Earth via carbon cycles and has been used for radiometric dating and as a tracer of Earth surface processes including ocean current. Due to global ocean circulation, apparent radiocarbon ages ranging from ca. 400 to 2,000 years (eg., Servettaz et al., 2019), known as marine reservoir ages. Thus, continuous monitoring of radiocarbon concentrations, Δ14C, has been conducted commonly using annual bands of coral skeletons to reconstruct local oceanography (eg., Hirabayashi et al., 2019). Though, it has mainly been restricted in low latitude since warmer water (higher than 18 degree C) is required to live for corals. One of the few studies that reconstructs the Δ14C values in higher latitude, such as Tohoku region, in Japan, Kubota et al. (2018) reported the Δ14C values in the inner bay of Otsuchi area using M.stimposoni shells. Yet the records could not cover recent Δ14C variations. Additionally, the M.stimposoni samples used in this study are mostly collected from 20 m deep from the sea surface, only one sample collected from shallow water at around 5 m water depth thus more information at shallow water is needed. Ota et al. (2019) also reported high resolution Δ14C records using abalone shells. However, habitat difference for individual tests could not provide the reference of local marine water Δ14C. In this study, we reconstruct the Δ14C of the sea surface by analyzing the calcium carbonate calcareous tubes of Hydroides elegans, which lives at ambient sea level. The samples were obtained from Iwate Prefecture and the carbonate tubes are found on tetrapods at an elevation of 7~8 m and were 30 m away from the nearest group of wave-dissipating blocks. According to the aerial photographs we identified the exact timing when the tetrapods were dislodged. Eighteen samples of carbonate tubes of Hydroides elegans have filled the gap of the dataset previously published by Kubota et al. (2018).

第236回 6月18日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams)

三重県南伊勢町の湖底堆積物に残された過去3000年間のイベント堆積物

Event deposits in a coastal lake at Minami-ise Town, Mie Prefecture during the last 3000 years

講演者:嶋田 侑眞(海溝型地震履歴研究グループ)

三重県南伊勢町に位置する沿岸湖沼「こがれ池」の湖底堆積物から16枚のイベント堆積物が確認された.16枚のうち9枚では,肉眼観察により顕著な層相変化を認められなかったが,CT画像を用いることで有機質泥中の密度変化や堆積構造が確認された.イベント堆積物の堆積年代を推定するため,137Cs測定と大型植物化石および花粉を測定物とした放射性炭素同位体年代測定を行った.年代測定結果からベイズ統計を用いたAge-Depthモデル(Bchron;Haslett & Parnell, 2008)を作成した結果,16枚のイベント堆積物は過去約3000年間に形成されたことが明らかになった.E4,E5については,それぞれ1361年正平地震,887年仁和地震に対応する可能性がある.また,珪藻化石群集分析を行い,過去3000年間における古環境を復元した結果,最上位のイベント堆積物E1の上位では,汽水種の割合が増加することが分かった.E1は,137Csが検出されはじめる層準(検出限界)よりも上位に位置することから,1959年伊勢湾台風による高潮堆積物である可能性が高い.

第235回 6月11日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams)

Poly-cataclasites

ポリカタクレーサイト

講演者:Yeo Thomas(地震テクトニクス研究グループ)

Poly-cataclasites are rocks that have undergone multiple episodic deformational histories. These rocks retained the microstructures developed from older deformational events. They are a common occurrence in the Median Tectonic Line Japan and can be used to evaluate the changes in rock deformational processes throughout the earthquake cycle in the seismogenic zone. We are able to identify two main deformational events based on the mineralogical and microstructural evidence. Microstructures of the co-seismic phase relates to the randomly oriented clast developed through fluidisation. Clast that are foliated formed during the aseismic phase through creeping accompanied by the precipitation of phyllosilicate minerals and the consumption of feldspathic minerals. This study provides insights into the underlying deformational processes during the earthquake cycle.

第234回 5月28日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams)

Sea level Change and Fault Movement from Sediment Cores near Ube, Yamaguchi

講演者:Evan Tam(活断層評価研究グループ)

Changes in the earth’s surface are recorded in many types of proxies, including within sediments from the sea floor. Sea sediment cores retrieved from off the coast of Ube-shi, Yamaguchi-ken in the Seto Inland Sea have given us the opportunity to investigate a wide variety of topics, such as changes in sea level over the past 10,000 years, and fault activity associated with the Kikugawa fault zone and the Ube-nanpo-oki fault, which still require detailed parametrization to estimate average slip rates and slip intervals. Utilizing 14C dating of shell and bulk sediments subsampled from ocean cores and sediment elemental analysis, we are exploring how sea level has changed in the Seto Inland Sea over the last 10,000 years, and assessing fault activity recorded within our sediment cores.

第233回 5月21日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams)

数値シミュレーション研究による大地震発生メカニズムの探究

Study on physical mechanisms of large earthquake generation using numerical simulations

講演者:浦田 優美(地震テクトニクス研究グループ)

大地震現象の理解・発生メカニズムの解明に向けて,数値モデル・シミュレーション研究を主軸に研究を進めてきた.断層破壊過程の基礎的な研究では,大地震に至る要因の一つと考えられている,thermal pressurization(摩擦発熱による間隙水圧上昇による断層摩擦の弱化)が断層の破壊伝播過程に与える影響を定量的に明らかにした.基礎的な研究に加え,岩石摩擦実験や自然地震のデータを基にしたモデリング研究にも取り組んできた.岩石実験の不安定すべり時のデータから摩擦パラメータを推定する手法を提案し,摩擦パラメータが累積変位量と載荷速度に依存することを示した.また,2016年熊本地震の前震—本震系列を再現するために必要となる背景応力場と断層摩擦パラメータの条件を求めた.本発表では,これらの研究内容を簡単に紹介したい.