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活断層・地震研究セミナー

研究者間の意見交換,議論を目的とした公開セミナーです.
一般の方でも聴講可能ですが,内容は専門家向けです.産総研では立ち入りに手続きが必要ですので,外部の方で聴講を希望される場合,予め問い合わせページからご連絡ください(報道,行政機関の方は,所属もお知らせ下さい).折り返し,当日の入館手続きをご連絡させていただきます.

2016年度 2015年度 2014年度

第106回 3月24日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

トレンチ調査から明らかになった日奈久断層帯日奈久区間の活動履歴

講演者:東郷 徹宏(活断層評価研究グループ)

日奈久断層帯は,平野と九州山地西縁との明瞭な地形境界を成し,断層南東側が相対的に隆起する上下成分を伴う右横ずれ断層とされている.2016年熊本地震では,まず日奈久断層帯の高野-白旗区間が活動をし,北端で接する布田川断層帯に断層破壊が進展したものの,日奈久断層帯全体の破壊には至っていない.そこで,本研究では,日奈久断層帯の活動履歴をより詳細に明らかにすることを目的に,宇城市小川町南部田地区でトレンチ調査を行った.本発表では日奈久区間の活動履歴について発表を行う.

第105回 3月17日(金) 14:00-15:00 国際セミナー室(7-8-326) *いつもと時間が変わります.

2016年熊本地震で誘発された大分県の地震

講演者:今西 和俊(地震テクトニクス研究グループ)

2016年熊本地震では,本震の震源域から明らかに離れている大分県においても地震が発生した.この地震は熊本地震本震の地震波の通過に伴い発生しており,動的に誘発された地震と解釈されている.気象庁はこの地震のマグニチュードを5.7(参考値)と発表しているが,もう少し規模が大きいことがその後の研究で指摘されている.この地域では地震発生前から別府-万年山断層帯の重点調査研究で臨時観測が行われており,さらに,熊本地震後の合同観測でも観測点が設置された.この稠密観測データを用いて一連の活動の震源分布および発震機構解を推定した.発表ではこれらの解析結果を紹介するとともに,大分地震が発生したメカニズムについて議論する.

第104回 3月10日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

珪藻類を用いた地殻変動の復元

講演者:澤井 祐紀(海溝型地震履歴研究グループ)

珪藻類は,水分の存在するあらゆる環境に適応している単細胞藻類であり,種ごとにその分布範囲が大きく違う.演者は,この生態学的な特徴を利用して,堆積物中の珪藻化石から過去の環境変動・地殻変動を復元してきた.今回は,その研究例として,北海道の地殻変動等について紹介する.

第103回 3月3日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

八代海における日奈久断層帯の地質構造

講演者:岡村 行信(首席研究員)

2017年熊本地震で北端部が破壊した日奈久断層帯の南西部八代海における断層の構造を,2010年に得られた高分解能音波探査データを用いて再検討した.その結果,八代海で日奈久断層の走向が時計回りに変化し,その南側にpull-apart basinが形成されていること,さらに南側の八代海南部では断層が不明瞭になることが明らかになった.この構造の変化は先新第三系の地質構造の影響と推定される.

第102回 2月24日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

紀伊半島沖における浅部SSE

講演者:板場 智史(地震地下水研究グループ)

2016年4月1日,紀伊半島沖のプレート境界においてMw5.9(USGS)の地震(以下,本震)が発生した.本震直後から,産総研の陸上観測点3カ所で歪変化が観測され,1週間程度継続した.また,本震の数日後から約2週間後まで,浅部(海溝軸付近~8km程度)で活発な微動活動や,浅部超低周波地震(VLF)が観測された.観測された歪変化から,浅部(4~12km)においてSSEが発生した事が分かった.この断層面は,本震・余震域より浅部側に位置し,より広範囲である.本震によって浅部SSEが誘発され,それによって浅部側の微動・VLFが誘発したと考えられる.紀伊半島沖において浅部SSEが観測されたのは,これが初めてのケースである.

第101回 2月3日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

長岡平野西縁断層帯海域部の断層分布と活動性について

講演者:阿部 信太郎(地震災害予測研究グループ)

文部科学省委託調査事業「内陸及び沿岸海域の活断層調査」の一環として,長岡平野西縁断層帯海域部において海底活断層調査を実施した. この断層帯は小千谷市付近から新潟沖まで連続する活動度A級の活断層帯とされている.この断層帯は,いくつかのセグメントに区分され,このうち新潟沖に至る最も北側のセグメントは,西翼が緩やかに傾斜し,東翼が急傾斜する非対称性を有する背斜構造として沖合約25㎞まで連続する. 現在,新たに取得したデータに加えて,既存の音波探査記録と海上ボーリング結果についても再解析を実施し,断層の分布・性状と活動性を検討中である.今回のセミナーでは,その途中経過を報告する.

第100回 1月20日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

露頭観察に基づく中央構造線断層の摩擦特性

講演者:高橋 美紀(地震テクトニクス研究グループ)

中央構造線は長期にわたる活動履歴を有し,活動履歴の長さから,過去に断層破砕帯が地下の様々な深度に位置していたときの特徴が保存されている.三重県飯高町粟野-田引露頭では脆性領域で物理条件の異なる多様な変形構造が見られる(Shigematsu et al., 2017, accepted).本研究では,粟野-田引露頭にて観察される断層ガウジの生成された深度に対応した物理条件(温度・圧力・間隙水圧)での摩擦特性を調べることで,中央構造線の強度履歴を明らかにすることを目的に高温・高圧下で変形実験を実施したので進捗を報告する.

第99回 1月13日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

平林観測井の20年間の水位観測から求めた透水係数の変化と3回の揚水試験による透水係数との比較

講演者:松本 則夫(地震地下水研究グループ)

平林観測井は野島断層を深さ623.1~625.3 mで貫いて掘削された井戸である.その後約20年にわたり地下水位の観測を継続している.地下水位観測から求めた透水係数は1996~2006年までほぼ一定で,その後徐々に小さくなり,2011年東北地方太平沖地震と2013年淡路島の地震後に一時的に上昇したことがわかった.揚水試験は掘削直後(1996年)と2000年,2016年1月に行なわれた.3回の揚水試験から求めた透水係数は,水位観測から求めた透水係数とほぼ一致した.2016年1月の揚水直後に行なった温度検層の結果より,平林観測井での主な帯水層はケーシングに対し穿孔が行なわれた深さ630~650mではなく,200m以浅であることがわかった.

第98回 1月6日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

北勢観測点の井戸の密閉による地下水位の地殻歪応答の改善

講演者: 北川 有一(地震地下水研究グループ)

南海トラフのプレート境界で発生する短期的SSEの推定において,愛知県西部から三重県北部の地域に質の良い地殻変動・地下水の観測点がないことが懸案の一つである.2016年5月,三重県北部に位置する北勢観測点の観測井戸を密閉して,地殻変動への応答が良い地下水観測点に作り変えた.潮汐現象から推定した水位の地殻歪応答(密閉後)は,密閉前の約10倍に改善したと推定できた.また,2016年5月以降に北勢観測点周辺で発生した短期的SSEの断層モデルから期待される水位変化を推定し,水位の観測結果との比較を行うことで,短期的SSEの推定にどの程度活用できそうかを報告する.

第97回 12月9日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

平林観測井の20年間の水位観測から求めた透水係数の変化と3回の揚水試験による透水係数との比較

講演者: 松本 則夫(地震地下水研究グループ)

平林観測井は野島断層を深さ623.1~625.3 mで貫いて掘削された井戸である.その後約20年にわたり地下水位の観測を継続している.地下水位観測から求めた透水係数は1996~2006年までほぼ一定で,その後徐々に小さくなり,2011年東北地方太平沖地震と2013年淡路島の地震後に一時的に上昇したことがわかった.揚水試験は掘削直後(1996年)と2000年,2016年1月に行なわれた.3回の揚水試験から求めた透水係数は,水位観測から求めた透水係数とほぼ一致した.2016年1月の揚水直後に行なった温度検層の結果より,平林観測井での主な帯水層はケーシングに対し穿孔が行なわれた深さ630~650mではなく,200 m以浅であることがわかった.

第96回 12月2日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

南海付加体の強度断面と延性-脆性遷移領域

講演者: 北村 真奈美(地震テクトニクス研究グループ)

南海付加体の強度断面と延性-脆性遷移領域は,地震活動をはじめとする南海トラフのダイナミクスを理解する上で重要である.本研究では,紀伊半島沖の南海トラフプレート境界断層の上盤側に相当する南海付加体深部から採取されたカッティングス試料(数mmの岩片)を用い,強度と変形様式を室内実験によって調べ,南海トラフ地震の歪エネルギー蓄積量・領域の推定を試みた.

第95回 11月25日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

福岡県宇美断層の活動履歴調査

講演者:宮下 由香里(活断層評価研究グループ)

宇美断層は,福岡平野北東縁に位置する長さ約13km,北北西−南南東走向の,西側隆起成分を持つ左横ずれ主体の断層である.重力異常や地質断層の分布及び博多湾と玄界灘での音波探査結果から,地下の断層面は,地表で確認される北西端部より北西に10km程度延長する可能性が指摘されており,この場合の断層長は23km程度となる(地震本部,2013).昨年度,宇美断層の長期評価に必要な,平均活動間隔,最新活動時期の絞り込み,単位変位量等の情報取得を目的とした調査を実施した.調査の様子と結果を紹介する.

第94回 11月18日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

甲府盆地南縁,曽根丘陵断層帯の古地震調査

講演者:丸山 正(活断層評価研究グループ)

甲府盆地南縁に分布する曽根丘陵断層帯は,地震調査研究推進本部地震調査委員会により長期評価が行なわれている.ただし,活動履歴に関する具体的データが不足しているため,地震発生確率の信頼度が低いとされている.活断層評価研究グループでは,文部科学省委託調査事業「内陸及び沿岸海域の活断層調査」の一環として,同断層帯の詳細位置や最近の活動時期を明らかにするため詳細地形データを用いた微地形判読,トレンチ掘削調査などを実施している.同断層帯西部,市川三郷町大塚地区で掘削中のトレンチ壁面には,更新世後期〜完新世の地層を変形させる複数条の断層が出現し,地層と断層の切断・被覆関係などから更新世後期以降複数回の断層活動が認められた.セミナーでは当日までに得られた調査結果を報告する.

第93回 11月11日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

ニュージーランドアルパイン断層掘削DFDP-2 の BHTV解析に基づく断層岩 の構造と応力解析

講演者:重松 紀生(地震テクトニクス研究グループ)

ニュージーランド南島の西海岸のアルパイン断層は地震後経過率が高い.本研究ではアルパイン断層掘削DFDP-2B のBHTV 検層の解析結果に基づき応力解析を行った.全深度の結果 (1680個)は,既往研究に比較的に近い.坑井に沿って 20 m 間隔で解析を行うと,掘削深度720-740 mと780-860 m において,解が他深度と異なる.光ファイバー測温により掘削深度730 mにおいて温度勾配が大きく変化するが,この深度は応力解が変わる深度と一致する.

第92回 11月4日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

2016年熊本地震における強震動:益城町中心部の被害集中域の成因

講演者:吉見 雅行(地震災害予測研究グループ),後藤 浩之,秦 吉弥,吉田 望

Masayuki Yoshimi, Hiroyuki Goto, Yoshiya Hata, and Nozomu Yoshida

Geological Survey of Japan/AIST, DPRI Kyoto Univ., Osaka Univ., Tohoku Gakuin University

 

2016年熊本地震では益城町における震度7をはじめ,震源周辺にてPGV100cm/sを超える強い地震動が観測された.西原村役場では,最大速度250cm/s以上,積分すると永久変位約2m(岩田,2016)の地震動が観測された.役場は震源断層のほぼ中間で,断層の上盤,地表地震断層から1kmに位置しており,断層滑りの影響が強く反映された断層極近傍地震動であったといえる.

益城町中心部の被害集中域(例えば,山田ほか,2016)では,偶然にも4/16の地震(本震)の地震動が観測された(秦ほか,2016).この地震動は,木造家屋の被害程度に大きく影響するとされる周期1秒前後で観測史上最大とも言える速度応答を示すものであった(TMP3観測点の記録はKiK-net益城の記録の2.5倍程度の周期1秒応答を示す).KiK-net益城(KMMH16)の弱震~強震動記録を用い,地中-地表スペクトル比を満足するS波速度構造を探索したところ,振幅レベルの増大に応じてS波速度が低下する構造が得られた.特にS波速度の低下が顕著であった浅層に対して動的変形特性を設定し,KiK-netの地中記録を入力として等価線形解析(DYNEQ)を実施したところ,4/14および4/16の地震の双方に対して観測地震動を再現することができた(後藤ほか,2016).次に,TMP3地点付近で実施したボーリング調査結果(吉見ほか,2016)を基に速度構造を設定し,KiK-net益城に対して推定した動的変形特性を与え,KiK-netの地中記録を入力波とする等価線形解析を実施したところ,TMP3における観測記録を広い周波数帯域で再現することができ,観測記録にみられたKiK-net益城とTMP3地点での周期1秒帯域での違いを定量的に再現できた.入力波の振幅を1/100にして同様の解析を行うと,KiK-net益城とTMP3地点で周期1秒応答に違いが見られず,現に,KiK-net益城およびTMP3地点のS波速度構造から求まる伝達関数の周期1秒程度に大きな差は見られない.したがって,益城町の被害集中域内外で熊本地震の本震時に観測された地震動の周期1秒応答の大きな差異は,非線形の地盤応答の差により生み出されたと結論できる.

第91回 10月21日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

安政元年南海地震に伴って同年大晦日に発生した余震の震源域と規模

講演者:堀川 晴央(地震災害予測研究グループ)

旧暦安政元年(1854年)11月5日の安政南海地震の余震として同年大晦日(旧暦)に発生した地震の地震の有感域を文献史料から調査し,震度を推定した上で震源域およびマグニチュードの推定を試みた.既存の地震史料集で確認できた有感域の東端は名古屋市,西端は佐賀県,北端は鳥取県,南は高知県内で,複数の地域で揺れの継続時間が長い旨の記述を確認できた.震央とマグニチュードの推定結果に関しては,今後慎重な検討が必要である.

第90回 10月14日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

地表地震断層の現れ方についてのレビュー

講演者:桑原 保人(研究部門長)

2016年熊本地震でも見られたように,地表地震断層の現れ方は多様である.

これについて既存研究のレビューを行う.

第89回 9月30日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

2014年長野県北部の地震の動力学的震源モデル(その2)

講演者:加瀬 祐子(地震災害予測研究グループ)

2014年長野県北部の地震(MJMA6.7)の動力学的震源モデルは,1枚もしくは平行な2枚の断層面を仮定する比較的単純な断層モデルでは,地表地震断層とすべり分布の特徴を共に説明することはできなかった(2015年度活断層・地震研究セミナー報告).そこで,発震機構解とCMT解の違いに注目し,初期破壊面となる鉛直なセグメントが2つのセグメントの間にある断層モデルを用いると,北東側セグメントの深部と南西側セグメントの浅部に破壊が進展しやすく,本地震の震源過程の特徴を説明しやすいことがわかった.更に,平行な2枚のセグメントの応力蓄積条件を変えることによって,それぞれのセグメントへの破壊の広がり方やすべり量の差を説明できる可能性を示した.

第88回 9月23日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

地震データから推定した2016年熊本地震の特徴

講演者:内出 崇彦(地震テクトニクス研究グループ)

地震波形データと震源カタログの解析によって明らかになった2016年熊本地震の特徴と今後の研究の展望を,以下の3点について論じる.

(1)DD法によって再決定した震源分布による地下の断層構造

(2)本震により断層が大きくすべった地域と余震の空白域(「阿蘇ギャップ」)や阿蘇カルデラ内の構造との対応

(3)湯布院-別府地域における動的誘発地震の特徴

第87回 9月16日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

孔井掘削を利用した応力測定,及び透水性亀裂と応力場の関係:新居浜観測井の例

講演者:木口 努(地震地下水研究グループ)

産総研が2013年に整備した愛媛県新居浜市の地下水等総合観測点における孔井掘削を利用して2つの手法により求められた応力測定と,孔井を横切る透水性亀裂の向きと応力場の関係について紹介する.掘削直後のコアを用いてASR法により求められた最大水平主応力の方位(N~NNW)は,隣接する既存孔井による応力擾乱の影響も考慮した結果,水圧破砕法により得られた方位とおおよそ整合することがわかった. 物理検層から検出した透水性亀裂は,NNW-SSEの走向でと高角の傾斜角に卓越して分布し,非透水性亀裂の卓越する向きと異なることから,透水性亀裂は現在の応力場の影響を受けている可能性がある. 透水性亀裂の向きの分布は,横ずれ断層型応力場における引張り破壊型亀裂モデルの高透水性を期待される範囲にほぼ対応する.

第86回 9月2日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

地殻構成鉱物の摩擦特性と地震発生領域の深さ

講演者:増田 幸治(副研究部門長)

地震発生領域の深度やその範囲は,地殻構成物質の摩擦特性で説明されている.地震の発生しない安定領域と地震が発生する不安定領域の境界深度は,温度や水の存在によって影響される物質の摩擦物性に支配されている.例えば,構成鉱物として石英が含まれると摩擦特性が安定化する効果が実験によって観測されている.そこで,それぞれの構成鉱物の摩擦特性の影響や地震発生に及ぼすメカニズムを考察するために,地殻主要構成鉱物である石英と長石の摩擦特性を高温高圧下で測定した.その結果,水が存在する環境下では,石英・長石ともに地震すべりが発生する不安定領域に相当する温度範囲が存在するが,石英の方がその温度領域が狭いことがわかった.

第85回 8月19日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

地震計が捉えた様々な事象

講演者:武田 直人(地震地下水研究グループ)

地震計に記録されるものは,地震だけでは無い.地震計は地面の揺れを記録する装置であるが,揺れを生じさせる原因は必ずしも地震だけとは限らないからである.地震による記録以外のものの多くはノイズとして取り扱われるが,場合によってはその記録を使い揺れの原因になった事象の特徴を明らかにすることができる.今回は,花火や隕石,(世界で初めてかもしれない)○○等の地震計記録や解析結果を紹介する.

第84回 8月5日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

青森県で採取した2011年東北地方太平洋沖地震の津波堆積物の珪藻分析

講演者:谷川 晃一朗(海溝型地震履歴研究グループ)

青森県三沢市およびおいらせ町で採取した2011年東北地方太平洋沖地震の津波堆積物について珪藻分析を行った.調査地域の津波堆積物は海岸から約300~400m内陸まで分布し,全体として内陸へ薄層化と細粒化する傾向がみられる.津波堆積物中の珪藻化石群集は海生から淡水生の混合群集で特徴づけられ,内陸の地点ほど海~汽水生種の割合は減少した.また,津波堆積物と現在の潮間帯の表層堆積物では,含まれる海生種に違いがみられた.

第83回 7月29日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

完新世海岸段丘と地震性隆起 -房総半島の最近の調査結果と各地の海岸段丘に関するレビュー -

講演者: 宍倉 正展(海溝型地震履歴研究グループ)

多段化した完新世海岸段丘は,1段1段が間欠的な隆起(地震時の隆起)によって形成されたという考え方が一般であるが,最近,数値シミュレーションによって,定常隆起と海水準変動から海岸段丘の形成を説明しようという試みがなされており(5月部門セミナー野田氏の発表など),変動地形の従来の解釈に一石を投じている.そこで本発表では,これまで演者が房総半島を始め,各地で調査してきた結果や既往の研究などをレビューし,海岸段丘と地震性隆起との関係について考察する.また最近行っている房総半島の海岸段丘に関する年代の再評価についても紹介する.

第82回 7月22日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

精細DEMによる地形判読の可能性

講演者:粟田 泰夫(活断層評価研究グループ)

近年,航空機レーザおよび衛星レーダーによる計測に加えて,UAV・航空機・衛星搭載カメラ画像の3Dモデリングによって生成された大量の精細DEMが,無償もしくは比較的安価で利用できるようになった.これらのDEMから作成した地形解析図を判読することによって,従来は困難であった広域かつ高精度の地形判読が容易にできるようになった.国内外の山地および平地の変動微地形と,平野部における広域変動地形の判読事例をもとに,この手法の可能性を紹介する.

第81回 7月15日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

2016年熊本地震前後の地震活動変化

講演者:石川 有三

2011年東北地方太平洋沖地震の発生後,日本列島の広域で地震活動が急に高まったことが知られている.今回の熊本地震では,そのときのような広域での活動変化は見られなかったが,一部ではやはり高まった地域があった.そのような事例を紹介する.データは,即時的な活動変化に対応できるようにHi- netの自動震源を主に使用した.

第80回 7月8日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

歴史記録やGPR探査に基づく富士川河口域西岸部における断層位置の推定

講演者:行谷 佑一(海溝型地震履歴研究グループ)

歴史記録によると,富士川河口域の流路は1854年安政東海地震を境に東遷したと考えられる.このことは,同地震により入山瀬断層またはそれに関連した断層が動き河口域西岸部が広域的に隆起した可能性があることを示唆する.そこで,この富士川河口域西岸部において,地表近くの地層にずれや変形が存在するか知るためにGPR探査を行った.本セミナーでは,その結果について報告する.

第79回 7月1日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

豊後水道SSE隣接領域の固着と微動発生レートの関係

講演者:落 唯史(地震地下水研究グループ)

プレート沈み込み境界で発生するスロースリップと深部低周波微動活動の時空間変化の関係はよく議論される.ただしスロースリップの発生域はプレート境界のごく限られた場所であり,ほかの大部分では固着が進行している.近年のGNSS観測網の充実により,固着分布の時空間変化も推定できるようになってきた.そこで本研究では,固着変化と微動活動の変化の関係に着目したい.豊後水道スロースリップ発生域の東側の領域を対象として両者を解析したところ,固着の強化に伴う微動活動の減少のような関係性が見られた.

第78回 6月24日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

レシーバ関数解析を用いた火山下の地震波速度構造の推定

講演者:木下 佐和子(地質情報研究部門 地球物理研究グループ)

伊豆半島で本州に衝突し,北西方向に沈み込む伊豆ボニン-マリアナ島弧(IBM)はどのような構造になっているのか,未解明である.本研究では,レシーバ関数解析を用いて,富士山下におけるIBMと地震波低速度領域の位置を推定した.セミナーでは,富士山における解析結果と,現在進めているニュージーランド・ルアペフ火山における解析結果を紹介する.

第77回 6月10日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

布田川断層帯・日奈久断層帯の活動区間と2016年熊本地震

講演者: 吾妻 崇(活断層評価研究グループ)

2016年熊本地震の震源となった布田川断層帯・日奈久断層帯の起震断層と活動区間は,地震本部が九州地方の地域評価が公表した2013年とそれ以前において異なっている.この改訂は基本的に産総研が実施した補完調査で得られたそれぞれの断層帯の過去の活動履歴に基づいているが,各地点で明らかにされた活動履歴に基づく活動区間の設定については様々な解釈が可能な状況であった.本発表では,長期評価の見直しを行う中で用いられた調査結果と長期評価の改訂に先立って行われていた活断層手法検討分科会での議論について,個々におけるイベント解釈を交えて紹介する.また,新旧の長期評価の内容と2016年熊本地震で実際に起こった現象を比較する.

第76回 6月3日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

テクトニクス-侵食-気候のリンケージ:宇宙線生成核種を用いた山地における土砂生産速度の決定

講演者:中村 淳路(海溝型地震履歴研究グループ)

土壌や岩石の侵食速度の定量的評価は,地形の成り立ちを考える上で重要である.本研究では岩石中の宇宙線生成核種(Be-10, Al-26)の濃度に着目し, 山地における侵食速度の決定を行った.宇宙線生成核種とは宇宙線の照射によって岩石中で極微量に生成される核種であり,その濃度から侵食速度を求めることが可能である.本発表ではこれまでの研究で得られた結果を紹介し,テクトニクス,侵食,気候の関連性について議論する.

第75回 5月20日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

津波波形と津波堆積物からもとめた千島海溝沿いに発生した巨大地震の震源過程

講演者:伊尾木 圭衣(海溝型地震履歴研究グループ)

千島海溝は北海道に津波被害をもたらす巨大地震が多く発生する.津波波形解析から断層のすべり量分布を求めることにより,千島海溝で発生した巨大地震の破壊域の重なりや空白域の存在の有無などを明らかにした.また十勝沖・根室沖で発生した17世紀北海道巨大地震の断層モデルを津波堆積物データを用いて求めた.その結果海溝付近で非常に大きなすべりを持つ超巨大地震であることを明らかにした.

第74回 5月13日(金) 15:00-16:00 別棟大会議室(7-3C-211)

大規模準動的地震発生サイクルシミュレーション

講演者:大谷 真紀子(地震テクトニクス研究グループ)

プレート境界で発生する多様な時空間スケールのすべり現象の相互作用機構を検証し,巨大地震発生予測に関する知見を得ることを目的とし,私はこれまで,実際の巨大地震発生領域を対象とした大規模地震発生サイクルシミュレーション(ECS)の実現を目指したECSの高度化を行ってきた.本発表では,H行列法の適用によるECS計算の高速化・本手法を用いて構築した2011年東北地方太平洋沖地震の発生モデル等これまで行ってきた研究について発表する.