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11活断層・地震研究セミナー

研究者間の意見交換,議論を目的とした公開セミナーです.

一般の方でも聴講可能ですが,内容は専門家向けです.

外部の方で聴講を希望される場合,予め問い合わせページからご連絡ください.

2026年度 2025年度 2024年度 2023年度 2022年度 2021年度 2020年度 2019年度 2018年度

2017年度 2016年度 2015年度 2014年度

第391回 10月2日(金) 11:00-11:30 第七-第3会議室(7-1 531)

令和8年熊本地震で実現した日奈久断層帯トレンチ調査結果の答え合わせ

Ground-truthing paleoseismic trench results along the Hinagu Fault Zone using the 2026 Kumamoto Earthquake

講演者:宮下 由香里(活断層・火山研究部門)

平成28年熊本地震後,産総研は日奈久断層帯の陸域3地点におけるトレンチ調査と,海域での3次元音波探査およびボーリング調査を実施し,同断層帯の古地震履歴を明らかにした.令和8年熊本地震後の緊急地表地震断層調査の結果,トレンチ調査を実施した3地点すべてにおいて,トレンチ壁面で確認された断層直上付近に地表地震断層が出現していることが確認された.本発表では,過去の調査結果に基づく将来予測のうち何が的中し,何が異なっていたのかを検証するとともに,期せずして実現した「トレンチ調査結果の答え合わせ」から得られた知見や,地震発生によって初めて明らかになった事実,さらに今後の課題について紹介する.

第390回 9月18日(金) 11:00-12:00 オンライン(Teams)

動力学的震源モデルから推定される中央構造線断層帯(四国陸域)の最新イベント像

The latest event on the Median Tectonic Line active fault zone, inland Shikoku, inferred from dynamic rupture simulations

講演者1:加瀬 祐子(地震災害予測研究グループ)

中央構造線断層帯(MTL)は,日本で最も活動的な断層帯のひとつである.この長大な断層帯は10の区間に区分されて評価されているが,複数区間が連動する可能性についても,検討すべき課題として挙げられている(地震調査研究推進本部,2017).この断層帯のうち,四国陸域の4区間(讃岐山脈南縁東部区間,同西部区間,石鎚山脈北縁区間,同西部区間)を対象として,連動可能性とその条件を検討するため,地質学的および地球物理学的データに基づいて,活動履歴を考慮した応力場モデルを構築し,動的破壊シミュレーションにより,最新イベントで起こり得た連動のパターンを整理することを試みる.今回は,断層トレースに沿って推測された広域応力場を用いたシミュレーション結果について報告する.

 

山口県北部群発地震の臨時地震観測とS波後続波

講演者2:雨澤 勇太(地震テクトニクス研究グループ)

山口県北部では,2025年2月から深さ25-35 kmの下部地殻内で群発地震活動が継続している.我々は,京都大学防災研究所・東京大学地震研究所・東京理科大学と合同で,群発地震域を取り囲むように約10 km間隔の臨時地震観測網を展開し,オフライン観測を実施している.本発表では,GSJが設置した観測点で得られた観測波形記録について,人工知能を活用したデータ処理を行ない,定常観測点のデータと統合処理して得られた震源カタログと,複数観測点で観測されたS波後続波の特徴とその発生源の推定結果を紹介する.

第389回 7月31日(金)【セミナーは延期になりました】

流体移動と鉱物沈殿による断層の固着 -世界の事例と国内での解析例-

Fault zone restrengthening and sealing induced by fluid flow and mineral precipitation: Review and case study

講演者:大橋 聖和(地震テクトニクス研究グループ)

断層レオロジーのモデル化・定式化には,地震サイクル間に断層で生じる破壊・すべり・固着の過程の理解が欠かせない.特に地震発生深度(約4-15km)の断層は地震間に固結(固着)しており,その要因の一つとして流体を介した鉱物(代表的なものとして石英や方解石)の析出・沈殿が挙げられている.本発表では,断層の比較的浅部でも沈殿すると考えられている方解石に着目し,世界の断層帯からの事例と国内での解析例(与那国島・鳥取県西部)を紹介する.特に,化学分析(炭素・酸素同位体,希ガスの同位体,クランプト温度計など)や年代測定を用いて推定した流体の起源と鉱物の析出環境の推定に着目する.

第388回 7月24日(金) 11:00-11:30 所内限定
第387回 7月17日(金) 11:00-11:30 所内限定
第386回 7月10日(金) 11:00-11:30 オンライン(Teams)

1995年兵庫県南部地震以降の活断層・古地震研究に基づく長期評価の進展と課題

講演者:近藤 久雄(活断層評価研究グループ)

1995年兵庫県南部地震は,我が国の活断層・古地震研究と地震発生の長期評価を大きく転換させた.地震調査研究推進本部の設立以降,主要活断層帯を対象とする体系的な調査により,活断層の位置形状,活動履歴,変位量,地下形状に関する知見が急速に蓄積された.本発表では,活断層図,高精細地形データ,トレンチ調査,年代測定,連動型地震評価の進展を概観し,個別断層帯評価から地域評価へと発展した長期評価の到達点と現状の課題を整理する.

第385回 7月3日(金) 11:00-11:30 第七-第3会議室(7-1 531)

日本海溝周辺における小地震の震源メカニズム解を用いた応力方位の推定

Estimation of stress orientation around the Japan Trench from focal mechanism solutions of small earthquakes

講演者:内出 崇彦(地震テクトニクス研究グループ)

地震発生には,断層の位置・形状や摩擦・変形の物理に加えて応力が重要である.これまで日本列島内陸部のストレスマップ(Uchide et al., 2022)を公開し,活断層のすべりやすさや方向を評価してきた.近年はS-netの整備により,海域の地震も陸域と同様に解析が進んでいる(Sagae et al., 2025;Suzuki et al., 2025).本研究では,機械学習を用いた波形処理(Uchide, 2020)により多数の小地震の震源メカニズム解を求め,応力インバージョンから主応力軸方向と応力比を推定した.その結果,プレート境界周辺では東西圧縮の逆応力場が概ね得られたのに加え,不均質性の存在も確認された.

第384回 6月26日(金) 11:00-11:30 所内限定
第383回 6月19日(金) 11:00-11:30 所内限定
第382回 6月12日(金) 11:00-11:30 第七-第3会議室(7-1 531)

地質調査とベイズ推定-Komori et al. (2021) は何がしたかったのか

Geological survey and Bayesian theorem-What did Komori et al. (2021) aim to achieve?

講演者:小森 純希(活断層評価研究グループ)

近年の地質調査では,観測とデータから現実の地質事象を解釈する過程で,統計学的処理を行い推論の信頼性と客観性を確保することが一般的になっている.一方で,地質調査の統計処理には画一的な指針がなく,個々の調査結果に限定した場当たり的な処理が設計される例も多い.そのため,地質調査一般の構造を俯瞰し,統計学的推論の設計思想を構築する必要があると考えている.本発表では,発表者が過去に行った房総半島の海岸段丘における形成年代推定の統計学的処理を例にとって,問題点の見直しとベイズ理論に基づいた推論プロセスについて議論する.

参考文献:Komori et al. (2021). A Bayesian approach to age estimation of marine terraces and implications for the history of the great Kanto earthquakes, central Japan. QSR. https://doi.org/10.1016/j.quascirev.2021.107217

第381回 6月5日(金) 11:00-11:30 所内限定
第380回 5月22日(金) 11:00-11:30 第七-第3会議室(7-1 531)

新潟-神戸歪み集中帯の深さ依存変形構造とその力学的意義

Depth-dependent deformation structure in the Niigata–Kobe Tectonic Zone: Its mechanical implications

講演者:野田 朱美(地震テクトニクス研究グループ)

新潟-神戸歪み集中帯のうち,長野県北部から飛騨地方にかけての領域(善光寺断層~跡津川断層周辺)では,GNSS観測により大きな歪み速度(約10⁻⁷/年)が確認されている.しかし,その集中域は活断層の地表トレースと必ずしも対応しない.本研究では,この不整合の要因を解明するため,GNSS変位速度データに基づき,地下の変形構造を3次元モーメント密度分布として推定した(Noda & Matsu’ura, 2010; Noda et al., 2026).その結果,浅部と深部で異なる空間的特徴が認められ,深さに依存する変形構造が示唆された.本発表では,このような変形構造が地殻内の応力蓄積に与える影響についても考察する.

第379回 5月15日(金) 11:00-11:30 第七-第3会議室(7-1 532)

2025年末から日本海溝北部で継続するスロー地震とファスト地震の相互作用

Ongoing interaction between slow and fast earthquakes in the northern Japan Trench since late 2025

講演者:寒河江 皓大(地震地下水研究グループ)

2025年11月以降,日本海溝北部の三陸沖および青森沖では,スロー地震に関連した地震活動が活発化している.2025年11月9日には三陸沖でM6.9の地震が発生し,続いて2025年12月8日には青森沖でM7.5の地震,さらに2026年4月20日には再び三陸沖でM7.7の地震が発生した.これらの地域では,これまで繰り返しM7–8クラスのプレート境界型地震が発生しており(e.g., Yamanaka & Kikuchi, 2004),近年の研究から,スロー地震と通常地震(ファスト地震)の間に密接な時空間的相互作用が存在することが示唆されている(e.g., Nishikawa et al., 2023; Sagae et al., 2025).本発表では,2025年末以降に発生した一連の地震活動を対象として,スロー地震と通常地震の相互作用を調査し,その背後にある物理過程や今後の巨大地震発生への示唆について議論する.