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活断層・地震研究セミナー

研究者間の意見交換,議論を目的とした公開セミナーです.
一般の方でも聴講可能ですが,内容は専門家向けです.当面の間はTeamsを用いたオンラインで開催いたします.外部の方で聴講を希望される場合,予め問い合わせページからご連絡ください.

2020年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度 2015年度 2014年度

第218回 10月23日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams)

宮崎県沖で発生した1662年日向灘地震の津波波源の考察

Consideration of tsunami source of the AD1662 Hyuga-nada earthquake occurred off Miyazaki Prefecture

講演者:伊尾木 圭衣(海溝型地震履歴研究グループ)

日向灘ではM7クラスのプレート間地震が繰り返し発生している.歴史記録上,日向灘で発生した最大規模の地震は西暦1662年日向灘地震(外所地震)とされている.また日向灘は浅部スロー地震活動が活発な地域である.本研究では1662年津波は,浅部スロー地震域が1662年日向灘地震の震源域となって巨大津波が発生した可能性を考え,その検証を予察的に行った.1662年津波の波源を推定するため,宮崎県の太平洋沿岸域(延岡市から串間市)で津波の堆積物調査を行い,複数地点において1662年津波の可能性があるイベント堆積物を確認した.そして日向灘で観測された最近の地震活動をもとに,1662年日向灘地震の断層モデルを仮定し,この断層モデルを用いて津波の数値計算を行い,宮崎県日南市小目井において確認されたイベント堆積物の分布と計算浸水範囲を比較・検討した.

第217回 10月16日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams)

COVID-19による社会活動低下に伴う地震計ノイズレベル低下:東京の例
Two-step Seismic Noise Reduction caused by COVID-19 Induced Reduction in Social Activity in metropolitan Tokyo, Japan

講演者:矢部 優(地震地下水研究グループ)

本年大きな問題となっているCOVID-19の流行に伴い,今年前半には大きく社会活動が停滞した.従来から社会活動により励起された地震波が地震計で記録されていることが知られており,COVID-19による人間活動低下に伴った地震計ノイズレベルの低下が世界各地で報告されている.本研究は,この地震計ノイズレベル低下を首都圏のMeSO-netを用いて調べた.ノイズレベルは異なる周波数帯域において2段階に減少していた.最初の減少は,高周波数帯域(20-40Hz程度)において,3月上旬の学校休講の措置がなされたタイミングで発生していた.2段階目の減少は,低周波側(1-20Hz)を含む広い帯域で,3月末から4月上旬にかけて,自粛要請や緊急事態宣言の発出がなされた段階で発生していた.ゴールデンウィーク後にはノイズレベルは増加傾向に転じ,緊急事態宣言の解除前から社会活動が再開していたことがうかがえる.

第216回 10月9日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams)

ラブ波を用いた表面波トモグラフィによる関東平野の3次元S波速度構造の推定

Estimation of shallow 3D S-wave velocity structure of the Kanto basin by applying Love-wave tomography

講演者:二宮 啓(地震災害予測研究グループ)

首都圏の3次元S波速度構造を推定するために,MeSO-netを用いて表面波トモグラフィを行った.堆積層の厚い関東平野では,Rayleigh波の高次モードが卓越し,基本モードの分散曲線を推定することが困難であった.そこで,本研究では高次モードの影響の少ないLove波を用いて表面波トモグラフィを行った.推定したS波速度構造は,1km以浅で下総層群の基底深度に沿った低速度を示し,1km以深では上総層群の厚い地域で低速度を示した.

第215回 10月2日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams)

南海トラフの多様な巨大地震を説明するモデル

New model to explain the variety of plate boundary earthquakes along the Nankai Trough

講演者:岡村 行信(名誉リサーチャー)

西南日本外帯にはプレート間地震発生サイクルの弾性変形では説明できない隆起域と沈降域が100万年以上前から形成されてきた.それらの長期的な変動は波曲するフィリピン海スラブの斜め沈み込みによるプレート境界深度の変化が原因であり,隆起域である紀伊山地及び赤石山地下のプレート境界は数百年間にわたって固着し,それぞれ独立に破壊することによって宝永型と安政型の地震が発生するというモデルを提案する.このモデルは今年5月にEPSに公表したが(https://doi.org/10.1186/s40623-020-01183-5),その内容に加えて論文では述べなかった古津波のデータとの関係を紹介する.

第214回 9月25日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams)

動力学的震源モデルに基づく糸魚川-静岡構造線断層帯の連動性の検討

Investigation of multi-segment earthquake on the Itoigawa-Shizuoka Tectonic Line active fault zone based on dynamic rupture simulation

講演者:加瀬 祐子(地震災害予測研究グループ)

糸魚川-静岡構造線断層帯の連動可能性とその条件を検討するため,中北部区間と中南部区間を対象として,断層帯の置かれた条件を反映した動力学的震源モデルを構築した.その結果,中北部区間北端もしくは南端から破壊が始まる場合には連動可能であるが,1イベントあたりの変位量の調査結果と調和的なすべり量を得るためには,相当大きな応力降下量を設定する必要があることがわかった.これは,より広い範囲での連動による変位量である可能性があることを示しており,古地震学的調査による活動履歴とも矛盾しない.

第213回 9月18日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams)

地下透水性亀裂の向きと応力場の関係:愛知県西尾市内の観測井の結果

Orientations of permeable fractures detected by borehole measurements and their relation to in-situ stress at AIST observation borehole in Nishio, Aichi Prefecture, central Japan

講演者:木口 努(地震地下水研究グループ)

高い透水性を示す亀裂が硬岩中に存在する条件を明らかにするために,愛知県西尾市内の産総研観測井(最大深度600m)で取得した孔井内測定データを用いて透水性亀裂の向きと応力場の関係について解析した.水圧破砕法で得られた応力場は逆断層型で差応力が大きく,応力方位(最大水平圧縮応力の方位)は北北東-南南西であった.電気伝導度検層・速度検層・ハイドロフォンVSPにより検出した透水性亀裂は,応力方位と40度程度以上の角度をなす走向が多くなる特徴がある.しかし,せん断型と引張り型の亀裂モデルを用いた検討の結果,亀裂の向きを現在の応力場と直接関係付けて説明することは難しいと考えられる.

第212回 9月11日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams)

粒径が異なる津波堆積物の運搬過程と分布パターンの違いに関する実験的検討

Flume experiments reveal dependence of the distribution of onshore tsunami deposits on grain size

講演者:篠崎 鉄哉(海溝型地震履歴研究グループ)

過去に発生した津波の痕跡は必ずしも目視で確認できる形態で地層中に保存されているわけではない.津波の規模が小さい場合や津波浸水限界付近では,津波の流体力が弱いために粒径の大きい堆積物が厚く堆積しないためである.津波履歴・規模を正しく推定するためには,粒径の大きい堆積物に加え,粒径の小さい堆積物の挙動を明らかにする必要がある.本発表では,粒径の大きい堆積物と小さい堆積物が津波流下でどのような運搬過程と分布パターンの違いをみせているのか,水路実験による検討を紹介する.

第211回 9月4日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams)

Estimation of slip rate along the un-ruptured segment of Mw 7.2 1896 Rikuu earthquake, northeast Japan

講演者:Shreya Arora(活断層評価研究グループ)

The Mw 7.2 1896 Rikuu earthquake is one of the most destructive inland earthquake to rupture the west portion of Eastern margin Fault Zone of Yokote Basin (EFZYB) in northeast Japan. Although the rupture did not propagate along the entire 60 km long EFZYB, instead terminated along its northern segment. Since then, it has been studied for decades to determine the slip rates and recurrence interval, while the same remained un-resolved along the southern un-ruptured segment. In this work, we document the signatures of active faulting along the un-ruptured Kanezawa and Omoriyama thrust fault and report the first estimate of long-term slip rate, and recurrence interval along the fault trace identified during this study and named Yuzawa Fault. Detailed LiDAR analysis revealed back-tilted fluvial terraces and south-west facing fault scarps ranging in height from 2 m to 30 m and 1-8 m along the Kanezawa Fault and Omoriyama Fault respectively. The high-resolution S-wave seismic survey along the Yuzawa Fault revealed northeast dipping two-stepped low-angle reverse fault with a mean dip of 30°. The borehole survey along the Yuzawa Fault revealed 28 m vertical offset of the marker unit in the hanging and foot-wall. Given the vertical offset, radiocarbon age and the dip angle from seismic reflection survey, we have determined vertical slip rate of 1.2 mm/yr and long-term slip rate of slip rate of 2.4 mm/yr since 22 ka. Based on these results, we have estimated the return period of 2500 yr and possible magnitude of ML 7.3. This work is a part of MEXT active fault research project.

第210回 8月28日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams)

徳島県牟岐町における先史時代の津波堆積物と地震性地殻変動について

Geological records of prehistoric tsunamis and subsidence in Mugi town, facing the Nankai Trough

講演者:嶋田侑眞(海溝型地震履歴研究グループ)

徳島県牟岐町の沿岸湿地において調査を行った結果,5581~3640 cal yr BPに少なくとも3~5回の津波による浸水を経験していたことが明らかになった.これらは,南海トラフで発生した地震による津波の浸水であると推定され,特に3回のイベントについては沈降が原因と考えられる環境変動も伴っていること分かった.

現地での掘削調査により,津波堆積物の候補となる9層の砂質または礫質イベント堆積物(E1~E9)が有機質シルト中に確認された.得られた試料の堆積学的・古生物学的分析を行ったところ,イベント堆積物E3,E6,E8 の3層は,(1) 近年報告された津波堆積物と矛盾しない堆積構造を持っている,(2) 珪藻化石群集によりイベント堆積物が海域から運搬されたものであることを示す,(3)イベント前後で地殻変動が原因と考えられる環境変化見られる,という条件を全て満たしており,南海トラフにおける地震と津波の証拠であると結論付けた.また,E4およびE7についても,上記の条件のうち2つを満たしているため,津波堆積物の可能性がある.

大型植物化石を用いた放射性炭素同位体年代測定の結果から,本研究で明らかになった5つの津波堆積物は,これまでに紀伊半島から四国東部において報告されている津波堆積物と対応する可能性がある.

第209回 7月31日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams)

東北日本の地震波速度構造と地震活動との関係

Seismic velocity structure and its implications for genesis of earthquakes in NE Japan

講演者:椎名高裕(地震テクトニクス研究グループ)

地表面で観測される地震波形データからは,地震波速度などの空間的な変化として,沈み込み帯内部の不均質構造を推定することができる.構造の不均質性は,物質の分布や流体の存在などを反映しており,詳細な不均質構造の推定により,地震発生がどのような環境下で発生しているかを明らかにすることができる.

本発表では,東北日本沈み込み帯でこれまでに行った地震波速度構造推定の結果について,後続波(P波やS波以外の波群)を用いた解析を含め,紹介するとともに,速度構造と地震活動との関係を議論する.