第260回 3月18日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams) |
カナダ・バンクーバー島南西岸における1700年カスケード地震以前のイベント堆積物とその年代
Chronology for event deposits before the 1700 CE Cascadia earthquake from the southwest coast of Vancouver Island, Canada
講演者:谷川 晃一朗(海溝型地震履歴研究グループ)
バンクーバー島西南部の3か所の塩性湿地において,西暦1700年カスケード地震の津波堆積物より下位のイベント砂層の年代を詳細に検討した.植物化石の放射性炭素年代から,その堆積年代は西暦1330~1430年と推定された.この年代は,北米西海岸の陸上の古地震痕跡から推定されている,1700年の1つ前の巨大地震の年代より若い.一方,タービダイトから推定される1700年の1つ前の巨大地震の年代とは部分的に重なり,対比可能である. |
第259回 3月11日(金) 13:30-14:30 オンライン(Teams) ※開催時刻がいつもと違います. |
熱クラックを生じさせた花崗岩の,画像解析による亀裂ネットワークの抽出と流体移動特性の関係
Characterization of fracture network of thermally cracked granite rocks and prediction of transport properties
講演者:高橋 美紀(地震テクトニクス研究グループ)
Spatio-temporal variations in fluid transport properties are critical to understand effects of pore pressure on seismic activity. Structural parameters to characterize fractured media, such as porosity, aperture size,crack width and tortuosity, have been related to transport property, such as permeability and electrical conductivity. Rough correlations between the fracture geometries and the measured transport properties, such as porosity-permeability relationship have been proposed. However, we have not fully clarified the relationship between the structure of fracture network and measured properties. It is mainly due to the complexity of the geometry of fracture network. In this presentation, we will show our challenges extract characteristics of the fracture network, using 3D volume of microfocus X-ray CT images of thermally cracked granite rock specimen (Inada granite), and will compare between the measured and alculated transport properties: permeability and electrical conductivity. |
第258回 3月4日(金) 14:00-15:00オンライン(Teams) |
オフフォルト地震と地殻変動データを用いた新手法によるプレート間固着の詳細な時空間変動の推定:東北沖への適用
Spatial and temporal variations in interplate coupling deduced from a new method using off-fault earthquakes and geodetic data: Application to Tohoku-Oki plate boundary
講演者:今西 和俊(総括研究主幹)
プレート境界における巨大地震の発生時期や規模を予測するためには,プレート境界の固着状態をモニタリングすることが重要である.通常は地殻変動データをもとに推定されるが,地震データも組み合わせた解析を行うことで,高い時空間分解能を持つ固着状態の推定が期待できる.本研究では,プレート境界の周辺で発生している地震(オフフォルト地震)がプレート間固着による応力変化に調和的に発生しているか否かを評価し,直近のプレート境界の固着状態を推定する方法を提案する.そして,この手法を東北沖プレート境界に適用し,M9地震前後の挙動を調べた結果について報告する. |
第257回 2月18日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams) |
震源データから断層形状を推定する手法の開発(序報)
Development of a method for inferring fault configuration from hypocenters (preliminary report)
講演者:堀川 晴央(地震テクトニクス研究グループ)
地震観測データの増加と解析技術の進歩によって精度の高い震源データや発震機構解が大量に得られるようになり,大地震の震源断層の形状が複雑であることが示唆されている.しかし,震源断層の推定は解析者の「職人技」に依っていることが多いのが現状と思われる.本講演では,point cloudの解析に用いられる手法を参考にしながら,震源データから震源断層を推定する手法の開発を試みた途中結果を報告する. |
第256回 2月4日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams) |
大雨で生じる歪変化と水位変化の関係-土佐清水松尾観測点の場合-
Relationship between strain changes and groundwater level changes caused by heavy rainfalls -In the case of TSS observation site-
講演者:北川 有一(地震地下水研究グループ)
南海トラフ沿いで地殻変動・地下水観測によるプレート境界モニタリングに取り組んでいる.土佐清水松尾観測点では周辺での地震後にゆっくりとした歪変化が繰り返し観測された.この歪変化はプレート境界付近のすべりではなく,観測点周辺で生じた変化の可能性が高いと判断したこと,大雨の際の水平歪変化が地震後のゆっくりとした水平歪変化に似ていることを昨年度報告した.鉛直歪の孔2観測井戸の水位の変化に関しては大雨と地震後で異なることに気付いたので,その違いを紹介するとともに,大雨で生じる歪変化と水位変化の定量的な関係を議論する. |
第255回 1月28日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams) |
伊東沿岸の隆起痕跡からみた完新世後期における東伊豆地域の地殻活動
Late Holocene tectonics of the eastern Izu area deduced from the uplift traces along the coast of Ito
講演者:宍倉 正展(海溝型地震履歴研究グループ)
伊豆半島東部の伊東沿岸には標高4.2 m以下に少なくとも3つのレベルで離水海岸地形とそこに固着する石灰質生物遺骸群集からなる隆起痕跡が分布する.これらの高度と年代測定結果に基づけば,東伊豆地域の地殻活動は次のようにまとめられる.まず約3,000年前から隆起運動が始まり,1,500年前頃からその運動が加速した.1,500年前頃以降の隆起は見かけ上400–800年間隔で約1 mずつ間欠的に生じており,最新の隆起イベントは過去100–150年の間に起きている.周辺地域の地震履歴や火山活動,測地データ等を参照すると,これらの隆起イベントは必ずしも地震性の急激な隆起ではなく,群発地震を伴った地下のマグマの活動など東伊豆単成火山群の活動の影響を受けている可能性が指摘できる.
|
第254回 1月14日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams) |
南海トラフ短期的SSEの客観検知手法の開発
Objective detection algorithm for SSEs at the Nankai Trough using strain and tilt records
講演者:矢部 優(地震地下水研究グループ)
地震地下水RGでは,南海トラフ巨大地震に向けた準備過程をモニタリングするため,西南日本に歪計観測網を展開し,他機関の歪や傾斜データと合わせて解析を行い,短期的SSEの発生状況を毎月気象庁などに報告している.歪・傾斜データは高感度ゆえに降雨の影響などを受けるため,時間的にデータの品質が変動してしまうという難点があり,そのためにイベントの検知について客観的な基準を構築することができていない.これまでの解析では,イベント検知は解析者の目視に頼っているが,解析者は時期によって交代するため,長期的なイベントカタログを構築する上で,検知基準の整合性を確認することが難しい状況になっている.本発表では,客観的なアルゴリズムに基づいてイベント検知を行う手法を開発し,2013-2020年の8年分のデータに適用した結果を報告する. |
第253回 12月24日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams) |
地下透水性亀裂の方向の支配要因:産総研地下水等総合観測井(愛知県・紀伊半島~四国)の16地点の孔井内測定データからの考察
Controlling factors of orientations of subsurface permeable fractures: Borehole data analyses of 16 AIST observation stations in Aichi, Kii Peninsula and Shikoku regions, southwestern Japan
講演者:木口 努(地震地下水研究グループ)
地下透水性亀裂が存在する条件を解明するため,産総研が愛知県から紀伊半島及び四国にかけて整備した16の地下水等総合観測点の掘削孔井(最大深度約600m)における各種の孔井内測定データを解析した.その結果,四国の観測点は,愛知県・紀伊半島の観測点に比べると,全ての亀裂と透水性亀裂の走向,応力方位,地質構造の特徴的な方向がおおよそ一致する傾向であった.ただし,全てのデータを大局的に見ると,透水性亀裂の向きは応力方位よりも全ての亀裂の走向に支配される傾向があり,全ての亀裂の卓越走向は地質構造の方向に近い傾向があることなどがわかった.どのような方向の透水性亀裂が存在するかは,既存の地質構造に支配される媒質の割れやすさと現在の応力状態の2つの要因があると考えられ,今回の結果では,既存の地質構造が支配的であることが示された. |
第252回 12月10日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams) |
動力学的震源モデルに基づく中央構造線断層帯の連動性の検討
Investigation of multi-segment earthquake on the Median Tectonic Line active fault zone based on dynamic rupture simulation
講演者:加瀬 祐子(地震災害予測研究グループ)
中央構造線断層帯の連動可能性とその条件を検討するため,讃岐山脈南縁東部区間,同西部区間,石鎚山脈北縁区間,同西部区間を対象として,既存情報を基にプロトタイプの動力学的震源モデルを構築し,動力学的破壊シミュレーションをおこなった.主応力軸の向き,動摩擦係数で決まる破壊の始まる領域の応力降下量の深さ依存性,破壊開始点の位置の3パラメータを変えて,パラメータ・スタディをおこない,古地震学的調査で得られた地表での1イベントあたりのすべり量と調和的になるパラメータの組み合わせを探索した.その結果,これらのパラメータで決まる応力状態に応じて,区間単独,複数の区間の連動など,様々な活動パターンが得られた.しかし,応力モデルが同じでも,破壊開始点の位置が異なると,破壊領域の広がりが異なる場合もあり,静的な解釈のみでは想定できない連動パターンが存在することが示唆される. |
第251回 12月3日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams) |
平均変位速度に基づく活断層の活動確率評価
Probabilistic evaluation based on slip rate of active fault
講演者:吾妻 崇(活断層評価研究グループ)
地質調査に基づく平均変位速度の算出方法とその課題および平均変位速度に基づく活断層の活動確率の評価について紹介する.平均変位速度は,変位基準となる地形や地層の形成年代とそれらの変位量によって算出される.活断層の活動確率については,BPTモデル等に基づく更新過程とポアソン過程の2種類の確率値が活断層の長期評価で用いられている.活断層の活動確率を評価するためには更新過程が有効であるが,全ての活断層について平均活動間隔と最新活動時期に関する情報を得ることは困難である.一方,ポアソン過程による活動確率は,平均変位速度と地震時変位量(断層の長さから推定可能)に基づいて求めることができる.本発表では,現在,文部科学省から受託している「活断層評価の高度化・効率化のための調査」で発表者が実施している内容を一部用いながら,活断層の平均変位速度に関する話題を提供する. |
第250回 11月26日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams) |
長石の極端に遅い粒成長:地殻レオロジーに対する意味
Extremely slow grain growth of albite: Implication for the crustal rheology
講演者:重松 紀生(地震テクトニクスグループ)
長石は主要地殻構成物質であり,中でもアルバイト長石(曹長石)は比較的温度が低く水がある環境でも安定に存在する.この粒成長は,内陸断層や海溝沈込帯を含む様々な地殻レオロジーに影響を与えている可能性がある.そこで市販の天然曹長石粉末をサブミクロンサイズに粉砕,さらにホットプレス法により焼結させることで緻密体を用意し,この焼結体を用い曹長石の粒成長実験を行った.得られた曹長石の粒成長則に基づくと,融点に比較的近い1050 ℃においても1 μmの粒子を 10 μmに成長させるのに約 43年もかかり,先行研究の灰長石の粒成長則に基づくと21時間で1 μmから 10 μmに成長するというのと大きな違いがある.本研究は先行研究の灰長石の粒成長実験に比べ高温で行われており,さらに長石内での各種イオンの拡散など様々な先行研究の実験結果等を検討すると,本研究で得られた粒成長の遅さは,粒近傍における不純物の偏析により粒成長(粒界移動)が抑制される効果によるものと考えられる.すなわち,長石の粒成長をより低温である天然条件へ外挿する際には不純物の偏析による粒成長の抑制が重要と考えられる.内陸活断層の深部の塑性歪集中域(剪断帯)ではサブミクロンサイズの長石がしばしば観察される.本研究の結果はこのようなサブミクロン長石が一度形成されると,長期に渡り粒成長せず周囲に比べ力学的に弱い状態が維持され,そこに歪が集中し続けることを示唆している. |
第249回 11月19日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams) |
安政南海地震津波の歴史記録から推定される津波の高さと被害との関係
Relationships between tsunami heights and damage inferred from historical documents of the Ansei Nankai earthquake tsunami
講演者:行谷 佑一(海溝型地震履歴研究グループ)
測器観測がまだ存在しない江戸時代以前における津波の高さは,歴史記録から推定することが一般的である.ただし,歴史記録の中には被害の様子はわかるものの津波の高さには直接結びつかない記録も存在する.もし津波の高さと被害との間に定量的な関係が構築できれば,このような記録からも津波の高さを推定することが可能になる.本発表では,徳島県や高知県における1854年安政南海地震津波の歴史記録を用いて,記録の残る集落での被害率を整理した.またそのうち津波の高さが測定されている集落に着目して,そこでの平均標高を算出し浸水深を推定した.これらの手順で被害率と浸水深との関係を検討したのでその旨を紹介する. |
第248回 11月5日(金) 14:00-15:00 参加は所内限定です. オンライン(Teams) |
DAS計測技術を用いた新幹線沿線布設光ファイバーにおける高密度地震観測
Distributed acoustic sensing using communication optical fiber laying along a high-speed train, Shinkansen, track
講演者:吉見 雅行(地震災害予測研究グループ)
光ファイバーに入射したレーザーパルスのレイリー散乱光観測により歪速度を高密度計測する分散音響センシング(Distributed Acoustic Sensing:DAS)が地震観測に展開されつつある.発表者は昨年度からJR東海および東京大学との共同研究として,新幹線軌道沿いに布設された通信用光ケーブルを用いたDAS観測および検証用の臨時地震観測を実施している.DAS観測対象は,昨年度は静岡県西部の5.8km区間,今年度は静岡県東部の100km程度の区間である.空間サンプリング1.25〜5m程度のひずみ速度データを,前者は約1週間,後者は2ヶ月にわたって連続取得した.観測区間には駅,高架橋,橋,盛土,トンネルなど様々な構造物が含まれている.本講演では,DAS観測および臨時地震観測について,JpGU・AGUでの既発表データ(吉見・井出・岩田,2021,Yoshimi et al., 2021)を含む観測データの概要(昼間,夜間,地震時)を提示するとともに,特殊環境における観測作業の様子を紹介する. |
第247回 10月29日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams) |
雫石盆地西縁断層帯(岩手県)の中期更新世以降の平均変位速度
Slip rate of the Shizukuishi–Bonchi–Seien fault zone, Iwate Prefecture, since the Middle Pleistocene
講演者:丸山 正(活断層評価研究グループ)
雫石盆地西縁断層帯の活動性を明らかにするために,以下の調査を実施した.1)空中写真および航空レーザ地形データを用いた地形面区分および地形面の落差の計測,2)断層の両側での詳細な地質踏査と併せて実施した測量による露頭の位置および地層境界の標高の計測,3)断層の落下側(下盤側)でのボーリング調査による断層下盤側の地層の分布の把握,4)露頭踏査およびボーリング調査により作成した地質断面図に基づく変位基準の落差の推定,5)断層変位を受けた地層の形成年代を明らかにするための各種分析.本発表では,調査結果およびそれに基づいて検討した同断層帯の中期更新世以降の平均変位速度について報告する.
本調査は,令和2年度文部科学省委託「活断層評価の高度化・効率化のための調査」の一環として実施したものです. |
第246回 9月24日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams) *第245回は所内限定開催 |
微小地震の震源メカニズム解に基づく日本全国地殻応力場の推定
Estimation of Crustal Stress Orientation in Japan from Focal Mechanism Solutions of Small to Microearthquakes
講演者:内出 崇彦(地震テクトニクス研究グループ)
地下の応力場を推定する手掛かりの一つとして,微小地震の震源メカニズム解が挙げられる.Uchide (2020)では深層学習によるP波初動極性の自動読み取りにより,11万件ほどの微小地震の震源メカニズム解を決定した.本研究ではさらに解析対象を拡大して,50万件以上の微小地震の震源メカニズム解を決定した.そのうち,精度よく求まった21万件余りの震源メカニズム解を使って,日本列島内陸部及び近海について,20km以浅での応力場を推定した.地質境界を境に応力方位が急変する例が見られたり,局所的な応力方位の異常が見られたりするなど,得られた応力場には興味深い特徴がいくつか見られたので,今後の応力地図作成の見通しと併せて報告する.
|
第244回 9月6日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams) |
陸上ボアホール歪観測による紀伊半島沖浅部SSEの検出
Detection of shallow SSE off the Kii Peninsula by onshore borehole strainmeter
講演者:板場 智史(地震地下水研究グループ)
2020年12月上旬から翌1月下旬にかけて,紀伊半島沖熊野灘において活発な浅部微動活動が観測された.2020年12月中旬~翌1月中旬にかけては,産総研のボアホール歪観測3点においてわずかな変化が観測された.観測された歪変化からプレート境界面上におけるすべりを仮定して断層面を推定したところ,微動発生域のうち西側・深部側においてMw6.2のすべりが推定された.微動発生域全体がすべったと仮定して断層面を推定したところ,その規模はMw6.6と推定された.
海域のボアホールにおける間隙水圧観測などによると,この領域では繰り返し浅部SSEが発生していることが報告されている.観測条件が良好な場合については陸域のボアホール歪観測でも有意な変化が検出され断層モデルの推定が可能であることが分かっている(例えば2016年4月).スタッキング手法を用いて過去の観測波形を網羅的に調査したところ,これらのイベント以外にもいくつかの浅部SSE発生の可能性がある事例が検出された.陸域の観測網は,浅部SSE発生領域からは大きく離れており,海溝軸(dip)方向へのすべりの広がりを把握することは困難である.一方でstrike方向の広がりなど,大まかな全体像を把握するには有用であると考えられる.
|
第243回 9月3日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams) |
機械学習による橋梁の損傷推定を想定した教師データセットの生成
Generating machine learning datasets on damage identification using finite element bridge model
講演者:竿本 英貴(地震災害予測研究グループ)
近年,機械学習は土木分野で積極的に適用されているが代表的なベンチマーク・データセットは十分に整備されていない.ベンチマーク・データセットを構築することは,機械学習のアルゴリズム評価や活用促進のために必要不可欠と考える.
以上の観点から,本研究では橋梁モデルに対する有限要素解析を通じて橋梁の損傷推定に対するデータセット(ノイズ・欠損を含まない)を 4 段階の難易度に分けて提案する.19の機械学習アルゴリズムに生成したデータセットを入力し,各アルゴリズムから得られた決定係数を基にデータセットの可否を評価した.
|
第242回 8月27日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams) |
九州南方沖の活断層と巨大噴火堆積物
Active faults and deposits of supereruptions in the southern offshore area of Kyushu
講演者:岡村 行信(名誉リサーチャー)
鹿児島県薩摩半島から大隅半島南方沖の反射探査断面を解析し,後期更新世以降の巨大噴火堆積物と,それらに変形を与える活断層及び沈降帯の分布を明らかにした.
地溝帯と言われている鹿児島湾との関係や,巨大噴火と断層活動との関係を議論する.
|
第241回 7月30日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams) |
奥尻島周辺海域の海底地質と変動地形
Geology and Tectonic Geomorphology around the Okushiri Island, SW Hokkaido, Japan
講演者:大上 隆史(地震災害予測研究グループ)
奥尻島周辺海域において,地質調査船「白嶺丸」による研究航海(GH94航海,GH95航海)で取得された音波探査記録にもとづき,海底地質のとりまとめを進めている.調査対象海域が位置する日本海東縁の「ひずみ集中帯」と呼ばれる領域は地震活動が活発であり,逆断層に伴う顕著な変動地形が発達している.本発表では先行研究をレビューし,層序および変動地形の検討結果を報告する.
|
第240回 7月16日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams) |
視認困難な津波堆積物の識別:防潮林帯での検討
Identification of invisible tsunami deposits: a case study at the coastal forest
講演者:篠崎 鉄哉(海溝型地震履歴研究グループ)
過去に発生した津波の痕跡は必ずしも目視で確認できる形態で地層中に保存されているわけではない.そのため,津波履歴・規模をより正しく推定するためには,視認可能な堆積物だけでなく,視認困難な堆積物を識別する必要があり,その手段の確立が求められている.本発表では,青森県おいらせ町の防潮林帯において視認困難な津波堆積物の識別を堆積学的・地球化学的観点から検討した結果について報告を行う.
|
第239回 7月9日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams) |
中国・四国地方における地震波速度構造の推定と地殻応力場に対する考察
Estimation of seismic velocity structure in the Chugoku and Shikoku regions and its considerations for the crustal stress fields
講演者:椎名 高裕(地震テクトニクス研究グループ)
中国・四国地方の地殻応力場は概ね東西圧縮の横ずれ場として特徴付けられる.一方,山陰地域や中央構造線北側の一部の領域では圧縮軸方位が西北西-東南東方向を向くことが知られている[例えば,Uchide, 2020; 今西・他, 2021].本研究では,中国・四国地方の地殻応力場の不均質性やその成因を地殻構造の観点から検討することを目的として,両地域における3次元地震波速度構造の推定を試みた.本発表では推定された地震波速度構造を示すとともに,中国・四国地方の不均質構造やそれらと地殻応力場との関係を議論する.
|
第238回 7月2日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams) |
単一地震計の非同一成分の相互相関を用いた地震波速度変化のモニタリング
Temporal change of seismic velocity by using the single-station cross-correlation of ambient noise
講演者:二宮 啓(地震災害予測研究グループ)
2つの地震計で観測された地震記録の相互相関を計算することで,観測点間を伝播する仮想的な地震波を抽出できる(地震波干渉法).この地震波干渉法を単一地震計の非同一成分に適用することで,観測点周辺を伝播する地震波を抽出できる.2観測点間の地震波干渉法では減衰の影響によって,高周波数の波を抽出することが難しい場合があるが,単一地震計の場合は高周波数の波を抽出でき,よりローカルな構造を反映できる.本研究では,熊本地震によって生じた地震波速度変化を単一地震計の相互相関関数を使って推定した.本発表では,手法の説明と推定した地震波速度変化の考察を行う.
|
第237回 6月25日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams) |
High resolution marine surface Δ14C reconstructions using marine organisms produced carbonate attached to tetrapods ashored by high-wave in northern Pacific Coast of Japan
講演者:レゲット 佳(活断層評価研究グループ)
Radiocarbon is produced in the upper atmosphere and distributed in surface of the Earth via carbon cycles and has been used for radiometric dating and as a tracer of Earth surface processes including ocean current. Due to global ocean circulation, apparent radiocarbon ages ranging from ca. 400 to 2,000 years (eg., Servettaz et al., 2019), known as marine reservoir ages. Thus, continuous monitoring of radiocarbon concentrations, Δ14C, has been conducted commonly using annual bands of coral skeletons to reconstruct local oceanography (eg., Hirabayashi et al., 2019). Though, it has mainly been restricted in low latitude since warmer water (higher than 18 degree C) is required to live for corals. One of the few studies that reconstructs the Δ14C values in higher latitude, such as Tohoku region, in Japan, Kubota et al. (2018) reported the Δ14C values in the inner bay of Otsuchi area using M.stimposoni shells. Yet the records could not cover recent Δ14C variations. Additionally, the M.stimposoni samples used in this study are mostly collected from 20 m deep from the sea surface, only one sample collected from shallow water at around 5 m water depth thus more information at shallow water is needed. Ota et al. (2019) also reported high resolution Δ14C records using abalone shells. However, habitat difference for individual tests could not provide the reference of local marine water Δ14C. In this study, we reconstruct the Δ14C of the sea surface by analyzing the calcium carbonate calcareous tubes of Hydroides elegans, which lives at ambient sea level. The samples were obtained from Iwate Prefecture and the carbonate tubes are found on tetrapods at an elevation of 7~8 m and were 30 m away from the nearest group of wave-dissipating blocks. According to the aerial photographs we identified the exact timing when the tetrapods were dislodged. Eighteen samples of carbonate tubes of Hydroides elegans have filled the gap of the dataset previously published by Kubota et al. (2018).
|
第236回 6月18日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams) |
三重県南伊勢町の湖底堆積物に残された過去3000年間のイベント堆積物
Event deposits in a coastal lake at Minami-ise Town, Mie Prefecture during the last 3000 years
講演者:嶋田 侑眞(海溝型地震履歴研究グループ)
三重県南伊勢町に位置する沿岸湖沼「こがれ池」の湖底堆積物から16枚のイベント堆積物が確認された.16枚のうち9枚では,肉眼観察により顕著な層相変化を認められなかったが,CT画像を用いることで有機質泥中の密度変化や堆積構造が確認された.イベント堆積物の堆積年代を推定するため,137Cs測定と大型植物化石および花粉を測定物とした放射性炭素同位体年代測定を行った.年代測定結果からベイズ統計を用いたAge-Depthモデル(Bchron;Haslett & Parnell, 2008)を作成した結果,16枚のイベント堆積物は過去約3000年間に形成されたことが明らかになった.E4,E5については,それぞれ1361年正平地震,887年仁和地震に対応する可能性がある.また,珪藻化石群集分析を行い,過去3000年間における古環境を復元した結果,最上位のイベント堆積物E1の上位では,汽水種の割合が増加することが分かった.E1は,137Csが検出されはじめる層準(検出限界)よりも上位に位置することから,1959年伊勢湾台風による高潮堆積物である可能性が高い.
|
第235回 6月11日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams) |
Poly-cataclasites
ポリカタクレーサイト
講演者:Yeo Thomas(地震テクトニクス研究グループ)
Poly-cataclasites are rocks that have undergone multiple episodic deformational histories. These rocks retained the microstructures developed from older deformational events. They are a common occurrence in the Median Tectonic Line Japan and can be used to evaluate the changes in rock deformational processes throughout the earthquake cycle in the seismogenic zone. We are able to identify two main deformational events based on the mineralogical and microstructural evidence. Microstructures of the co-seismic phase relates to the randomly oriented clast developed through fluidisation. Clast that are foliated formed during the aseismic phase through creeping accompanied by the precipitation of phyllosilicate minerals and the consumption of feldspathic minerals. This study provides insights into the underlying deformational processes during the earthquake cycle.
|
第234回 5月28日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams) |
Sea level Change and Fault Movement from Sediment Cores near Ube, Yamaguchi
講演者:Evan Tam(活断層評価研究グループ)
Changes in the earth’s surface are recorded in many types of proxies, including within sediments from the sea floor. Sea sediment cores retrieved from off the coast of Ube-shi, Yamaguchi-ken in the Seto Inland Sea have given us the opportunity to investigate a wide variety of topics, such as changes in sea level over the past 10,000 years, and fault activity associated with the Kikugawa fault zone and the Ube-nanpo-oki fault, which still require detailed parametrization to estimate average slip rates and slip intervals. Utilizing 14C dating of shell and bulk sediments subsampled from ocean cores and sediment elemental analysis, we are exploring how sea level has changed in the Seto Inland Sea over the last 10,000 years, and assessing fault activity recorded within our sediment cores.
|
第233回 5月21日(金) 14:00-15:00 オンライン(Teams) |
数値シミュレーション研究による大地震発生メカニズムの探究
Study on physical mechanisms of large earthquake generation using numerical simulations
講演者:浦田 優美(地震テクトニクス研究グループ)
大地震現象の理解・発生メカニズムの解明に向けて,数値モデル・シミュレーション研究を主軸に研究を進めてきた.断層破壊過程の基礎的な研究では,大地震に至る要因の一つと考えられている,thermal pressurization(摩擦発熱による間隙水圧上昇による断層摩擦の弱化)が断層の破壊伝播過程に与える影響を定量的に明らかにした.基礎的な研究に加え,岩石摩擦実験や自然地震のデータを基にしたモデリング研究にも取り組んできた.岩石実験の不安定すべり時のデータから摩擦パラメータを推定する手法を提案し,摩擦パラメータが累積変位量と載荷速度に依存することを示した.また,2016年熊本地震の前震—本震系列を再現するために必要となる背景応力場と断層摩擦パラメータの条件を求めた.本発表では,これらの研究内容を簡単に紹介したい.
|