部門長挨拶
2026年度当初のご挨拶
2026(令和8)年4月
研究部門長 石塚 吉浩
2026年度の開始にあたり,部門長としてご挨拶申し上げます.
産総研の第6期中長期計画は二年目を迎えました.社会全体が災害や危機に対して強くなる「レジリエントな社会の実現」に向けて,活断層・火山研究部門は「強靱な国土と社会の構築に資する地質情報の整備と技術開発」をミッションに掲げ,研究を推進してまいります.
このミッションのもと,当部門が主体となって進める地震・津波・火山に関する研究は,自然災害に負けない強靱な国づくりに不可欠であり,産業競争力の強化にも資する基盤です.加えて,研究開発のもう一つの柱である原子力利用に係る安全規制の支援研究も,現代社会に欠かせない重要なテーマであると考えています.
一昨年(2024年)元日には,能登半島で数千年に一度の規模となる地震(M7.6)が発生しました.昨年7月にはカムチャツカ沖でM8.7の巨大地震が発生し,さらに11月と12月には三陸沖および青森沖の地震を受けて,「後発地震注意情報」が初めて発表されました.これらを受け,能登半島地震では緊急調査を実施し,その結果をWebで公開するとともに,カムチャツカ沖,三陸沖,青森沖の地震についても関連情報を随時公開してきました.南海トラフ地震を含め社会的関心が一層高まる一方で,減災に向けて今後どのような研究が求められるのか,より深く検討していく必要があると感じています.
火山に目を転じれば,活火山法の改正により火山調査研究推進本部が一昨年度に発足し,新たな研究が始まるなど,大きな節目を迎えています.また,昨年6月には霧島山新燃岳で噴火が発生し,ドローン等を用いた調査結果を迅速に公開してきました.火山の調査研究体制は地震に30年遅れるとも言われますが,国が一元的に進める調査研究の中核機関として貢献できるよう,引き続き尽力してまいります.
我が国は地震・火山活動が活発な島弧変動帯に位置し,その上に高度に発達した社会が成り立っています.こうした現実を改めて踏まえ,当部門は,地震や火山噴火が発生した際はもとより,予兆が見られる段階から現場に赴いて調査を行い,科学的知見に基づいて災害の軽減と復旧活動の迅速化に貢献できる研究者集団でありたいと考えています.
今年度は5名の新規研究職員が当部門に加わりました.成果の社会実装に向けた橋渡しと人材育成を着実に進めることが,安全・安心な社会づくりに不可欠であることを改めて認識し,若い力とともに研究をさらに活性化させてまいります.
今後とも変わらぬご支援,ご指導を賜りますよう,何卒よろしくお願い申し上げます.

