部門長挨拶

2025年度当初のご挨拶

2025(令和7)年4月

研究部門長 石塚 吉浩

新年度の開始にあたり,新部門長としてご挨拶申し上げます.

産総研の第6期中長期計画がスタートし,活断層・火山研究部門は社会課題の解決である「レジリエントな社会の実現」にむけ,「強靱な国土と社会の構築に資する地質情報の整備と技術開発」をミッションに掲げて,研究を行っていくことになります. 
この中で,当部門が主体となって進めている地震・津波・火山に関する研究は,自然災害に負けない強靭な国づくりに不可欠であり,産業競争力強化の礎です.また,研究開発のもう一つの柱である原子力利用にかかる安全規制の支援研究も,現代社会になくてはならないテーマと考えています.
昨年(2024年)の正月には,能登半島で数千年の1度の規模となる地震(M7.6)が,また本年3月28日にはミャンマーで地震(M7.7)が起き,どちらも内陸直下型であったことから,甚大な被害が発生しました.これらの活断層で何が起こったか,能登半島地震では緊急調査を実施して結果を迅速にweb公開し,ミャンマー地震でも関連情報を公開してきました.一方で,なぜこれ程の被害になったのか,減災のためにどのような研究が今後必要か,更に深く考える必要があると感じています.
火山に目を転じれば活火山法の改正により,火山調査研究推進本部が昨年度に発足し,新たな研究が始まり,大きな節目を迎えているところです.火山の調査研究体制は,地震に遅れること30年と言われますが,国が一元化して行う調査研究の主翼機関として,貢献できるよう尽力します.
我が国は地震・火山活動が活発な島弧変動帯に位置し,私たちはその上で高度に発達した社会に生きていることを改めて認識し,当部門は地震や火山噴火が起こった際,あるいはその予兆には,自ら現場に出向いて調査を行い,科学的な知見から,災害の軽減と復旧活動の迅速化に力強く貢献できる研究者集団でありたい,と考えています.
今年度は5名の新人研究職員が当部門に加わりました.成果を社会へ橋渡し,また人材育成を進めることが,安全で安心な社会づくりのために必要であると再認識し,若い力とともにさらに研究を活性化したいと思います.今後とも変わらぬご支援ご指導を賜りますよう,何卒よろしくお願い申し上げます.