論文発表(査読誌:部門メンバーが筆頭)2018年

タイトル
Rapid estimation of the moment magnitude of the 2011 Tohoku-Oki earthquake (Mw 9.0) from static strain changes
著者
板場 智史
掲載誌
Earth Planets and Space
ボアホールひずみ計を用いて巨大地震のモーメントマグニチュード(Mw)を即時推定可能であることを示した.近地の地震記録を用いて地震発生後数分以内に発表される震源速報は,一般的にM8クラス以上の地震では飽和によりマグニチュードを過小評価してしまうが,本手法ではより正確なMwを推定可能であり,津波予測精度向上などが期待される.
タイトル
In situ permeability and scale-dependence of an active accretionary prism determined from cross-borehole experiments
著者
木下 千裕・Demian Saffer
掲載誌
Geophysical Research Letters
南海トラフ地震発生帯掘削計画の一環として西南日本に設置された海洋ボアホールの水圧記録から100 mスケールの原位置透水係数の推定を行なった. また,先行研究の室内実験や数値シミュレーションの結果と比較することで,透水係数のスケール依存性を明らかにした.この結果はスケールが 大きくなるほど断層やクラックの数が増え,それらが連結することでより水が流れやすくなることを示唆する.
タイトル
Pyroclastic density currents associated with the 2015 phreatomagmatic eruption of the Kuchinoerabujima volcano
著者
下司 信夫・伊藤 順一
掲載誌
Earth Planets and Space
口永良部島2015年5月29日噴火に伴って発生した小規模で比較的低温の火砕流について,取り込まれた人工物や植生の被害から火砕流末端部でもその内部温度は100℃~240℃程度で,秒速40m以上の流速を持っていたことを明らかにした.他の火山もふくめて水蒸気噴火で頻繁に発生する低温火砕流の実態を実例に基づき明らかにすることで防災対応上の基礎的なデータを提供した.
タイトル
Relation between the coupling and tremor rates in the transition zone around the Shikoku region
著者
落 唯史・武田 直人
掲載誌
Earth Planets and Space
四国地方でプレート間の固着速度と深部低周波微動の発生レートとの間に時間的相関のある場所が見つかった.相関のよい場所では,微動発生レートがゼロになるときには固着速度がプレート収束速度に近くなることが期待されることがわかった.この結果は,微動がプレート境界面で発生していることの証拠の一つである.
タイトル
Viscoelastic crustal deformation by magmatic intrusion: A case study in the Kutcharo caldera, eastern Hokkaido, Japan
著者
山崎 雅,Tomokazu Kobayashi,Tim J.Wright,Yukitoshi Fukahata
掲載誌
Journal of Volcanology and Geohtermal Research
3次元有限要素モデルを用いてマグマ活動(ここでは特にシルの定置)に対する粘弾性地殻・マントルの応答を記述し,その第一近似的な振る舞いを次のように特徴づけることができた;シルの定置により地表面は隆起するが,それに対する粘性緩和応答はその隆起を抑え込もうとする.この成果により地殻変動観測から地下のマグマ活動を探るための新たな知見が与えられた.
タイトル
Effects of confining stress on the semipermeability of siliceous mudstones: Implications for identifying geologic membrane behaviors of argillaceous formations
著者
竹田 幹郎,間中 光雄
掲載誌
Geophysical Research Letters
泥質岩を対象とする化学的浸透実験を実施し,応力開放の影響を受けた泥質岩の半透膜性は応力載荷によって不可逆的に増加し,応力が一旦過去最大埋没応力を超えると応力に追従して可逆的に変化することを初めて明らかにした.この結果は,泥質岩層中の地下水や地下水成分の移行における化学的浸透や限外濾過の影響を正確に特定するために不可欠な知見である.
タイトル
Temporal variations in volumetric magma eruption rates of Quaternary volcanoes in Japan
著者
山元 孝広,工藤 崇,石塚 治
掲載誌
Earth Planets and Space
火山活動の長期評価には,定量的な活動履歴情報が必要となる.本研究では,国内の代表的29火山のマグマ噴出率の過去の時間変化を検討し,その特徴を取りまとめた.その結果,噴出率が長期間一定である火山はむしろ例外的で,変動した事例の方が多い.マグマ組成に変化がない場合には噴出率が下がるのに対して,マグマ供給系に変化があるときは噴出率が上がる傾向が認められる.
タイトル
Diatom assemblages in tsunami deposits from the 2011 Tohoku earthquake along the Misawa coast, Aomori Prefecture, northern Japan
著者
谷川 晃一朗,澤井 祐紀,行谷 佑一
掲載誌
Marine Geology
青森県で採取した東北地方太平洋沖地震の津波堆積物に含まれる珪藻化石群集を分析し,内陸の地点では津波堆積物中に海生珪藻があまり見られないことを明らかにした.この結果は,古津波堆積物においても同様に海生珪藻がほとんど含まれない事例が存在することを示唆し,古津波堆積物の認定の際に留意すべき知見である.
タイトル
Mid to late Holocene marine inundations inferred from coastal deposits facing the Nankai Trough in Nankoku, Kochi Prefecture, southern Japan
著者
谷川 晃一朗,宍倉 正展,藤原 治,行谷 佑一,松本 弾
掲載誌
Holocene
高知県南国市の海岸低地で約2400~6000年前に堆積した4層のイベント砂層を検出し,堆積物の分布域や地形条件及び珪藻化石分析から,これらが津波もしくは大規模な高潮により形成されたことを明らかにした.これらの砂層の直上直下から採取した植物化石の放射性炭素年代を用いて推定したイベント年代は,南海トラフの地震・津波の履歴解明に貢献するデータである.
タイトル
Salt shell fallout during the ash eruption at the Nakadake crater, Aso volcano, Japan: An evidence of an undergrounds hydrothermal system surrounding the erupting vent
著者
篠原 宏志,下司 信夫,横尾亮彦(京都大学),大倉敬宏(京都大学),寺田暁彦(東京工業大学)
掲載誌
Earth Planets and Space

ストロンボリ式噴火が頻発していた2015年の阿蘇火山中岳火口において中空球状の降下物を発見し,それが火口湖水の液滴が噴煙中輸送の間の蒸発乾固により生じたものであることを明らかにした.この成果により,阿蘇火山ではマグマ噴火中にも火口直下には熱水系が存在しており,熱水系と噴火火道の不安定化によるマグマ水蒸気噴火の発生はいつでも起こり得ることが示された.
タイトル
Fluid inclusion studies of comb quartz and stibnite at the Hishikari Au-Ag epithermal deposit, Japan
著者
清水 徹
掲載誌
Resource Geology
菱刈金銀鉱床の石英と輝安鉱(アンチモン硫化鉱物)を用いて,流体包有物の加熱・冷却実験を行い,石英と輝安鉱形成時の熱水温度はそれぞれ207-230°C及び113°Cであることを明らかにした.この結果は石英成長後に熱水活動が弱まって温度が下がった時に輝安鉱が形成したことを意味し,深部流体・熱水活動の多様性理解に資するものである.
タイトル
Normal-faulting stress state associated with low differential stress in an overriding plate in northeast Japan prior to the 2011 Mw 9.0 Tohoku earthquake
著者
大坪 誠,宮川歩夢,今西和俊
掲載誌
Earth, Planets and Space 2018
福島県いわき地域での2011年東北沖地震発生前の時間的空間的な応力変化を明らかにした.この成果は,2008年以降に卓越するマグニチュード7クラスの海溝型地震後の地殻変動の影響の可能性を示したもので,この地域の断層運動を起こす応力の理解に資するものである.
タイトル
Fault rupture model of the 2016 Gyeongju, South Korea, earthquake and its implication for the underground fault system
著者
内出崇彦, S. G. Song
掲載誌
Geophysical Research Letters, vol. 45, 2257-2264, doi:10.1002/2017GL076960(2018年)
2016年韓国・慶州(キョンジュ)地震(マグニチュード(ML) 5.8=韓国地震観測史上最大)とその最大前震(ML 5.1)の破壊過程を地震波形解析によって推定し,高い応力降下量や両地震で逆向きの破壊伝播といった特徴を明らかにした.地震活動が低調な韓国において,断層構造の解明と強震動の見積もりに貢献する研究結果である.
タイトル
Underestimation of microearthquake size by the magnitude scale of the Japan Meteorological Agency: Influence on earthquake statistics
著者
内出崇彦,今西和俊
掲載誌
Journal of Geophysical Research - Solid Earth, 123, 606-620. 2018, DOI: 10.1002/2017JB014697
微小地震では,気象庁マグニチュード(Mj)がモーメントマグニチュード(Mw)に比べて系統的に低いという事実を発見し,主に地震波形記録のデジタル変換に起因することを明らかにした.本研究の成果は,地震発生予測等を目指した地震活動解析の改善に資するものである.

 

タイトル
Effects of longitudinal valley slopes on runup of the 2011 Tohoku tsunami on the Sanriku coast, northeastern Japan
著者
大上隆史,須貝俊彦
掲載誌
Quaternary International, 2018
三陸海岸の河川群を対象として,河谷に沿った津波の遡上高および遡上距離の空間的なばらつきが河床縦断面形の違いによって説明できることを明らかにした.これにより,リアス海岸における津波災害予測の高度化のためには,陸上における地形効果の理解が重要であることを実証的に示した.

 

タイトル
Age of Izu-Bonin-Mariana arc basement
著者
石塚 治,Hickey-Vargas, R.,Arculus, R.J., Yogodzinski, G.M., Savov, I.P, 草野有紀,McCarthy A., Brandl, P., Sudo, M.
掲載誌
Earth and Planetary Science Letters, 48, 80-90, 2018
伊豆-小笠原-マリアナ島弧の基盤岩を国際深海掘削計画(IODP)により初めて採取,その形成年代を40Ar/39Ar年代測定法により決定すると同時に化学組成を明らかにした.海洋プレート沈み込み開始期からその後におきた地質現象について初めてその詳細を明らかにし,モデル化したものであり,この成果はプレートテクトニクス理論の第一級の未解決課題である,プレート沈み込み開始過程の解明に直結する.

 

タイトル
In-situ Permeability of Fault Zones Estimated by Hydraulic Tests and Continuous Groundwater-Pressure Observations
著者
松本則夫,重松紀生
掲載誌
Earth Planets and Space, 2018
三重県内の中央構造線断層帯(MTL)の透水係数を産総研が掘削した2本の井戸の水理試験と長期水位観測で求めた.求めた透水係数は,MTLの露頭で断層帯の中央からの距離ごとにサンプリングされた岩石の実験から求めた詳細なMTLの透水構造を示した既往研究と類似した値となり,MTLの複雑な透水構造を反映していることがわかった.