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活断層・地震研究セミナー

研究者間の意見交換,議論を目的とした公開セミナーです.
一般の方でも聴講可能ですが,内容は専門家向けです.産総研では立ち入りに手続きが必要ですので,外部の方で聴講を希望される場合,予め問い合わせページからご連絡ください(報道,行政機関の方は,所属もお知らせ下さい).折り返し,当日の 入館手続きをご連絡させていただきます.

2020年度 2019年度 2018年度 2017年度 2016年度 2015年度 2014年度

第37回 3月27日(金) 15:00-16:00 別棟大会議室(7-3C-211)

日本海の活断層

講演者:岡村 行信(首席研究員)

日本海の活断層は,東縁部から西に向かって減少する傾向があるが,最近の解析で島根半島以西で再び活断層が増加する可能性があることが明らかになってきた.その原因を考察した上で,日本海全体の活断層の特徴と課題を整理する.

第36回特別セミナー 3月24日(火) 16:00-17:00 別棟大会議室(7-3C-211)

Nanocrystalline and amorphous materials on fault planes

講演者:Virginia Toy 氏 (University of Otago)

共同研究者: Dr. Thomas Mitchell (University COllege, London), Dr. Anthony Druiventak (Ruhr University-Bochum), Dr. Richard Wirth (GFZ Potsdam), Prof. Joe White (University of New Brunswick).

 

The geological community has only recently recognised that development of partially amorphous (commonly nanocrystalline) materials within fault zones allows dramatic reduction of frictional shear resistance. We are investigating the generation mechanisms and strength evolution during shear of these materials, as these factors influence earthquake rupture nucleation, propagation, and arrest. I will describe and discuss a partially amorphous material generated by comminution during experimental deformation and present a novel theory about how crystallographic preferred orientations may have developed in this material. We are also engaged in a search for such materials in the principal slip zones of active plate boundary-scale faults, and I will present recent relevant observations.

第35回 3月20日(金) 15:00-16:00 別棟大会議室(7-3C-211)

「東南海・南海地震予測のための地下水等総合観測点整備」に伴う地殻応力測定

-水圧破砕試験による応力値データの検討-

講演者:佐藤 隆司(地震テクトニクス研究グループ)

「東南海・南海地震予測のための地下水等総合観測点整備」では,これまでに7 地点で水圧破砕法による地殻応力測定が行われた.これらの測定では,地殻応力(特に水平最大圧縮応力)を精度よく計測するため,測定区間近傍で流量を測定 することが試みられているが,そのことに起因する問題点もある.ここでは,これらの問題点を考慮し,より確からしい応力値を求めることを試みたので報告する.

第34回 3月16日(月) 14:00-15:30 別棟大会議室(7-3C-211)

Forecasting our Earthquake Predictability

講演者:Margarita Segou(統計数理研究所)

The last decade dense seismological networks around the world provide the opportunity to study more aftershock sequences in seismically active areas across the world such as California (San Andreas Fault), Japan, New Zealand (Canterbury Fault, Christchurch) and continental rift systems (Corinth Gulf, Greece). The importance behind that is evident; the 2008 M7.9 Sichuan event continues having catastrophic aftershocks (2013 Lushan M6.6) after five years. The above provide the necessary motivation for geophysicists to develop short and long-term earthquake forecasts for providing to scientists and the public authoritative information on seismic hazard and answer ultimately the question *When the next big earthquake will occur*.

Static and dynamic triggering are often described as the two primary provided evidence that physics-based earthquake forecast models, combining fault aging laws and the static stress triggering hypothesis, can accurately predict (80%) transient seismicity rates. Static triggering plays an important role in spatial clustering at distances 2-3 rupture lengths away from the seismic source whereas dynamic triggering studies usually focus on larger distances (>1000 km). But how dependent are our calculations on our incomplete knowledge of the ambient stress of a region? What are the implications behind the time dependent fault behavior? The last two questions are the key for reducing the uncertainties of physical forecast models. Quite often the development of such quantitative and testable models is followed by extensive statistical performance evaluation, which is critical for understanding their merits and pitfalls.

In this seminar I focus on recent development on physics-based earthquake models using worldwide examples and how they compare with statistical models. Furthermore, I discuss how we can reduce their uncertainties and sketch the future of our scientific predictability. *Is it possible to expect higher information gains in the near future?* and, *How these forecast models could be most effective in Japan? *

第33回 3月13日(金) 14:00-16:00 別棟大会議室(7-3C-211)

14:00-15:00

目撃証言を次の南海地震予知につなげるために

講演者:梅田 康弘(京都大学名誉教授)

以下の4つについてお話しします.

1.目撃証言を次の南海地震予知につなげるために

証言収集の目的と,目的達成までの各ステップについて説明します.

2.四国の証言に関する論文の紹介

地質調査研究報告(65巻,2014)のトピックスを紹介します.

3.紀伊半島の上下変動

2014年地震学会発表の簡単紹介です.

4.再現性についての調査

安政南海地震前にも津波があったらしく,これからの調査について.

 

15:00-16:00

土壌ガスによる断層探査

講演者:高橋 誠(地震地下水研究グループ)

しばらく前までは,地球化学的手法による地震予知が流行っていたが,その後はあまり重視されていないように思われる.主な理由は,検出するためには物質の移動が必要であり,かつ移動するためには長時間を要するため,予知には適さないと考えられる.それに対して,地下構造探査等には時間分解能を必要としないので,地下流体を指標とした調査は有効である.トレンチ調査と並行して行われた土壌観測結果等を紹介し,地下流体を利用した断層探査の有効性を検討する.

第32回 3月6日(金) 15:00-16:00 別棟大会議室(7-3C-211)

含水条件の断層ガウジが示す極めて低い摩擦抵抗について

講演者:東郷 徹宏(地震テクトニクス研究グループ)

近年,日本海溝におけるJ-FASTプロジェクトなどで試みられたように,大地震後の断層沿いの温度異常から,地震時の摩擦強度を見積もる研究が世界的に注目を集めている.2008年5月12日に中国の四川省で発生した川地震(Mw= 7.9,四川大地震とも呼ばれる)では,Wenchuan Earthquake Fault Scientific Drilling (WFSD)と呼ばれるプロジェクトで地震直後の断層掘削が行われた.WFSD-1孔は地震後1年以内という非常に迅速に掘られた掘削孔であり,地震時の摩擦発熱を捉えることに成功し,復元された地震時の摩擦係数は0.06以下の極めて低い値が報告された(Li et al., 2015).そこで発表者は,掘削孔に近い虹口露頭から採取した断層ガウジに25重量%の水を加えて含水条件下で摩擦実験を行い,地震時の摩擦抵抗について検討を行った.実験時のすべり速度は1.3 m/sの地震時のすべり速度に近い高速度領域で実験を行い, 垂直応力は1.0~4.8 MPaを用いた.実験の結果,定常摩擦係数は0.03~0.14という極めて低い値に達することが明らかになり,温度検層から復元された摩擦係数とよく一致する結果が得られた.このことは,断層面は地下数キロ以浅では,地震時の摩擦抵抗は極めて低いことを示唆している.また発表者は現在,2012年に三重県の飯高町で発見された中央構造線の粟野露頭から採取した試料を用いて,三軸摩擦実験を行っている.実験条件は有効圧100 MPa(封圧150 MPa,流体圧50 MPa)で温度を室温から400℃に変えて摩擦挙動の測定を行った.その結果,最新すべり面の断層ガウジは,100℃以下の温度では極めて低い摩擦係数を示すのに対し,200℃以上では摩擦係数が極端に増加していく傾向を示した.これらの結果は,高い有効応力であっても,地下浅部の条件では断層面の摩擦抵抗が小さい可能性を示唆している.なぜこのような傾向を示すのかについては現在検討中であるものの,一連の実験結果について議論を行う.

第31回 2月27日(金) 15:00-16:00 別棟大会議室(7-3C-211) ※場所がいつもと異なります.

繰り返し注水実験による野島断層帯の透水性の時間変化

講演者:北川有一(地震地下水研究グループ)

野島断層は1995年兵庫県南部地震の地震断層の一つであり,京都大学が中心となって地震発生直後の野島断層の研究を実施してきた.試みの一つが断層帯への繰り返し注水実験(1997年以降7回実施)であり,断層の回復過程を調査することが目的の一つである.発表者は地下水観測によって断層帯の透水性の時間変化を推定したので,その結果を紹介する.

第30回 2月20日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

2014年長野県北部の地震の発生場の特徴

講演者:今西 和俊(地震テクトニクス研究グループ)

2014年11月22日,長野県北部を震源とするM6.7の地震が発生し,神城断層の一部がずれ動いたことが報告されている.この地震の発生場の特徴を明らかにするため,本震の4日前から起こり始めた前震と余震活動について,震源決定と震源パラメータの推定を行ったので,その結果を報告する.さらに先行研究による当該地域の地震活動や地殻構造も含めて,この地震の発生場の特徴について議論する.

第29回 2月13日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

水理試験と連続水位観測による断層帯の水理特性の解析

講演者:松本 則夫(地震地下水研究グループ)

南海・東南海地震予測のための地下水等総合観測施設整備の一環として,三重県松阪市飯高町で中央構造線を貫く観測井を掘削し,コアサンプルを取得し検層・水理試験などの各種試験を実施するとともに,地下水位・ひずみ・傾斜・地震等を連続観測している.ここでは,掘削直後の水理試験および地下水位の連続観測から推定された中央構造線の断層帯下部の水理特性を紹介し,中央構造線の露頭サンプルを用いた岩石実験による透水係数の既往研究とともに議論を行う.

第28回 2月6日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

山口県菊川断層帯の古地震調査

講演者:宮下 由香里(活断層評価研究グループ)

菊川断層帯は,山口県西部に北西-南東走向で分布する長さ約44kmの活断層である.近年の沿岸海域調査および空中写真の再判読結果から,同断層帯は北西側海域に約40km,南東側陸域に約20km延びることが指摘されており,この場合の総断層長は約100kmにも及ぶ.同断層帯の最新活動時期は,約8,500年前-約2,100年前と幅が広く,平均活動間隔は不明である.そこで,今年度,将来予測に必要な古地震パラメータ取得を目的とした調査を行っている.下関市菊川町でトレンチを掘削した結果,壁面にはほぼ垂直な断層帯が露出した.現段階では,2回の古地震イベントを認定している.現在進行中のトレンチ掘削調査について紹介する.

第27回 1月30日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

小倉東断層のトレンチ調査

講演者:吉岡 敏和(活断層評価研究グループ)

小倉東断層は,九州地方北部を北北東-南南西方向に延びる西側隆起の活断層である.この断層については,これまでの調査で最新活動時期が約4,600年前-2,400年前とされていたが,それ以前の活動時期や活動間隔は不明であった.今回,北九州市小倉南区志井においてトレンチ調査を実施したところ,壁面には高角度の明瞭な断層が露出し,1万数千年前から3万数千年前の堆積物を累積的に変位させていることが確認された.これにより,小倉東断層の活動間隔が明らかとなり,将来の地震発生確率が計算できることが期待される.

第26回 1月23日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

大分堆積盆の速度構造調査

講演者:吉見 雅行(地震災害予測研究グループ)

大分堆積盆は別府-島原地溝の北東端および中央構造線西端部に位置する堆積盆で,基盤震度は4kmに達する.文部科学省委託調査事業「別府-万年山断層帯(大分平野東部-由布院断層帯東部)における重点的な調査観測」(H26年7月開始:3年度計画)の一環として,堆積盆の速度構造調査を実施している.これまでに,大分・別府地域の10地域にて微動アレイ探査を実施したほか,広帯域地震計12点の観測点網を構築し連続微動観測を実施中である.本セミナーでは,調査の狙い,計画およびこれまでに得られた成果を報告する.

第25回 1月9日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

1981年以降の東海長期スロースリップの規模・継続時間の考察

講演者:落 唯史 (地震地下水研究グループ)

1980年頃から2000年までの水準・辺長測量のデータから,1983,1988年付近にそれぞれ1,3年程度継続する間欠的なイベントを検出した.2000年代前半の長期スロースリップイベン ト(SSE)時の地殻変動パタンとの比較から,少なくとも1988年付近のイベントは長期SSEによるものといえる.このイベントの規模・継続時間・発生場所を推定し,東海地域の長期SSEは,見つかっている範囲では他の地域のSSEと比べて継続時間が長いことを示す.

第24回 12月25日(木) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

断層深部の岩石

講演者:重松 紀生(地震テクトニクス研究グループ)

陸活断層の破壊は一般に断層深部から始まる.従って断層深部の現象は地震を理解する上で重要である.現在,中央構造線を含めて深部の断層岩についての調査を進めている.ここでは,これまでの掘削を含めた調査でわかったことをまとめるとともに,これらの調査結果に基づき,今後の調査予定,また実験・理論と結び付けることでどのように断層深部について描像するかについての計画の概要について説明を行う.

第23回 12月12日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

岩手県陸前高田市広田湾における津波堆積物調査

講演者:松本 弾(海溝型地震履歴研究グループ)

岩手県陸前高田市の広田湾で7月に実施した津波堆積物調査結果を紹介する.三陸海岸のような平野が狭い地域で古津波堆積物を検出し津波履歴を解明 すること が可能かどうかを検討することを目的として調査を行い,広田湾内の5地点(水深27.5-42.4 m)から掘削長約4 mのバイブロコア試料を得た.コアの最上位には2011年津波堆積物と思われる砂層がみられたほか,過去数千年間に数枚のイベント層と考えられる貝殻層が 形成されていることがわかった.これらのコア試料の解析途中経過を報告する.

第22回 12月5日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

佐賀平野北縁断層帯の第四紀後期の活動について

講演者:丸山 正 (活断層評価研究グループ)

佐賀平野北縁断層帯は,平成25年2月に地震調査委員会により公表された「活断層の地域評価(九州地域)」で新たに長期評価の対象とされたものである.この断層については,これまで詳細な変動 地形,古地震調査,地下構造探査は行われておらず,断層の分布,形状,活動履歴などが十分には解明されていない.

産総研では,文部科学省の委 託調査事業として平成25年度と平成26年度の2ヶ年にわたり同断層帯の活動性 に関する調査を実施している.ここでは,これまでに実施した地形判読,断層帯を横切る反射法地震探査,群列ボーリング調査およびトレンチ調査に基づいて第四紀後期の活動の特徴を報告する.

第21回 11月28日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

糸魚川-静岡構造線活断層系・松本盆地東縁断層北部における最新活動の変位量-長野県大町市平借馬トレンチ調査

講演者:勝部 亜矢(活断層評価研究グループ)

松本盆地東縁断層は,糸魚川-静岡構造線活断層系の北部に属する全長約35kmの活断層である.同断層の北端部は,さらに北方に位置する神城断層に対し左雁行状にステップし,両断層が地震時に連動する可能性が指摘されている.連動性評価に資する地震時変位量を復元するため,大町市平借馬地区において圃場整備前の空中写真および写真図化DEMを基にした活断層トレースの再検討とトレンチ調査による古地震調査を行った.トレンチ調査では,東傾斜30~40度の3つの剪断面によって,約3300~3400年前の木炭を含む砂層を約1.6m上下変位させる逆断層が認められた.今後,最新活動時期等を詳細に検討する.

特別セミナー 11月20日(木) 15:00-16:00 7-1-531 第3会議室

The Roots of the Rocky Mountains: EarthScope and Deep Crustal Imaging of Thick-skinned Fold and Thrust Belts

Prof. Anne Sheehan (University of Colorado at Boulder)

The EarthScope Flexible Array Bighorn Arch Seismic Experiment (BASE) was a combined active and passive source seismic experiment that covered the Bighorn Basin, Bighorn Mountains, and Powder River Basin in North Central Wyoming, USA in 2009-2010. The goal of the BASE project is to investigate crustal structure and distinguish between competing models for formation of basement-involved foreland arches. The BASE experiment included 38 broadband and172 intermediate period three-component EarthScope Flexible Array seismic stations folded into the concurrent EarthScope USArray Transportable Array network. The active-source component of BASE included data from 21 seismic shots recorded on 1800 4.5 Hz vertical component geophones attached to Reftek RT125 'Texan' dataloggers deployed in a 300 km-long east-west profile and a 250 km-long north-south profile. Station spacing was 100 m in the central part of the E-W line and 500 m elsewhere. In addition to conventional active and passive source seismic data acquisition, BASE included a deployment of 850 geophones that recorded continuously over 14 days in 5 lines traversing and paralleling the range. Analysis of Bighorn Project data to distinguish between competing hypotheses for formation of basement cored foreland arches through seismic imaging and structural geology will be presented and discussed.

第20回 11月7日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

反射法地震探査から推定される大宮台地北部の形成史

講演者:堀川 晴央(地震災害予測研究グループ)

大宮台地北部を横切る北東-南西方向の測線を設定し,地表下1km程度までを高分解能でイメージングすることを目指した反射法地震探査を実施し,大宮台地の形成史を考察した.得られた断面では,綾瀬川断層に対応する撓曲が台地の北東縁に認められるほか,台地の南西側に伏在している,北東側の翼が長く緩傾斜である非対称な背斜構造が認められ,北東傾斜の逆断層の活動が示唆される.台地の形成は,まず北東傾斜の逆断層の活動により台地下に背斜が成長することで生じたと考えられる.その後現在にかけては,綾瀬川断層に対応する撓曲が成長する形で隆起が進行したと考えられる.なお,北東傾斜の逆断層では最近の活動は認められない.

第19回 10月10日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

日本列島活断層群での長期的な地震活動シミュレーターの開発

講演者:桑原 保人(活断層・火山研究部門)

我々はこれまで,様々な地質・地球物理データに基づき, 日本列島の地殻の温度構造やレオロジー構造モデルを作成してきた.今回は列島中央部のレオロジー構造モデルに,主要な活断層群の構造を導入し,それらの活断層での数万年単位での地震活動のシミュレーション実施した.そのモデルや現在までに得られた結果について紹介する.

第18回 10月3日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

動力学的破壊シミュレーションによる傾斜する断層の連動性の検討

講演者:加瀬 祐子(地震災害予測研究グループ)

平行な2つの逆断層の連動性について,断層の走向と最大水平圧縮応力のなす角度,セグメント境界の規模と形状,および破壊の伝播方向を変えて,数値実験により検討した.純粋な逆断層の場合,1枚目の断層が破壊することによって生じる応力変化により,断層の傾斜方向にステップする場合の方がやや連動しやすい傾向にある.また,横ずれ成分を伴う逆断層では,断層の傾斜方向とステップの方向との両方の影響を受けるため,連動性を考える上では,大まかなすべりのセンス(逆断層,右横ずれ,左横ずれ)だけではなく,すべりの方向に関する詳細な情報が必要であり,断層の傾斜方向も考慮して慎重に議論する必要があることが明らかとなった.

第17回 9月26日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

群馬県東部における短い活断層の分布と活動性,地下形状の推定-大久保断層および太田断層-

講演者:近藤 久雄(活断層評価研究グループ)

近年の地形・地質学的調査により,大久保断層と太田断層の存在と詳細な分布が明らかになった.大久保断層は赤城火山麓南斜面から南東へ延び,渡良瀬川流域に発達する河成段丘面群を横断して累積的な上下変位を与える.後期更新世段丘面の火山灰編年結果に基づき,大久保断層の上下平均変位速度は0.2-0.4mm/yrと推定された.同断層の長さは地表で約9kmと短いものの,少なくともB級の活動性や段丘形成史,地質構造と重力異常から判断して,地下の長さは40kmを越えると推定される.また,大久保断層および太田断層は,足尾山地を構成する足尾帯と関東平野の第四系境界付近に位置し,従来は実態が不明確であった柏崎銚子線の一部と考えられる.

第16回 9月19日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

若狭湾周辺の活断層調査データから見えてきた断層活動の連鎖と消長

-特に最近千年間の著しい活動の連鎖と未破壊断層について-

講演者:杉山 雄一(活断層・火山研究部門)

若狭湾周辺の活断層の調査データを取りまとめた結果,次のような特徴が見えてきた.

一つ目は,三方断層帯と野坂断層帯の約1万年前~5千年前の3回の活動+17世紀頃の活動等で示される*「近接断層の連動もしくは連鎖的活動」*である. 二つ目は,柳ヶ瀬断層中~北部(~甲楽城断層南端部)の完新世活動の低調化とその西側を並走する浦底-柳ヶ瀬山断層帯の完新世における活発な活動から示唆される *「活動域の移動」*である.三つ目は,多くの活断層・活断層帯で確かめられてきた過去千年間の活動とおぼろげながら分かってきた後期更新世以降の活動間隔から感じ取れる*「最近千年間の著しい活動の連鎖」*である.

この千年間でまだ活動していない可能性がある断層として,柳ヶ瀬断層北部,敦賀断層北部,白木-丹生断層,C断層系,熊川断層,FO-A・FO-B断層が挙げられる.これらの断層には,1)
次の活動が迫っている断層,2) 上記二つ目の特徴や近傍断層の活動の影響により,歪があまり蓄積されていない断層が含まれると考えられる.

第15回 9月5日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

位相最適化に基づく断層形状推定手法の開発

講演者:竿本英貴(地震災害予測研究グループ)

地表の変位分布から断層形状を推定することは,地震被害想定や都市計画の観点からは重要な課題の一つである.これに対し,高い精度で断層形状を推定することを目標として,有限要素法と位相最適化を組み合わせた手法の開発を行っている.本セミナーでは,(1)従来手法と提案手法の特徴,(2)位相最適化の特徴, (3)断層形状推定問題に対する定式化,(4)提案手法を用いたいくつかの計算例,について発表する.

第14回 8月29日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

高田平野西縁断層帯海域延長部における断層・褶曲分布について

講演者:阿部 信太郎 (地震災害予測研究グループ)

平成25年度文部科学 省委託「沿岸海域における活断層調査」の一環として,高田平野西縁断層帯の海域延長部において,ユニブームを震源とする高分解能マル チチャンネル反射法地震探査31測線を実施した.また,断層帯が陸域から海域 に至る沿岸部においてはチャープソナーにより完新統堆積物の分布状況を把握し,バイブロコアラーによる柱状採泥を実施した.本講演においては,これらの調査結果に基づく断層,褶曲の分布,性状とその活動性についての検討結果を報告する. また,現在実施中の平成26年度「沿岸海域における活断層調査」についても 紹介する.

第13回 8月8日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

東北地方太平洋沖における小地震の応力降下量の空間分布

講演者:内出 崇彦(地震テクトニクス研究グループ)

東北地方太平洋沖地震やその他巨大地震が発生すると考えられる断層の状態を事前に評価することを目指して,同じ場所で発生する小地震の特性を利用できないかと検討しているところである.その手掛かりとして,東北地方太平洋沖で発生した小地震の応力降下量を解析し,その空間分布を調べた.その結果,青森県東方沖と宮城県沖ではより高い応力降下量が認められたのに対して,三陸沖や福島沖では中程度ないし低い応力降下量が見られた.この解釈はまだ難しいところもあるが,高応力降下量域の一部は,2011年東北地方太平洋沖地震の際にバリア的にふるまった可能性がある.

第12回 7月25日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

物理検層で検出した透水性亀裂と応力場の関係

講演者:木口 努(地震地下水研究グループ)

産総研が愛知県~紀伊半島~四国において地下水等総合観測点として掘削した硬岩地域の孔井において,物理検層で検出した透水性亀裂の向きと現在の応力場にどのような関係があるのかについて検討した.透水性亀裂として引張り破壊型とせん断破壊型の2つの亀裂モデルを想定した.透水性亀裂の向きが引張り破壊型に対応する傾向を示し応力場の影響を受けている可能性を示す地点があったが,一方,透水性亀裂が現在の応力場の影響を受けているとは言えない地点もあった.発表では,2つの亀裂モデルとこれまでの適用例,今回の7地点における亀裂の向きの分布の特徴などについて説明する.

第11回 7月18日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

岩石強度の時間依存性に対する水の影響

講演者:増田 幸治(活断層・火山研究部門)

岩石の強度は,歪速度によって変化したり,クリープ破壊現象にみられるように,時間に依存する.時間依存の性質は,岩盤の長期安定性評価や地震発生メカニズム解明にとって重要である.岩石強度の時間依存性のメカニズムは,「アスペリティ先端部での,ゆっくりしたクラック進展によって引き起こされるミクロな破壊である」というモデルを検証した.水の影響には,物理的効果(有効圧)と化学的効果があるが,このメカニズムが有効に働いているのなら,水の化学的影響が観測されるはずである.ゆっくり進行する現象を観察可能な速度で再現するために,実際の環境より高温状態で摩擦強度に対する水の影響を調べた.温度を上げることで現象を加速できる.その結果モデルを支持するデータを得た.

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第10回 7月11日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

深部低周波微動カタログの基本的特性

講演者:武田 直人(地震地下水研究グループ)

深部低周波微動(LFT)の検出・カタログ化は各研究機関が独自に行っており,LFT活動の様子を詳細に見ようとすると,ところどころ異なっている事がある.今回のセミナーでは,気象庁・防災科研・産総研のカタログを用い,相互比較による基本的特性の導出法を考案し,それぞれのカタログを評価した結果及び,この特性がLFT観測結果にどのような影響を与えるかの実例を紹介する.

第9回 7月4日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

5mグリッドDEMから作成する変動地形判読のためのアナグリフ式立体等高線図

講演者:粟田 泰夫(活断層評価研究グループ)

フリーソフトウェアであるSimpleDEMViewerを使用して,国土基盤情報数値標高モデル(5mメッシュ)等から詳細等高線図を作成し,さらにアナグリフ式ステレオ画像に加工する手法を紹介する.作成した立体等高線図をディスプレー上で判読することにより,数100平方km程度の広範囲の地形を,最大縮尺約1万分までの精度で連続して判読することが可能になる.

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第8回 6月27日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

南海トラフに沈み込む堆積物の物性

講演者:北島 弘子(地震テクトニクス研究グループ)

南海トラフではフィリピン海プレートとともに約2kmの厚さの堆積物が沈み込んでおり,地震発生深部においても重要な役割を果たしていると考えられる.IODP南海掘削(NanTroSEIZE)で採取された,沈み込む前の堆積物(泥質岩・珪砕屑性砂岩・火砕性砂岩)について圧密・変形実験を行い,間隙率・浸透率の変化を評価した.間隙率・浸透率は沈み込みにともなって減少していくが,珪砕屑性砂岩は深部においても火砕性砂岩・泥岩より2-3桁高い浸透率を保つことが明らかになった.

第7回 6月20日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

和歌山県串本町橋杭岩周辺に残る漂礫群から推定される過去の津波

講演者:行谷 佑一 (海溝型地震履歴研究グループ)

和歌山県串本町の橋杭岩周辺の波食棚上には,同岩から分離した漂礫が多数分布している.これらの漂礫は津波や高潮といった何らかの外力によって現在の位置まで運ばれたと考えられている.例として1707年宝永地震の津波計算を行い漂礫に働く力を推定することで,どの程度の漂礫が津波により動くのかを検討した.現在と宝永地震時とでは海面の高さが異なるが,こういった要因がどの程度漂礫の移動に影響を与えるのかも検討を行った.

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第6回 6月13日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

遠州灘西部で見られる完新世の沈降現象について

講演者:藤原 治(海溝型地震履歴研究グループ)

静岡県の遠州灘沿岸では南海トラフで起きた古地震・津波の調査研究を行っている.この地域では津波堆積物だけでなく,地震に関連した地殻の上下の検出も試みている.海岸で上下変動がどう広がっているかは,震源の位置や広がりと関係が深く,断層モデルの構築にとって重要な情報となる.また,地殻変動との同時性を示すことで,津波堆積物を他の堆積層と区別することにも役立つ.ボーリング調査によって,遠州灘西部では過去数千年にわたり大きな沈降が起きていることが分かってきたので,それを紹介する.

第5回 6月6日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

相模トラフ沿いの地震の多様性について

講演者:宍倉 正展(海溝型地震履歴研究グループ)

相模トラフ沿いでは1703年元禄と1923年大正の2回の関東地震が知られており,また海岸段丘などの調査研究から過去にも同様の2つのタイプ(元禄タイプと大正タイプ)の地震が繰り返し発生してきたと考えられてきた.しかし近年は最大クラスも含めた様々なタイプの地震もありうることが提案され,内閣府の想定や地震本部の評価にも反映されている.本セミナーでは,それら最近の研究の動向について紹介するとともに,海溝型地震履歴研究グループが一昨年度から進めている房総半島の調査の状況や九十九里浜の調査結果についても紹介する予定である.

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第4回 5月30日(金) 15:00-16:00 国際セミナー室(7-8-326)

巨大地震・津波にたいする最も有効な対策 -インタビュー考察に基づく-

講演者:石田 瑞穂(活断層・火山研究部門)

2011年東北地方太平洋沖地震では,死者と行方不明者が併せて18,554人にものぼった.被災地の多くでは,津波の到達前に逃げるための時間は十分あったにも拘わらず,このように多くの犠牲者を生じさせた原因を明らかにし今後に生かすために,現地を訪れ約164名(10市町村)の被災者にインタビューを行った.主に1)従来からの避難箇所,2)地震・津波情報,3)津波に対する知識,4)防波堤等への信頼などについて聞き,2011年地震のように稀にしか発生しない事象に対しての被害軽減のために,最も有効な対策とは何かを考えた.

またセミナーでは,今後産総研で行おうとしている研究についても紹介する.

第3回 5月23日(金) 15:00-16:00 別棟大会議室(7-3C-211)

短期的SSEから推定したプレート境界遷移領域における平均すべり速度

講演者:板場 智史(地震地下水研究グループ)

南海トラフ巨大地震の発生予測精度向上には,短期的ゆっくりすべり(S-SSE)の精度良いモニタリングが有用であると考えられる.産総研・防災科研Hi-net・気象庁の歪・傾斜・地下水データを統合的に解析することによってS-SSEの検知能力を大幅に向上させた上で,東海~紀伊半島および四国中部~豊後水道においてS-SSEのカタログ化を行い,平均すべり速度を推定した.それによると,愛知県や紀伊半島東部側,四国西部においては,S-SSEによる平均すべり速度と,GNSSから推定したすべり欠損速度の和は,プレート収束速度と概ね等しいことが分かった.すなわちこれらの領域では,プレート境界における準静的なすべりは,ほぼ全てS-SSEによるものであるといえる.一方で,豊後水道や四国中部,紀伊半島西部,伊勢湾では,すべり速度とすべり欠損速度の和は,プレート収束速度の半分程度と低く,我々の観測網では検知できない小規模なSSEや,定常的なすべりの存在が示唆される.セミナーでは,これらすべり・すべり欠損・プレート収束との関係や平均活動間隔の空間分布のほかに,S-SSEの誘発される現象等を用いて,S-SSEが開始する条件について考察した結果を紹介する.

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第2回 5月16日(金) 15:00-16:00 別棟大会議室(7-3C-211)

環太平洋地域で発生した巨大地震の震源域データの作成

講演者:石川 有三(地震地下水研究グループ)

 

地震活動の特性を調べる場合,まず震源分布を描くが,多くの場合震源の位置を一つのマークで示している.これは実際の震源断層が空間的広がりを持っているにもかかわらず,点であるかのように誤解させる表示法である.示される地震のマグニチュードによってマークの大きさを変えるが,地震の規模が大きくなると破壊域はマークで示された場所にとどまらず,数倍から数十倍の広がりを持つ場合がある.そのような場合は,マーク一つで示すと実際の被害地域やその付近のテクトニクスを理解する上でも不適切な表示になる.
特定の地域では,断層の破壊過程から過去の震源域が推定されているが,世界的規模ではほとんど行われていない.将来大地震が発生する可能性のある地震空白域を推定する上でも過去の震源域情報は重要である.ここでは余震域を用いて震源断層の空間的広がりを表せるようにし,その応用例も示す.

第1回 5月9日(金) 15:00-16:00 別棟大会議室(7-3C-211)

地下水位(水圧)観測による南海トラフの短期的ゆっくり滑りの検出

講演者:小泉 尚嗣(総括研究主幹)

 

非火山性の深部低周波微動(以降,単に深部低周波微動と記す)が世界のいろいろな沈み込み帯で発見されている[Obara, 2002; Ide, 2012].(地殻変動のみを生じて通常の地震波をださない)短期的ゆっくり滑りも同様に世界の沈み込み帯で検出されている[Rogers and Dragert, 2003; Schwartz and Rokosky, 2007; Sekine et al., 2010].深部低周波微動と短期的ゆっくり滑りについては時空間的に密接な関係があるが,詳細に見てみると,深部低周波微動が発生している所で必ずしも短期的ゆっくり滑りが発生していない場合があるし,その逆の場合もある.したがって,沈み込み帯のプレート境界で何が起こっているのかを知る為には,深部低周波微動と短期的ゆっくり滑りの時空間的な関係を,より詳細に明らかにする必要がある.しかしながら,地殻変動観測による短期的ゆっくり滑りの検出能力は,地震観測による深部低周波微動のそれより一般に劣ることを考慮する必要がある.双方の検出能力が異なる大きな理由の1つは,地殻変動の距離減衰は,地震波の距離減衰よりずっと大きいということである.したがって,この検出能力の差異を小さくするために,短期的ゆっくり滑り検出のための新たな観測技術を開発する必要がある.我々は,三重県のANO観測点における地下水圧観測とそのデータの解析によって,南海トラフの短期的ゆっくり滑りを検出することを試みた.ANO観測点での地下水・地殻ひずみ観測は2010年2月にスタートしたが,観測データが安定したのは2011年6月以降である.2011年6月~2013年4月の観測データを調べた所,ANO観測点周辺で発生した6度の短期的ゆっくり滑りに対してANO観測点のひずみだけでなく,地下水圧も変化していることがわかった.この地下水圧変化は,短期的ゆっくり滑りのモデルを用いて定量的に説明出来た.また,地下水圧(地下水位)観測で短期的ゆっくり滑りが検出可能な条件についても考察した.南海トラフの短期的ゆっくり滑りに伴う体積歪変化は,大きくても10-20 nstrain/day (nstrain=10-9strain)なので[Kobayashi et al., 2006],体積歪に換算して,ノイズレベルを5 nstrain/day以下にする必要がある.実際の地下水観測条件を考慮すると,この条件を満たすためには,地下水位や地下水圧の体積ひずみ感度が1mm/nstrain以上で,ノイズレベルが50mm/day以下であることが必要条件である(十分条件ではない).