概要

私たちのグループでは、セルロースやバイオマス由来高分子を対象に、原料開発から構造・物性の解明、機能評価、応用展開に至るまで、「作る-知る-使う」のサイクルによる一貫した研究開発を推進しています。
とくに産業界との連携を重視し、化学・生物・農学・工学・情報科学など、さまざまな分野のアプローチを融合することで、持続可能な社会に貢献する高付加価値材料の創製に取り組んでいます。企業・大学・公的研究機関の皆さまとともに、ナノセルロースをはじめとするセルロース材料の可能性をさらに広げる研究開発を進めてまいります。
おもな研究テーマをご紹介
農業副産物を活用したナノセルロース製造および素材応用

未利用の農業残渣や食品副産物(果皮、おから等)からナノセルロースを製造し、機能性素材としての高付加価値化を図ります。環境負荷の低減と資源循環の両立を目指したバイオマス活用技術です。

ゴム・樹脂との複合化およびプロセスインフォマティクス技術の開発

ナノセルロースをゴムや樹脂と複合化し、その補強効果を最大化する表面修飾/添加剤活用技術や成形プロセス技術を開発しています。インライン分析とAI・データ解析を融合して、製品設計とプロセス最適化を効率的に進めています。

ナノセルロースの製造・利用に関するデータ駆動型材料開発
ナノセルロースの構造・物性データを基に、材料開発を加速するデータ駆動型アプローチを推進しています。DX技術により、複雑な材料設計を効率化し、持続可能な素材開発を実現します。
分子構造・ナノ形態・階層構造にわたるマルチスケール評価技術の開発
電子顕微鏡、ゲル状態NMR、レオロジーなどの高度分析技術を駆使し、セルロース材料の構造と物性を分子レベルからマクロスケールまで階層的に分析しています。材料の機能発現メカニズムの可視化と設計指針の確立に貢献します。
化学構造に立脚した先端的素材の開発
有機化学や高分子化学を通じて、セルロースの構造制御と新機能の付与を行い、光学電子材料やバイオマテリアルなどの新しい用途を拓く先端素材を創出します。高機能化と環境調和を両立する材料開発を目指しています。
セルロース材料研究グループ長
榊原圭太