解説:ナノセルロース(セルロースナノファイバー/CNF)や生物サンプルなどの含水サンプルを、電子顕微鏡等で観察しようとした場合、電子顕微鏡のサンプル室は真空状態であり、サンプルの事前乾燥を必要とします。しかし、含水状態のサンプルをオーブン乾燥等すると、凝集したり、変形したりします。そのため、含水状態の形状を維持したままの乾燥処理が重要となります。 
       当研究グループでは、サンプル中の水分をt-ブタノール置換して凍結乾燥する方法や超臨界二酸化炭素を用いる臨界点乾燥法(サンプル中の水は事前にエタノールに置換する必要があります)でサンプルの乾燥処理をしています。 
       これらの乾燥方法では、t-ブタノールやエタノール置換を完全にすることが重要です。置換が不均一で、水分過多の部分があると、その部分は凝集してしまいます。これらの方法を用いると、微生物なども変形させずに乾燥することができ、電子顕微鏡で特徴的な形態が観察できます。 |