解説:ナノセルロース(セルロースナノファイバー/CNF)を補強材として利用する分野としてゴムの補強は、樹脂よりも、効果的に結果が得られます。ゴムには、天然ゴムと合成ゴムがありますが、天然ゴムでは、水分散液(ラテックス)が流通しています。この天然ゴムラテックスに含水ナノセルロースを複合化するプロセスはポリプロピレン等の樹脂よりは、ハードルが下がります。しかし、ナノセルロースとエマルジョンを混合する場合に、プロペラ式撹拌機などで強いせん断力を加えると、ナノセルロースがからまってダマになったり、ゴム成分が凝集したりします。そのため、均一に混合するためには工夫が必要となる場合が、多々あります。 
       当研究グループでは、含水ナノセルロースの天然ゴムラテックス複合化方法として、自転・公転型ミキサーを用いた方法を採用しています。この方法では、脱気も同時に行うことができます。当研究グループでの条件では、混合時間は15分以下です。自転・公転型ミキサーの多くは、回転数や時間をプログラム設定できるため、原料に応じて、段階的に回転数や時間を調整することができます。また、少量のサンプルでの評価も実施可能です(一度に、キロ単位の混合はできません)。 
       自転・公転型ミキサーで混合したマスターバッチサンプルは、バット等に薄く広げて、オーブン乾燥します。乾燥が足りない場合は、減圧乾燥もします。乾燥マスターバッチは、小型のバンバリー型混練機を用いて、各種添加剤を加えて、混練します。最後に、熱プレスを用いて、加硫と成形を行います。成形シートは、ダンベル試験片を打ち抜き、強度試験等を実施します。 
       ナノセルロースのゴム補強効果は、従来のカーボンブラック等のフィラーと比較して、少ない量で大きく補強することができます。 |