バイオ分子探索研究グループ(関西センター)
◇研究紹介◇
バイオ分子探索研究グループでは持続可能な次世代の産業技術基盤を開拓するために、これまで人類に利用されてこなかった生物由来のバイオ分子から、産業や人々の暮らしを豊かにする新しいバイオ素材を探索しそれを改変することにより、製品として世に生み出すための研究を進めています。
- 産業への応用展開が可能な新しい生物由来分子素材の探索
- 生物由来素材に新しい機能を付与する改変技術の探索
- 未知の生体分子の機能探索に資する新しい光学技術の開発
単細胞生物のミドリムシは、光合成や栄養摂取により生み出した余剰産物をβ1,3グルカンのパラミロンとして大量に(細胞の半分以上の体積を占める)蓄積します。パラミロンはミドリムシの大規模培養によって高純度なものが大量精製できることから、健康食品、樹脂素材から燃料まで、さまざまな応用展開可能な新素材として注目されています。当研究グループではこのパラミロンをはじめ、生物由来の生体分子を産業用素材として探索する研究を進めています。
当研究グループでは生物由来の分子に産業用素材としての新しい機能を付加し、これまでになかった新素材開発を進めています。結合解離を操作できる新規タンパク質複合体の開発、生体分子との親和性が乏しい素材に機能性生体分子を特異的に導入する技術、工業利用のために耐熱性や酵素活性を高めた産業用酵素、生物分解能や生体親和性を高める機能分子を導入した高分子材料などが当研究グループによって開発されています。
プラスチック分解能を持つ酵素や石油代替原料を生産する微細藻類など、産業につながりそうな機能をもつ生体分子を探索するためには、その機能を効率よくスクリーニングする技術が必要です。当グループでは求められる機能に合わせ、未知の分子機能を高速・高感度に定量する光学顕微鏡技術の開発を進めています。
◇業績リスト◇
◇関連トピックス◇
- 2025/04/07 受賞「産業技術支援フェア in KANSAI2024 Interesting Panel賞受賞」
- 2024/12/03 プレスリリース「新たなバイオベース接着剤のハッケン!自動車用構造材をミドリムシ由来材料で接着」
- 2023/04/19 研究成果「Bioconjugate Chemistry誌掲載、Supplementary Coverに採用」
◇技術シーズ紹介◇
◇メンバー◇
氏名 | 役職 | 研究テーマ | 研究内容 |
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研究グループ長 |
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慢性疾患やその治癒には長時間の生体観察が必要となります。本研究では細胞や組織・個体を生きたまま、長期間その生命活動を定量観察する新しい光学顕微鏡を開発します。また、病原因子やウイルスなど、極微量で健康に影響を与える因子を超高感度(1分子単位)で検出する光学システムを開発します。 | |
主任研究員 |
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ポリアミド4はバイオマスから生産可能な2-ピロリドンの開環重合により合成でき、生分解性、優れた熱的・機械的性質を持っています。開始剤の選択により多様な構造のポリアミド4が得られ、主鎖のアミド基の化学修飾も可能です。これらの特徴を活かして、新規のエコマテリアルやバイオマテリアルの開発を目指します。 | |
主任研究員 |
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タンパク質は、熱に弱く、産業界では実用化し難いという問題があります。研究者は、超好熱性微生物(生育温度は100℃以上)の超耐熱性酵素の解析に長年携わった結果、タンパク質の耐熱性を特徴付ける領域の特異性を発見しました。本技術を利用し、産業用タンパク質の実用化を進めています。 | |
主任研究員 |
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即知の蛋白質・ドメインを組み合わせ新規人工蛋白質を創出し、これらをキチン・セルロース素材と複合化させ、誰にでも手軽に活用可能な基板技術開発を進めています。目下、蛍光蛋白質、ルシフェラーゼ、VHH抗体、抗菌ペプチドなどを対象としております。従来に無い、各種機能性蛋白質の活用法の開発を目指しています。 | |
主任研究員 |
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機能性分子の導入によるタンパク質の構造・機能改変を行っています。分子修飾によるタンパク質集合体の構造制御や、触媒分子の導入による人工酵素の作製を行ってきました。エックス線結晶構造解析を駆使してタンパク質の構造機能相関を明らかとし、機能向上を目指しています。また、バイオものづくりの観点から生体由来多糖をベースにした材料創製に取り組んでいます。 | |
研究員 |
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私は分子生物学と生化学を基に、有用な生体分子の研究を行っています。現在、微細藻類が作る多糖の生合成経路の解明や大量生産システムの構築に注力しています。将来的には育種・培養・製品化まで一貫したプロセスを確立します。また、微細加工した電極を用いた機能性物質の検出や高分子の化学修飾の研究も進めています。 |