バイオ分子計測研究グループ(関西センター)
◇研究紹介◇
バイオ分子計測研究グループでは、多くの情報を含んでいる遺伝子やタンパク質等の生体分子の高度な計測技術の開発を行っています。これらの生体分子計測技術開発を通して、感染症等の疾患の迅速検査や詳細な生命現象の解明等に貢献することを目指します。この目標達成に向けて、私たちは以下のテーマの研究を進めています。
日常的な医療アクセスを実現する革新的な診断デバイスの開発
微細加工技術を用いて作製したマイクロ流路や微小センサにより、様々な生体分子に対する分析の小型・集積化・高速化する研究を推進しています。具体的には、病原体等の遺伝子を迅速に検出可能な高速PCR装置や、抗体を用いて分子認識する高速ELISA装置、ナノ構造の金表面において増強する電場を用いた高感度なバイオセンサの研究開発により、現状は病院で行われている医療検査を、家庭で日常的に実施可能な社会を目指しています。
迅速微生物同定を目指した高速DNAシーケンサの開発
敗血症は世界の死者数の20%を占めており、1時間以内の抗菌薬投与が非常に重要ですが、現在の血液培養による微生物同定では結果の判定までに数日かかることが問題となっています。我々は、サンガー法に基づくDNAシーケンス技術を、マイクロ流路技術を活用して高速化することで、迅速な細菌同定・変異解析を行う技術開発を行っています。この技術を用いて1時間以内での細菌の迅速同定による、敗血症患者への1時間以内でのエビデンスに基づく適切な抗菌薬投与の実現を目指します。
迅速・網羅的遺伝子検出を指向したCRISPR/Cas12固定化マイクロアレイの開発
DNAマイクロアレイは数十~数万種類の標的遺伝子を網羅的に検出できる一方、検出工程が煩雑で結果が分かるまでに3時間以上を要する事が技術的課題です。この網羅的遺伝子検出の迅速化のため、我々は標的遺伝子と素早く結合して連鎖的に酵素活性化由来の信号応答を示すCRISPR/Cas12機構に着目し、本構成分子を固定化したマイクロアレイの開発を実施しております。
将来的には、敗血症診断や術中迅速病理診断等の緊急性の高い遺伝子同定への社会実装を目標とします。
高速原子間力顕微鏡 (高速AFM) を基盤技術としたバイオ医薬品および標的分子の構造動態解析技術の開発
バイオ医薬品の開発には、材料となる分子および標的分子のナノスケールの構造および動態を理解する必要があり、分子が機能する液中環境での構造動態解析の技術ニーズがあります。我々は、高速原子間力顕微鏡 (高速AFM) を基盤技術として、液中における分子の構造動態解析技術や、生体内を模倣した環境 (人工脂質膜、細胞膜等) での分子の構造動態解析技術を開発しています。バイオ医薬品が機能する環境での分子の構造動態解析技術を開発することで、企業およびアカデミアで取り組まれているバイオ医薬品の開発に貢献することを目指します。
◇業績リスト◇
◇関連トピックス◇
◇メンバー◇
氏名 | 役職 | 研究テーマ | 研究内容 |
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研究グループ長 |
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新型コロナウイルスの検査で有名になった遺伝子増幅技術の一つであるPCRの高速化の研究や、遺伝子配列自体を高速で解析することで迅速な菌種同定や変異解析を可能とする高速DNAシーケンス技術の開発を行っています。 | |
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マイクロ流路を用いた高速なPCRシステムの開発と、さらにマイクロチップ電気泳動法と組み合わせた高速DNAシーケンサ技術や、CRISPR/Cas12を用いたマイクロアレイ技術へと発展させることにより、細菌種の判別や各種遺伝子変異を迅速に検出可能な新たな遺伝子検査システムの開発を推進しています。 | ||
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