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沖縄県・宮古島周辺海域における新たな地質図が刊行

-20万分の1海洋地質図「宮古島周辺海域海底地質図」-

2026年03月31日 20万分の1海洋地質図 海底地質図 96「宮古島周辺海域海底地質図」を発行しました。

ポイント

  • 宮古島周辺海域における20万分の1の海底地質図を刊行
  • 詳細な海洋地質・地球物理調査から宮古島周辺海域の海底地質図を作成
  • 宮古島周辺地域における地質災害軽減や海洋利用における基礎資料としての活用に期待
図1 5万分の1地質図幅「外山」の地質図と解説書

(B)図の色付きの部分は、陸上の島尻層群(上部中新統~更新統)に相当する池間沖層群(オレンジ)及び来間沖層群(黄色)、陸上の琉球層群(更新統)に相当する下地沖層群(薄緑色)、沖縄トラフのトラフ充填堆積層である水納沖層群(水色)の分布を示す。(C)の地質構造断面図の断面位置は(B)図で示す(20万分の1海洋地質図「宮古島周辺海底地質図」より引用)。

地質図幅の内容

 国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)は、宮古島周辺海域(以下「本海域」という)での海洋地質・地球物理調査の結果をまとめた20万分の1 海洋地質図 シリーズ 「宮古島周辺海域海底地質図」(以下「本図幅」という)を刊行しました。本海域では1977年に刊行された広域を対象とした100万分の1海洋地質図「琉球島弧周辺広域海底地質図」以降、 詳細な海底地質図は整備されていませんでした。本海域の詳細な層序や断層分布などの地質構造を明らかにするべく、2016年・2017年・2018年の3か年で延べ30日間にわたって、海洋資源調査船「白嶺」 (エネルギー・金属鉱物資源機構所有)を用いた調査にてデータ取得を行い、それらの地質学的・地球物理学的解釈に基づき、海底地質図を作成しました。

 本海域が属する島弧(琉球弧)は、宮古島や多良間島など陸上の面積が少なく、その大部分が海中に没存在しています。本図幅では海洋調査の結果に基づき、本海域の詳細な地質構造を明らかにしました。 その結果、本海域には古い順に池間沖層群、来間沖層群、下地沖層群、水納沖層群の4層の堆積層を区分しました。このうち、宮古島などの陸上に分布する島尻層群(後期中新世~更新世に堆積した海成層)に 相当する池間沖層群・来間沖層群が海底下に広く分布していることを明らかにしました。特に来間沖層群は宮古島南方沖及び南東沖で非常に厚く堆積する特徴を有しており、本層群の堆積時(鮮新世〜更新世)に 本海域に 前弧海盆 が発達した可能性を示唆しています。また、宮古島北方に位置する沖縄トラフとの境界部分の崖(池間沖層群と水納沖層群との境界の一部)では、海底まで到達した活断層と考えられる北落ちの 正断層が確認されており、沖縄トラフの拡大に伴う引張応力によって、活動的で沈降速度の大きい断層が形成されたと解釈できます。断層などの地質災害に関する地質情報を集約した本図幅は、 学術研究の基礎資料としての活用だけでなく、本図幅地域における防災・減災、海洋利用などでの基礎資料としての活用が期待されます。

下線部は【用語解説】参照

メンバー

三澤 文慶(地質情報研究部門 海洋地質研究グループ 主任研究員)

井上 卓彦(地質情報研究部門 海洋地質研究グループ 研究グループ長)

荒井 晃作(地質調査総合センター 総合センター長補佐(研究当時))

佐藤 太一(地質情報研究部門 資源テクトニクス研究グループ 主任研究員)

高下 裕章(地質情報研究部門 資源テクトニクス研究グループ 主任研究員)

佐藤 雅彦(東京理科大学理学部第一部 物理学科 准教授)


 

用語解説

海洋地質図

地質図とは、表土の下にある岩石や地層の種類・分布、褶曲や断層などの地質構造を地図上に示したものを指す。通常、地形図の上に岩石の分布を色または模様で、地質構造を記号で表現する。産総研地質調査総合センターが整備・刊行する地質図としては、海洋地質図以外に、陸上の5万分の1地質図幅、20万分の1地質図幅などがある。

島弧(琉球弧)

島弧とは、海溝に沿ったプレート沈み込み境界の陸側に形成される弧状に連なる島々の列のことを示す。琉球弧は、九州から台湾に弧状に連なる島嶼群で構成され、全長約1,200 kmに及ぶ島弧である。

前弧海盆

プレート沈み込み境界において、島弧の前縁部(海溝と島弧の間)の陸側斜面上に形成される凹地状の地形のことを示す。ここでは堆積物がたまりやすく、厚い堆積層を伴う堆積盆地が形成される。


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