沿岸域プロジェクト(沿岸域の地質・活断層調査)
シームレスな海陸地質情報から災害に強い沿岸域を構築
陸と海の狭間に存在する地質情報の空白域を探る
人口とインフラが集中する都市沿岸域は地震による大きな被害が想定されます。しかし、調査手法の制約などから地質・活断層情 報や地盤災害の影響評価が整備されていない空白域が存在します。実際に、これら空白域では平成19 年の能登半島地震や新潟県中 越沖地震など大きな地震が発生し深刻な被害を受け地質情報の重要性が高まっています。本プロジェクトは、特に活断層が地下に潜 む可能性が高く、また洪水や地震動による地盤災害の影響を受けやすい都市周辺の海陸沿岸域において、減災対策や産業立地に必要 な質の高い地質情報を得ることを目的に、①地下地盤・構造の解明、②活断層の連続性・活動性の解明、③基礎情報としての地質・ 地球物理情報の整備を行っています。
Research
多様な研究手法により地質情報を構築
沿岸域の地質情報空白域において、反射法地震探査、ボーリ ング調査、海底地形調査、地球物理調査、水文環境調査など多 様な調査研究手法に基づき、地下構造及び活断層の評価や基盤 的な地質・地球物理情報の整備を行っています。このような様々 な視点に基づき、科学的見地から沿岸域の地震・地盤災害リス クを評価します。
Achievement
地盤災害に強い沿岸域の構築を目指して
これまで、能登半島北部、新潟平野、福岡、石狩低地南部、 駿河湾北部沿岸域、房総半島東部、相模湾沿岸域の成果を「海陸シームレス地質情報集」として 産総研HP に公開し、今後、伊勢湾、 紀伊水道の成果を順次公表していく予定です。インフラ整備や 産業立地、洋上風力発電設備建設に資する地盤情報を整備します。
- 2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震における地震調査 (平成30年北海道胆振東部地震の関連情報)では、 海陸シームレス地質情報集「石狩低地帯南部沿岸域」の研究成果が活用されました。
- 2024年1月1日に発生した能登半島地震における地震調査 (令和6年(2024年)能登半島地震の関連情報)では、 海陸シームレス地質情報集「能登半島北部沿岸域」の研究成果が活用されました。
Keyword
宇宙惑星科学、地震、活断層、災害対策、インフラ診断
担当者
板木 拓也
Takuya Itaki