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3次元地質地盤図プロジェクト

プロジェクトの概要

 地震防災やインフラ整備を実施する上では、地下にどのような地層がどのように分布しているかを知ることが重要です。3次元地質地盤図プロジェクトでは、多数のボーリング調査データを収集・解析することで、都市の地下に分布する地層の3次元形状を明らかにし、その情報をわかりやすく使いやすい形で公開する取り組みを実施しています。これにより、地震ハザードマップ作成や地下利用、産業立地・都市計画等の立案に有用なデータを提供します。

プロジェクト関連動画

ボーリング調査と地下地質モデリング

 人口や産業が集中する平野部では、地形が平坦でかつ道路や建物などで覆われる場所がほとんどのため、地層を直接観察できず、地下の地層の正確な情報を容易には得られません。平野部で地下の正確な情報を得るには、地面に孔をあけて地層を直接観察・計測するボーリング調査が行われます。

 本プロジェクトでは、地質層序研究・地質調査技術をもとに「基準ボーリング調査」を実施し、都市の地盤の特徴を地層形成の観点から解明しています。さらに、そのデータを公共工事等で得られた既存ボーリング調査データと組み合わせ、独自の地層境界推定技術を用いて地下に分布する地層の詳細な3次元形状データ(3次元地質モデル)を作成しています。

地下地質構造の3次元解析の流れ

地下地質構造の3次元解析の流れ

詳細な3次元地質情報の提供

産総研GSJウェブサイト「都市域の地質地盤図」の機能

産総研GSJウェブサイト「都市域の地質地盤図」の機能

 誰にとってもわかりやすく使いやすい都市域の地質情報整備を目指して、3次元地質モデルやその作成に利用した基準ボーリング調査データなどを インターネット上で表示できる技術開発にも取り組んでいます。

 産総研GSJのウェブサイト「都市域の地質地盤図」では、これらの技術を利用して整備した3次元 地質情報を公開しています。本サイトでは、簡単なマウス操作により地下における地層の詳細な広がりを平面図や立体図として確認できるほか、任意の測線に沿った地質断面図を作成することもできます。

整備データの利活用/実社会との連携

 国・自治体、企業等と連携した3次元地質地盤図データの利活用を進めます。スマートシティや都市のデジタルツイン等、まちづくりのDXに向けた 活動と連携し、我々の整備データをさまざまな分野で利用いただけるようにすることで、地質地盤情報に関わる都市の課題解決に貢献します。

東京都デジタルツイン3Dビューアによる3次元地質地盤図データの表示例

東京都デジタルツイン3Dビューアによる3次元地質地盤図データの表示例(作成日:2024/02/01)
(参考:東京都デジタルツイン実現プロジェクト 2022年度ベータ版事業 03 産学官でのデータ連携に向けた課題検証

成果の紹介

 数万本単位のボーリング調査データの解析結果に基づいて3 次元地質情報を整備し、「都市域の地質地盤図」として公開しています。 これらの3 次元地質情報は、地下に分布する地層の詳細な形状情報を持つため、都市のさまざまな空間データと連携することで国・自治体、 企業における地震防災や地下利用等での利活用が期待されます。

都市域の地質地盤図「千葉県北部地域部」

東京湾岸の船橋市~習志野市にかけての3次元地質地盤図

東京湾岸の船橋市~習志野市にかけての3次元地質モデル

 関東平野を構成する典型的な地層が分布する千葉県北部地域を対象とした3次元地質地盤図です。地震の揺れ増幅や液状化など、地震災害リスクの高い 軟弱層の分布が明らかになりました。

千葉県北部地域の地質地盤図は、千葉県環境研究センターと の共同研究成果です。

都市域の地質地盤図「東京都区部」

 我が国の経済活動の中心である東京都区部を対象とした3次元地質地盤図です。東京下町の低地(東京低地)や武蔵野台地の地下に存在する埋没谷の詳細な形状が明らかになりました。

東京都区部の地質地盤図は、東京都土木技術支援・人材育成 センターとの共同研究成果です。

東京低地の地下の埋没谷

東京低地の地下の埋没谷(沖積層基底面)



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