LS-BT合同研究発表会

2026年度 ポスター賞

2026年度 ポスター賞受賞の皆様


2026年度LS-BT合同研究発表会のポスター賞受賞者は、以下の4名の皆様です。 大変おめでとうございます。
受賞にあたり、研究を始めるきっかけやご苦労等をインタビューさせて頂きました。

P060 Water-in-oilドロップレット共培養法を用いた微生物資材による個々の土壌細菌への作用解析

Water-in-oil droplet co-cultivation for analyzing the effects of a microbial inoculant on individual soil microbes

写真




東京大学大学院 新領域創成科学研究科  小林 純怜 (学生)

その研究を始めたきっかけと遂行のモチベーション

学部在籍時に農業アルバイトを経験し、トマトのうどんこ病を納豆菌で処置している現場を目の当たりにして、目に見えないような小さな微生物が実は農業をはじめ産業を支える大きな力を有していることに衝撃を受けたとともに、微生物の研究に携わりたいと考えるようになりました。 特に、納豆菌のような土壌環境や植物生育を改善する微生物資材と、微生物資材の撒布先に生息する多種多様な土壌細菌との関係性に興味があったので、その関係性を検証するテーマに取り組むことにしました。
農業アルバイト時に面白いと感じた現象を、自分の実験データに基づいて解釈し直せるのは新鮮な感覚で楽しく、モチベーションの一つになっています。 また、微生物は非常に個性豊かで、微生物の実験データは自他の研究ともども見ていて興味が深まる一方で、そのような面白いデータに日々向き合えることもモチベーションにつながっています。

その研究をどのように進めたか

微生物資材と土壌細菌との関係性を検証する既往研究では、土壌細菌集団全体をまとめて解析対象にする傾向があり、個々の土壌細菌に対する解析は不十分であるのが課題です。 そこで本研究では微小液滴Water-in-oilドロップレットを活用し、数十万個のドロップレットの各内部で微生物資材と土壌細菌数種ずつを並列的に共培養することで、多種多様な個々の土壌細菌に対して網羅的に、微生物資材との共培養ならびに作用解析を実施することを目指しました。
微生物資材Bacillus subtilis と土壌細菌とのドロップレットによる共培養の結果、ドロップレット培養法により顕著に増殖し、さらに微生物資材との共培養後にも残存する土壌細菌種Stenotrophomonas lactitubi を見出しました。 S. lactitubi は本手法で新たに評価可能となり、さらにB. subtilis と共存可能であるという興味深い特徴を有していたため、特にS. lactitubi に着目し、B. subtilis との関係性検証や増殖比較に移行しました。

これからどのように展開していくか

本研究では、微生物資材と共存可能な土壌細菌種を見出しましたが、微生物資材の機能を特異的に検出可能にすることで、共存にとどまらずに微生物資材の機能を促進する共役微生物の選抜へと発展させたいと考えています。 また、微生物叢中の多種多様な微生物を網羅的に解析可能である利点を活かし、微生物資材と土壌微生物叢という組み合わせに限らず、プロバイオティクスと腸内微生物叢など、目的の微生物と微生物叢との関係性を検証する汎用的手法として応用したいと考えています。

一番大切にしていることや、研究をしていてうれしかったことやつらかったこと

面白いと思ったことは、可能な限り実際に自分で手を動かしてみて実験したり解析したりするようにしています。面白いと思ったことを研究に落とし込むには、実験方法や解析方法を練るのに十分な知識・技術が必要で、難しさを痛感する日々ですが、具体的な方法が引き出せた時や、方法自体は引き出せなくてもこう調べたらヒントになるな、ということがわかるようになっていた時に、少しは力を伸ばせたのかなと嬉しく思います。 また、自分が面白いと思ったことを発信したり雑談したりしているうちに、周りの研究者たちがおすすめの論文や解析方法を進んで教えてくれるようになり、そういった共通の面白いという感覚で生まれるコミュニケーションが貴重でありがたく、非常に楽しいです。

その他

昨年度に引き続き優秀ポスター発表賞をいただき、大変ありがたく思います。 日頃よりご指導いただいている研究グループの方々、当日議論してくださった方々をはじめ、お世話になりました多くの方々に心より感謝申し上げます。 本受賞を励みに、今後の研究に取り組んでいきたいと思います。 ありがとうございました。

(2026年6月現在)