2026年度 ポスター賞受賞の皆様
2026年度LS-BT合同研究発表会のポスター賞受賞者は、以下の4名の皆様です。 大変おめでとうございます。
受賞にあたり、研究を始めるきっかけやご苦労等をインタビューさせて頂きました。
P021 新規設計の脂質ナノ粒子を用いた浮遊系細胞におけるmRNA由来タンパク質発現
mRNA-derived protein expression in suspension cells using newly designed lipid nanoparticles
産総研 細胞分子工学研究部門 細胞制御マテリアル研究グループ 小淵 里恵 研究員
私は以前から医療や創薬に関心を持ち、修士課程では希少疾患に関連する研究に取り組んでいました。 その中で、現在の技術では治療法の開発が困難な疾患が数多く存在することを知り、個々の疾患だけでなく、幅広い治療を支える基盤技術の研究に魅力を感じるようになりました。 mRNA医薬や遺伝子治療は新たな治療の可能性を秘めていますが、その実現には核酸を目的の細胞へ効率よく届ける送達技術が不可欠です。 脂質ナノ粒子(LNP)はその鍵を握る技術の一つであり、自身の研究が将来的に新たな治療選択肢の創出につながるかもしれないという思いが、研究に取り組む大きなモチベーションになっています。
もともと修士課程までタンパク質の構造解析を専門とする研究室に所属しており、現在の研究テーマであるLNPやバイオマテリアルについてはほとんど知識がありませんでした。 そのため、研究当初はグループの方々に積極的に質問し、自ら手を動かしながら、この分野の基礎や課題を一つずつ学びました。 研究では、脂質組成の最適化によりmRNA送達効率を向上できるのではないかという仮説のもと、組成の異なる複数のLNPを設計・作製しました。 まず粒子の物性を評価し、その上で培養細胞、特に導入が難しい浮遊系細胞を対象にmRNA由来タンパク質の発現を定量化しました。 従来のLNPと比較を通じて、LNPの特性と発現効率との関連について検証しました。
まずは博士学位の取得を目指し、本研究をさらに発展させたいと思います。 より実用的な疾患を対象としたmRNAへの展開や、初代細胞をはじめとする核酸導入が難しい細胞への応用に取り組み、幅広い用途で活用できる技術へと発展させたいです。 また、なぜ特定の脂質組成が高い発現能をもたらすのかといった作用メカニズムの解明を進めるなど、学術的な価値の創出にも貢献していきたいと考えています。 そして、研究成果を論文として発信するだけでなく、企業との連携を通じて実用化へと繋げることも重要な目標です。 有効性や安全性の検証を重ねながら技術の成熟度を高め、将来的には核酸医薬や細胞医療の発展に貢献できる技術として社会実装につなげていきたいと考えています。
今を楽しむことと、研究できる環境への感謝を忘れないことを大切にしています。 様々な方のお話を伺う中で、人生のステージごとに挑戦できることや打ち込めることは異なると感じています。 そのため、今だからこそできることを意識し、一日一日を大切に研究に向き合いたいと考えています。また、研究に存分に打ち込める環境は当たり前ではないと思っています。 多くの方々の支えに感謝するとともに、その環境を活かし、責任感を持って研究に取り組むことを心掛けています。幸い、悩むことはあるものの、入所してからつらいと感じたことはあまりありません。 今後、大きな壁にぶつかることもあると思いますが、そのような経験こそが自分を成長させる機会だと捉え、前向きな姿勢を忘れずに自分らしく研究に取り組んでいきたいです。
この度はこのような賞をいただき、大変光栄に思います。本研究を進めるにあたり、多くの方々に支えていただきました。 日頃からご指導いただいている共著者の皆さまをはじめ、グループの皆さま、部門・領域の皆さま、そして発表当日に貴重なご意見をくださった皆さまに、心より感謝申し上げます。 今回の受賞を励みに、今後も研究に真摯に取り組んでまいります。
(2026年6月現在)