部門長挨拶

2016年熊本地震への対応にあたり-ご挨拶にかえて

2016年4月27日

研究部門長 桑原 保人

部門長2016年度は活断層・火山研究部門が発足して3年目になります.この4月14日,例年通り年度当初のご挨拶を準備している最中,熊本県でM 6.5の地震,また,4月16日未明にM 7.3の地震があり,熊本県を中心に人的被害を含む甚大な被害が発生しました.この一連の地震は,熊本県の日奈久断層帯と布田川断層帯という2つの活断層に関わるものであり,活断層の専門家を擁する当部門では地質調査総合センターに設置された緊急調査対応本部の下,これらの活断層で何が起こったかを明らかにするための調査を行っているところです.これらの調査によって,なぜこれ程の被害になったのか,また今後の地震被害の軽減のためにはどのような研究が必要なのかを深く考えたいと思っています.
2014年の部門発足からこれまで,2014年9月御嶽山の噴火,2014年11月の長野県北部の地震,2015年5月口永良部島の噴火など,地震火山に関わる災害が頻発しています.そしてその都度,我が国が,地震・火山活動が活発な島弧変動帯に位置する高度に発達した社会であることを認識し,地震火山現象への社会としての対応が不十分であることが浮き彫りになっているように思います.当部門ではこれまで行ってきた,1)アジア地域を含めた地震・火山活動に関わる地質情報等の整備,2)地震・火山活動と災害の誘因となる事象の評価・予測手法の開発,3)長期的な地質変動の評価・予測手法の開発および知見の整備を進め,またそれらの成果の社会への橋渡し,人材育成を進めることが,安全で安心な社会づくりのために必要であると再認識し,より一層努力していく所存です.
引き続き,皆様のご支援とご協力をお願い申し上げます.
また,被災された皆様には心よりお見舞い申し上げますとともに,1日も早い復興を願っております.

 

平成28年(2016年)熊本地震への対応