沖縄プロジェクト
プロジェクト概要
産業技術総合研究所では,2008年度から沖縄周辺海域の海洋地質・地球物理調査を開始しました.現在のところ, 琉球列島の主要な島の周辺について1/20万の海洋地質図(海底地質図/重磁力図/表層堆積図)と東シナ海陸棚域から沖縄トラフにかけて1/50万の海洋地質図の 作成を予定しています.海域の特徴を踏まえたこの海域の調査の重要性は以下の3点にまとめられます.
- 琉球列島は島の連なりからなっていますので,陸域の面積は少なく,その地質構造を始めとした地質の全体像は海域の地質情報なしには 理解できないこと.
- 琉球列島は亜熱帯に位置し,サンゴ礁が発達していること.また,生物遺骸を主体とする炭酸塩堆積物が分布する特徴的な海域であること. 一方で東シナ海陸棚上>には砕屑性堆積物が広く分布していて,両者の間には沖縄トラフという凹地が存在すること.
- 沖縄トラフ北部には九州の姶良カルデラや阿蘇カルデラに続く大規模噴火をした鬼界カルデラが存在し,さらに活火山や海底火山が多数存在すること. また,八重>山の津波石など海域での地震活動や津波災害の可能性が示唆されること.
この計画では,国土基本情報としての海域地質・地球物理データの取得・整備を基本とし,地震・津波や火山防災・減災,海域の物質循環や環境保全, 海底資源開発や海底利用も見通した調査研究を行うこととしています.2008年度から2011年度は「第2白嶺丸」(JOGMEC所有)を使用し,最も人口の 多い沖縄本島周辺海域から調査に着手しました.また,2012年度からは新調査船「白嶺」(JOGMEC所有)を使用しています.