照射線量は、X線・γ線が、空気に与える電離作用に着目した単位です。 照射線量Xは、質量dmの空気と相互作用した光子が生成した二次電子が、完全に停止するまでに空気中で生成するイオン対の電荷のうち、一方の符号の電荷を合計した電荷量の絶対値dQを用いて、
と定義され、単位記号は、C/kgです。空気カーマと照射線量の関係は次のようになっています。X線やγ線が単位質量の空気から発生させる二次電子の初期運動エネルギーの総和が空気カーマ(Kair)です。このうち制動放射によって系外に散逸するエネルギーの割合をgとすると、放射線が系に最終的に与えるエネルギーは、(1-g)Kairになります。一方、空気中にひとつのイオン対を生成するのに必要なエネルギーであるW値と、電気素量e(1.602×10-19 C)を用いると、与えられたエネルギーから生成される電荷量を計算することができ、
の関係が導かれます。gの値は、X線領域ではほぼ0と考えてよく、1 MeVのγ線で0.0025です。また、標準空気のW値は33.97 eVです。