放射線の単位

放射線の種類は多岐にわたり、放射線の量を表す単位もいくつかあり、目的によって使い分けています。そして単位の中には、放射線固有の単位記号Gy(グレイ), Sv(シーベルト), Bq(ベクレル)が与えられているものもあります。放射線の単位は歴史的に変遷があり、R(レントゲン), rad(ラド), rem(レム), Ci(キュリー)は、以前使われていましたが、SI単位でなくなったために使われなくなってきています。例えば、吸収線量の単位については、以前はradが使われていましたが、現在はGyとなっています。表1に主要な放射線関連の単位について示します。X線・γ線・β線では主に、照射線量、吸収線量、空気カーマ、線量当量が用いられています。

量の名前 単位記号 定義
照射線量 C・kg-1
(1R=2.58×10-4 C・kg-1)
光子によって単位質量あたりの空気中に生成される正または負の電荷量
吸収線量 Gy = J・kg-1
(1 rad = 0.01 Gy)
放射線の照射によって物質の単位質量あたりに吸収されるエネルギー量
カーマ Gy 非荷電の放射線照射の一次効果によって物質の単位質量あたりに発生する荷電粒子の運動エネルギーの総量
線量当量 Sv = J・kg-1
(1 rem = 0.01 Sv)
吸収線量に線質係数(生体への照射効果を示す因子)を乗じたもの
放射能 Bq = s-1
(1 Ci = 3.7×1010 Bq)
放射性同位元素が単位時間当たりに壊変する数
中性子放出率 s-1 中性子源より単位時間あたりに発生する中性子の数
粒子フルエンス m-2 照射場の単位面積を通過する電離能力のある粒子の数