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光ルミネッセンス年代測定

砂粒が放つ光から地層の年代を決定する

砂粒に直接適用できる第四紀の絶対年代測定法

砂粒から地層の年代を特定する手法を開発しました。砂粒は地中で自然放射線の影響を蓄積し光ルミネッセンスという弱い光が生 じる性質があり、その強さで地層が出来てからの経過時間が分かります。この「砂粒の時計」を用いた光ルミネッセンス年代測定法 の適用範囲は数十年から数十万年前と広範です。これを用いた過去の地質災害の年代特定は地震・火山噴火等が多発する日本の防災・ 土地利用の基盤技術として重要です。さらに過去の環境変化の復元は温暖化対策にも貢献します。私たちは日本の砂粒の特性に応じ た手法の評価とその適用例を蓄積し、信頼できる測定結果を得ています。今後は年代値の高精度化、測定センサーの開発による測定 の迅速化と高分解能化を目指します。

Research

カリ長石の光ルミネッセンス年代を高精度化

日本列島では年代測定に適する光ルミネッセンス特性をもつ 石英が少ないため、カリ長石に頼る必要があります。しかし、 カリ長石には年代の過大評価につながる余剰線量や信号消失な ど技術的課題がたくさんあります。私たちは現在の海底の砂に 対して光ルミネッセンス測定を行って余剰線量の見積もりを行 いました。この成果は主に沿岸域の地層の年代の高精度化につ ながります。

光ルミネッセンス年代測定の試料

光ルミネッセンス年代測定の試料

Achievement

更新世の地層の絶対年代測定に成功

過去数十万年間にできた地形と地層の形成年代は、活断層の 活動度を評価する際に重要な情報です。従来のC-14 年代測定 の適用限界は5 万年で、それより古い地層には火山灰対比など の相対年代を用いるしかありませんでした。カリ長石の光ルミ ネッセンスにより、私たちは約10 万年前の海成段丘の地層か ら、従来の推定年代を刷新する絶対年代を得ることに成功しま した。

光ルミネッセンス年代測定装置

光ルミネッセンス年代測定装置

Future
  • 測定解析手法の開拓や測定センサーの開発により年代測定の高精度化・迅速化を目指す
  • 地層年代測定の高度化で過去の災害や気候変動の解明を進め、防災・温暖化対策に貢献

Keyword

地球人間圏科学、地質調査、防災、分析技術

担当者

田村 亨

Toru Tamura

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