Research Group
細胞分子工学研究部門
Cellular and Molecular Biotechnology Research Institute
細胞分子工学研究部門紹介
細胞分子工学研究部門長 戸井 基道
細胞分子工学研究部門は、生体情報から細胞・分子、組織や個体機能解析に至るライフサイエンスのキーテクノロジーを先導してきた研究センター群を前身とし、各センターで養われた技術のさらなる深化とそれらの融合を推進する研究組織を目指して2020年にスタートしました。現在は、つくばと東京お台場の2拠点に、7研究グループと1連携研究室に研究開発要素を集約した体制となりました。
総勢59名の常勤研究者により、先進的医療技術や創薬開発の礎となる生体分子や細胞の測定技術の開発、新規モダリティ分子を創出するバイオものづくり技術の開発、細胞や個体の機能維持に資する天然物由来成分や食機能の科学的エビデンスの創出などを通し、健康的な長寿社会の確立に貢献することを目指しています。
つくばセンターでは、糖鎖解析や幹細胞操作、生体模倣システムの開発や健康維持成分の同定などの開発を行い、お台場の臨海副都心センターでは、天然化合物の生産と利用、マルチオミクス解析、バイオITなどに関する最先端技術の開発を行い、少子高齢化などの喫緊の社会課題の解決に取り組んでいます。
これまでの実績をもつ以下の最先端技術を融合させながら、今後期待される再生医療や個別化医療、健康長寿に貢献する技術開発を推進します。
- 糖鎖合成遺伝子のラインナップと疾患診断に利用可能な糖鎖解析技術
- 再生医療に重要な幹細胞操作・品質管理技術とそれを応用した創薬支援デバイス
- 新たな創薬モダリティと期待される天然化合物の探索・機能解析から生産までの技術
- 検出困難だったものを検出可能にする最先端分析手法とバイオ産業への利用拡大
- 個別化医療や創薬支援につながる大容量バイオデータベースとその利活用
最近の主な成果としては、「リン酸化活性測定による薬剤応答シグナル伝達経路の解析」として、94種類の市販薬を投与した細胞でリン酸化活性測定とパスウェイ解析を行い、その結果を基にデータベースPhosprofを開発しました。本成果は、薬効や副作用の分子機序をシグナル伝達活性として捉え、薬効の向上や副作用軽減に貢献します。 また、「1細胞糖鎖・遺伝子シーケンシング法の開発」として、個々の細胞の糖鎖発現とRNA発現を同時解析する1細胞糖鎖・RNAシーケンシング法(scGR-seq)を開発しました。 さらにドロップレット型の分析手法開発を加えることで、分析細胞数を1万個まで拡張した技術としています。
これらの革新的な細胞分析技術の開発に加え、アジアを中心とした研究ネットワークの構築や人材育成にも注力してします。 インドの科学技術省傘下のバイオテクノロジー庁(DBT)を始め、タイ内閣科学技術省傘下のタイ科学技術研究所(TISTR)との共同研究などを展開しております。 特にインドとの連携においては、がん発症や細胞老化のメカニズム解明とそれを抑制するインドハーブ由来天然物の分析を進めてきました。
2023年4月からは、細胞分子工学研究部門として4年目となります。さらなる高みを目指して職員一同切磋琢磨して参ります。引き続き皆様からの暖かいご支援と厳しいご評価、叱咤激励をどうぞよろしくお願いします。
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(2023年4月現在)