

我が国の量子戦略に基づいて、産業技術総合研究所に量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター(G-QuAT)が2023年7月に設立されました。 国からの投資を受けて、GPUベースのスーパーコンピュータ、複数の量子コンピュータを含めた計算環境と評価設備を導入し、本格的な活動を開始しました。 本講演では、量子技術に関する国内外の動向を踏まえて、G-QuATのミッション、戦略、取り組みを紹介するとともに、バイオテクノロジーへの展開の可能性についても紹介します。

あらゆる場面で情報技術は欠くことのできない存在となっていますが、バイオものづくりでも例外ではありません。 AI関連技術や、モデリング・シミュレーションは研究の在り方を変えつつあり、その範囲は、定型作業の自動化から、対象を理解するための解析と高性能化のための設計、制御方法の最適化などにまで及びます。 ただし、解決しなければいけない問題も少なくなく、例えば、モデリングのためにも、シミュレーションのためにも膨大な計算量が必要となります。我々は、それを解決する方策として量子計算技術の活用を進めています。 本セミナーでは、バイオものづくり界隈における現状と、我々の取り組みを紹介しつつ議論を深めたいと思います。

本講演では、量子計算とAIを組み合わせた次世代創薬研究についてご紹介いたします。RNAアプタマー創薬を対象に、SELEXデータに基づく配列・二次構造情報の最適化問題を、量子アニーリングやイジングマシンで解くアプローチを解説します。さらに、RNA二次構造を取り入れたQUBO定式化や、実データを用いた最適化結果を示し、量子・AI技術による創薬の新しい可能性をご紹介いたします。