部門付
研究紹介
せん断応力負荷による第V因子の反応の抑制
(丸山)
連続流型人工心臓などに代表される送血機能を有する医療機器では、内部に回転部品があるために、血液へのせん断応力負荷が生じています。「エコノミー症候群」で広く知られているように、生理学的なせん断応力は、血液凝固による血栓塞栓症を阻止する効果があります。一方、せん断応力が大きくなりすぎると、血液凝固反応が極端に阻害され、出血現象が生じてきます。このように、物理学的なせん断応力が、どのようなメカニズムで生化学反応である血液凝固反応を制御しているのかは十分にわかっていませんでしたが、血液凝固第V因子が、せん断応力に対してメカノケミカルに影響を受けることがわかってきました。この一連のメカニズムを解明することで、送血機能を有する医療機器の血栓や出血に関する合併症を防ぐこと期待できます。
One Cycle Selection法による核酸アプタマー、核酸触媒の取得とその開発研究 (宮岸)
産総研で独自に開発したセレクション法(One Cycle Slection 法)を用いて、ターゲット分子に結合する核酸アプタマーや触媒活性を有する新規核酸分子(DNAzyme、リボザイム)を取得し、それを用いた応用開発研究を進めています。ゲノム編集酵素Cas9に結合し、阻害する核酸アプタマーや亜鉛依存的なコンパクトなDNAzyme、リボザイムの取得に成功しており、共同研究で構造解析による作用機序の解明を行なっています。
顧みられない熱帯病治療薬創製(古川)
顧みられない熱帯病の一つであるシャーガス病治療薬創製に必要な創薬標的分子の探索をしています。病原原虫であるクルーズトリパノソーマは昆虫内での自律的増殖形態と動物細胞内での増殖形態を有する複雑な生活環を持ちます。またRNA干渉実験が使用できないなど原虫の独自の特性も相まって、創薬標的の精査が遅れています。我々は遺伝子編集技術CRISPR/Cas9を用いて創薬標的を絞り込み、創薬を実践していく国際共同研究を進めています。
フラグメント分子軌道法と分子動力学を組み合わせた、生体高分子の電子状態とダイナミクスの解析(古明地)
タンパク質や核酸などの生体高分子化合物の電子状態とダイナミクスの計算を、フラグメント分子軌道法(FMO)と分子動力学法(MD)を適宜組み合わせて、解析している。タンパク質と拡散やリガンドの相互作用を計算し、薬剤設計への応用も試みている。
メンバーと主な担当課題
研究成果
氏 名 役 職
主な研究テーマ
<研究成果の凡例>
<お問い合わせ> Eメール:M-hmri-ic-ml*aist.go.jp
(*を@に変更して使用してください。)