バイオセンシング研究グループ

研究紹介

主に血液を対象とした生体物質の測定系の構築を行っています。生化学・分子生物学的なタンパク質、DNA、細胞を対象としたアプローチに加えて、分析化学・物理学の観点からもアッセイ系構築に取り組んでいます。さらに、薬事申請を目指した診断薬開発に関する法規制のコンサルティングも行っています。最近ではAIを用いたデータ解析を行っており、様々な学問分野から高感度・高機能な生体物質測定法の構築を実施しています。
メンバーと主な担当課題
研究成果
氏 名 役 職
主な研究テーマ
近藤 聖奈 研究員
ヘルスケアへの応用を想定した機能性素材の評価
新規バイオマーカーの探索
<研究成果の凡例>
各メンバーの研究紹介
血液の凝固線溶反応に関するアッセイ系開発と臨床研究(熊野穣)
- 血液の凝固・線溶(固まった後に溶ける)反応にに関するアッセイ系開発
- 抗凝固薬(FIIa、FXa、FXIa阻害薬)の凝固反応の阻害効果を評価
- 医療機関と連携した血液疾患・臨床検査に関する臨床研究を実施
- 薬事申請を見据えた臨床研究の研究計画立案と運用マネジメント
凝固カスケード

トロンビン生成能試験による抗凝固薬の阻害効果の評価

トロンビン活性を蛍光基質で測定し、抗凝固薬の阻害効果を評価

表面増強ラマン分光法の機構解明と応用(伊藤民武)
- ラマン分光では分子の様々な振動を検出できる為、分子識別能力が高い。
- しかし、ラマン分光の感度は非常に低い(蛍光分光よりも10桁程度低い)。
- 分子を金や銀のナノ粒子の凝集体間隙に吸着させることでラマン分光の感度が10桁程度あがる。この分光法を表面増強ラマン分光法(SERS)という。

新世代スマートELISA(渕脇雄介)
- 従来の1/10時間で完了、高感度・高精度な定量分析キットを実現
- 前処理不要:血液・唾液・尿などの生体試料をそのまま検査可能
- スマートフォンでその場で定量:現場で即時に数値化、専門機器不要

鮮度と旨味を“見える化”(渕脇雄介)
- たった5分で判定!水産物・食肉の品質をその場で数値化
- JAS0023と0.9以上の相関性:科学的根拠に基づいた信頼性の高い測定
- スマートフォンで即時定量:現場や加工ラインでスピーディに判断
- 前処理不要・試験紙方式:冷蔵・冷凍品にも対応、簡単操作


検査・診断応用を目指した分子認識プローブ開発(重藤元)
- がん関連変異遺伝子やペプチドホルモンを簡易、迅速、高精度に検出
- がん組織・血液試料中の変異遺伝子発現細胞の検出法開発
- ELISA等では検出困難な、血糖値制御ホルモン検出法開発
変異遺伝子、ホルモンを特異的に検出するプローブ開発
蛍光・発光を基盤としたプローブ開発

プローブを用いた診断技術への応用
がんの変異遺伝子の検出 血中ホルモンの検出

細胞チップを用いた血中遊離癌細胞
(CTC)の検出による早期・低侵襲診断
(リキッドバイオプシー)
血栓症の早期診断マーカーの開発と評価法の確立(近藤聖奈)
- 血栓症の早期診断マーカーとして細胞外小胞に着目し凝固活性検出法を構築
- 血栓症予測モデルにより抗血栓薬の効果を評価・比較
- 発症前の早期診断や、一人ひとりに合わせた個別化医療への応用が期待
細胞外小胞の凝固活性検出方法の構築

細胞外小胞における凝固活性を評価し発症前の兆候を捉える
各抗血栓薬の凝固活性検出法による薬効比較

個々の薬効反応性を診断可能とする手法の開発を目指す
<お問い合わせ> Eメール:M-hmri-ic-ml*aist.go.jp
(*を@に変更して使用してください。)