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高分子機能応用研究グループ

主な研究内容

1. リグニン白色化技術の開発

資源循環社会実現に向けた化石資源依存からの脱却は急務であり、代替資源として植物バイオマスが注目を集めています。植物由来芳香族系高分子のリグニンは機能性材料としての利用が期待されていますが、着色による意匠性の低さに課題がありました。本グループでは混合溶媒中における置換基修飾を通じたリグニンの白色化に世界で初めて成功し、様々なリグニン誘導体を白色化することを可能にしました。白色化リグニンは透明塗工膜、耐熱フィラー、発光自立膜などの機能材料用途への展開可能性があります。バイオマス由来の高意匠性高機能材料の開発を通して、日本の国際競争力強化と資源循環社会実現に貢献できます。


2. 非破壊・非接触のその場診断技術の開発

エポキシ樹脂など有機高分子における非破壊劣化診断技術の開発を行っています。近赤外分光分析により塗装などの初期段階の劣化を捉えることが可能です。例えば、塗材を耐用年数に収まる期間に相当する耐候性試験(紫外線照射と降雨条件)を行ったところ、外からの水などの侵入を防ぐ保護機能を依然保った状態でした。しかし、電子顕微鏡で観察したところ、実際には塗膜の最表面に含まれるエポキシ樹脂が破壊され、炭酸カルシウムの粒子が剥き出しになっていました。近赤外分光法を用いると、上記のようなごく初期段階の劣化を、非接触かつ簡易的に検出できます。非破壊、試料の調製不要、かつ短時間で測定可能なので、全数検査やモニタリングに適した技術であり、広範囲にわたる分野で活用が期待されます。


論文

  • Quantitative Characterization of Modified Lignin Using Solid-State 13C NMR Spectroscopy
    Haruka Sotome-Yukisada, Kentaro Hiratsuka, Keiichi Noguchi, Jun Ashida, Toshiyo Kato, Kazuhiro Shikinaka, Yasuyuki Matsushita, Yuichiro Otsuka, and Yoichi Tominaga
    Anal. Chem. 2025, 97, 17, 9512–9517
  • Preparation of highly thermally stable and soluble ethylene-crosslinked ladder-like polymethylsiloxanes via template polymerisation
    Sho Nonaka, Kazuhiro Shikinaka, Tomoyasu Hirai and Yoshiro Kaneko
    Polym. Chem., 2025,16, 2154-2161
  • Design for CO2/CH4 separation process using imidazolium- and ammonium-based protic and aprotic ionic liquids
    Yuki Suzuki, Daisuke Kodama, Takashi Makino, Mitsuhiro Kanakubo, Masakazu Sasaki
    Chemical Engineering Science Volume 317, 1 November 2025, 121949
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