ナノ空間設計研究グループ
持続可能な循環型社会の構築へ向けて、ナノメートルサイズの空間を持つナノ多孔体の調製技術、精密な構造解析技術、およびセンシング等の利用技術に関する研究開発を実施しています。また、ナノマテリアルの国際標準化に取り組んでいます。
主な研究内容
1. 高感度・高精度PCR技術
酵素の大きさや表面性状に着目してメソポーラスシリカの細孔径や親疎水性を制御することによって1分子レベルの核酸を精確に増幅するPCR技術を開発しています。酵素に安定性や耐久性を付与することで反応阻害物質に対する耐性や常温での長期保存安定性の向上に成功しています。

2. グラフェン被覆多孔性シリカ球を利用したセンサー開発
PB/G/PSSを用いた小型センサーの開発を進めており、これまでにPB/G/PSSを参照極として使用することで、作用極での銀(Ag)汚染を抑制し、小型酸素センサーの長寿命化に成功しました。また、PB/G/PSSを作用極に用いることで、溶存酸素やビタミンCの分解電位をシフトさせ、夾雑物除去装置を必要としない貴金属フリーの血糖値センサーの実現にもつながりました。

3. ナノ空間物質のマルチプローブ結晶構造解析
ナノサイズの空隙が規則配列したゼオライト等の無機多孔性物質の結晶構造を、粉末XRD/散乱、固体NMR、3D-ED、電子顕微鏡を相互補完的に用いて解析します。サブミクロンの微結晶から、平均・局所構造、多相分析、結晶形態および構造欠陥を評価でき、新物質開発、精密構造物性、希少サンプル評価等の研究を推進しています。

研究グループ長 長谷川 泰久