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機能材料プロセス研究グループ

1. 低誘電低損失基板材料

私たちの研究グループでは、次世代の高速通信(6Gや自動運転センサーなど)に欠かせない「ミリ波領域(30〜300 GHz)」における材料の電気特性に注目しています。特に、複合材料の内部構造(粒子サイズや空隙構造など)が比誘電率や誘電損失にどのような影響を与えるかを解明することを目指しています。これまで用いられてきた理論モデル(Maxwell–GarnettモデルやBruggemanモデル)は、材料の平均的な性質を仮定するため、微細な内部構造の影響を十分に説明できません。そこで私たちは、先端的なシミュレーション技術と精密測定を組み合わせることで、従来モデルを超える新しい理解と予測手法の構築を進めています。本研究により、通信機器や自動車用センサーに適した新規材料設計が可能となり、将来的にはエネルギー効率の高い通信システムの実現に貢献することが期待されます。6Gは材料が主役になれる領域です。この領域で一緒に研究を進めて行きましょう。研究室見学、コンタクトは随時歓迎いたします



1. Development of Porous COP–Ceramic Composites for Application as Low-Relative- Permittivity, Low-Dielectric-Loss Substrates in Next-Generation Communication Systems, Seisuke Ata*, Takumi Ono, Yuto Kato, Scientific Reports, AcceptedDOI: https://doi.org/10.1038/s41598-025-13533-y

2. Effect of Alumina Particle Filler Structure and Particle Size on Dielectric Constant and Dielectric Loss in Millimeter-wave Band, Seisuke Ata*, Takumi Ono, Akihiro Tsuruta, Kenichi Mimura, akihiro shimamura, Yuto Kato, Kiwamu Sue, ACS Omega,2023, 8, 10, 9379~9384, 2023.


2. 自動ハイスループット流体物性測定システムの開発

化学プロセスの設計や解析において、密度や粘度といった基礎物性値の把握は不可欠です。特に溶媒は、組成や温度・圧力条件によって挙動が大きく変化するため、実測データが求められます。しかし従来の市販装置では、200℃を超える高温条件や複雑な溶媒系での測定は困難でした。私たちはこの課題に対応するため、200℃以上の高温溶媒に対応した流通式密度測定装置を開発しました。本装置は流通方式を採用することで、熱分解性を有する試料でも高温下での安定測定が可能です。さらに、統合プログラムによる測定・制御の自動化を実現し、1条件あたり約10分での自動測定が可能となりました。また、50mL程度の少量試料を複数セットできるため、組成を変化させた物性データを効率的かつ連続的に取得できます。現在は粘度測定機構の実装も進めており、高温高圧条件における密度・粘度のハイスループット測定技術として、産業界の幅広いプロセス設計・材料開発への応用が期待されます。




3. 自動制御とインライン分析を組み込んだフロー反応解析装置の開発

化学合成では多数の条件の組み合わせが考えられますが、その中から最適条件を見つけ出すことは容易ではありません。私たちはこの課題に対し、フロー反応装置に自動制御機構と分光分析を組み合わせた手法を開発しました。具体的には、流量や温度を自動制御しながら、赤外(IR)・近赤外(NIR)分光法によるインライン分析を行うことで、反応速度解析や滞留時間分布の測定を効率的に実現します。遠赤外分光器ではエステルやアミド類、近赤外分光器ではアルコール、アミン、水などを対象とした分析が可能です。従来のフロー実験では、流量や温度を変えるたびに流出液が定常状態に達するまで待つ必要があり、多くの時間を要していました。私たちの手法では、流量や温度を連続的に変化させることにより待ち時間を削減し、短時間で効率的に条件探索を行うことが可能になります。



Y. Takebayashi, K. Sue, S. Kataoka, React. Chem. Eng., 2024, 9, 2975.





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