部門紹介

部門長挨拶

地圏資源環境研究部門 研究部門長 相馬 宣和:イメージ

 地圏資源環境研究部門(Research Institute for Geo-Resources and Environment:GREEN)は、2001年4月の産業技術総合研究所の発足時から継続している唯一の研究ユニットです。発足からの22 年間には、米国同時多発テロ、リーマンショック、東日本大震災、新型コロナウイルス大流行、ロシアのウクライナへの侵攻など、様々な大きな出来事がありました。これらの影響は甚大で、地下資源の問題やそれを支える環境面については、当部門発足時とはすっかり変わってしまったと思います。
特に「鉱物資源およびエネルギー」の確保は「国立研究開発法人産業技術総合研究所法」の(研究所の目的)の中に明確に記されていますが、静かに、しかし確実に、わが国は激動の時代に入りつつあると危惧しています。私は2023年4月の着任時に、「サウジアラビアとイランの外交関係正常化、資源の豊かなBRICSやグローバルサウスの台頭、さらには非ドル通貨での資源・エネルギー取引の増加など、わが国が前提としてきた国際環境が急ピッチで変化してきており、単にお金があるだけでは資源の確保が難しくなる可能性があり、我が国の豊かさが失われる恐れさえも否定できないと考えています。」と、ここに書きました。その後も、資源国であるBRICSは拡大し、非ドル通貨利用は東南アジアでも広がりつつあります。

 このような動向を認識し、やはり、今後の当部門の役割を非常に重要なものだと考えており。プライスレスな学術研究や技術開発の成果(価値)を蓄積し、誠実な社会実装策として築き上げていくことは、国内外を舞台にした資源の安定確保のための備えとして重要だと思います。“誠実”と言うのは、単純に獲得資源量を最大化するのでは無く、開発に伴う環境の保全や地域の発展を共に考えることを大前提とするためで、これが厳しさを増す国際環境の中でも日本の武器になるものと信じております。一方、G7諸国を起点にするカーボンニュートラルや自然資本を重視する流れも確実にあり、資源と環境の両方を見据えてバランスの取れた展開が必要だと思います。

 先に掲げたミッションの下で当部門は、全所的な領域融合プロジェクトへの参画をはじめ、産業利用に資する地圏の評価に係る様々な研究開発、表層土壌評価基本図や水文環境図などの知的基盤の整備、土壌汚染等評価・措置に関する試験方法の標準化など、多様な研究活動を推進しています。弊所の第5期は最終年となり、成果の着実な創出と共に、次期における発展も意識した活動が求められています。公的研究機関として国内外の社会情勢や変化をいち早くキャッチし、先手を打って激動sの時代の重要社会課題を見出し、様々な能力と知的好奇心を持つ研究者群の総体として、社会に貢献できる成果を創出していきたいと考えています。

 今後とも皆様のご指導ご鞭撻ならびに諸活動へのご協力を、よろしくお願いいたします。

令和6年4月1日
地圏資源環境研究部門 研究部門長 相馬 宣和

ミッション

地下水研究グループ:イメージ

当部門は、地質調査総合センター(GSJ)の研究ユニットとして、「持続可能な地圏の開発利用と保全のための調査と研究」を、ミッションとして担当しています。環境保全と開発・利用との調和を実現する技術開発と共に、国の資源エネルギー政策や産業の持続的発展に貢献するために、地下資源の安定確保・利用および地下環境のバリア機能の利用、産業利用に伴う地下環境の保全に関する調査・研究、さらに関連する地圏調査や分析技術の開発を行います。

  • ①地圏資源(Geo Resource)の調査・研究および活用
  • ②地圏環境(Geo Environment)の利用と保全のための調査・研究
  • ③地圏の調査および分析技術(Geo Exploration & Analysis)の開発と展開

組織概要

当部門には現在9つの研究グループあり、地質的な対象が明確な“資源”に関係するグループ、地圏環境の活用や保全などの“環境”に関係するグループ、共通基盤的に用いられる“技術”に焦点を当てたグループがあります。しかし最近では、社会課題解決への積極的な貢献のために、グループを越えた分野横断・融合的な研究活動を重視しています。

国の政策や企業の研究開発ニーズに応える各種研究プロジェクトだけでなく、独創的な技術シーズを起点にした研究開発にも取組み、さらにGSJの一員として、水文環境や表層土壌、鉱物資源に関する図幅やDB整備、土壌汚染や環境浄化の技術の標準化など、知的基盤情報の整備にも努めています。

組織概要(組織図):図

研究グループ

  • 地下水研究グループ:イメージ
    地下水研究グループ

    目に見えない地下水の性質や流れを知るため、様々な技術を用いて研究しています。

  • 鉱物資源研究グループ:イメージ
    鉱物資源研究グループ

    国内外で鉱物資源の開発可能性評価や廃鉱石再活用の研究を行っています。

  • 燃料資源地質研究グループ:イメージ
    燃料資源地質研究グループ

    石油や天然ガスなどの燃料資源の探査手法や評価技術の研究を行っています。

  • 地圏微生物研究グループ:イメージ
    地圏微生物研究グループ

    地圏微生物の活動を調査し、資源開発や環境保全に役立つ研究を行っています。

  • 地圏環境評価研究グループ:イメージ
    地圏環境評価研究グループ

    非金属鉱物資源や環境リスク評価など、地圏環境の評価に関する研究を行っています。

  • 物理探査研究グループ:イメージ
    物理探査研究グループ

    社会インフラ保全のための評価技術、資源探査、CCS漏洩モニタリングなどに資する物理探査技術の開発に取り組んでいます。

  • CO2地中貯留研究グループ:イメージ
    CO2地中貯留研究グループ

    CO2地中貯留や鉱物固定などに関する技術開発を進めています。

  • 地圏環境リスク研究グループ:イメージ
    地圏環境リスク研究グループ

    地圏環境リスク評価手法の開発や修復技術の研究を推進しています。

  • 地圏環境リスク研究グループ:イメージ
    地圏メカニクス研究グループ

    地圏メカニクスに関する基礎研究と応用技術の開発を行っています。