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回収が期待される金属 ~戦略メタルの選定~

一般的な金属分類:ベースメタルとレアメタル

古くから広く使われてきた鉄、銅、鉛、亜鉛、アルミニウムなどの金属を「ベースメタル」と呼び、その「ベースメタル」と対比して使われている用語が「レアメタル」です。埋蔵量が少ない金属や、経済的・技術的に取り出すことが難しい金属を指しますが、明確な定義はなく、どの金属がレアメタルに分類されるかは、国や時代によって変わります。日本では、1987年に経済産業省鉱業審議会レアメタル総合対策特別小委員会が、

『地球上の存在量が稀であるか、技術的・経済的な理由で抽出困難な金属』のうち、現に工業需要が存在する(今後見込まれる)ため、安定供給の確保が政策的に重要であるもの

をレアメタルと定義し、31鉱種(47元素)を対象としました。※1

2019年発表の「新・国際資源戦略の策定に向けた論点」※2では、レアメタルの特徴を

  1. 資源の偏在性が高く、我が国にとって地政学的リスクが高い地域に偏っているケースが多い。
  2. レアメタルの市場はベースメタルと比較して小さく、価格のボラティリティが高い。
  3. 製品開発動向により需要が影響を受けやすい。
  4. 他の鉱石の副産物として生産されるレアメタルの供給は、主生産物の供給に左右されるため、副産物の需要動向に応じた供給を行うことが困難。

と解説しています。現在「レアメタル」に分類されているのは、34鉱種(55元素) ※3です。

戦略的都市鉱山研究拠点(SURE)の新しい概念:戦略メタル

スマートフォンで使用されている主な金属小型家電には、さまざまな金属が使用されています。スマートフォンを例にとると、振動モーターにはネオジム、ジスプロシウム、液晶画面にはインジウム、ICチップには金・銀・銅・スズ、コンデンサにはタンタル・マンガン・ニッケル・バリウム・チタン・パラジウム、バッテリーにはリチウム・コバルトなどが使われています。小型家電の金属資源リサイクルを考える時、これら全ての金属が重要なターゲットになるわけではありません。

経済産業省と環境省の合同部会 ※4は、2012年に、「リサイクルを重点的に検討すべき5鉱種」として、ネオジム、ジスプロシウム、コバルト、タンタル、タングステンを選定し、リチウム電池や磁石、コンデンサ、超硬工具などのリサイクル技術開発を推進しました。

しかし、現時点でのリサイクル技術が確立できたとしても、製品サイクルの早さから、それらの技術が利用できる期間はそれほど長くありません。さらに、重要なレアメタルほど省資源化や代替技術が進むため、製品中の含有率は次第に低下していきます。こうしたことから、レアメタルリサイクルを軌道に乗せるためには、将来を予測し、ターゲットを絞った計画的な技術開発が必要となります。

戦略的都市鉱山研究拠点(SURE)では、次世代産業に重要と考えられる金属を「戦略メタル」と位置づけ、各金属の今後の需要と使用済み製品からの回収ポテンシャルを評価して、今後どの金属をリサイクルの研究・開発の対象とするかを検討しています。

※4産業構造審議会環境部会 廃棄物・リサイクル小委員会 中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会 小型電気電子機器リサイクル制度及び 使用済製品中の有用金属の再生利用に関する小委員会 使用済製品中の有用金属の再生利用に関する ワーキンググループ 合同会合