第8回 インタビュー
-
リサイクル推進室
室長名古屋隆司氏
-
リサイクル推進室
研究開発課 課長長瀬優希氏
-
リサイクル推進室
研究開発課林慎也氏
-
リサイクル推進室
室長名古屋隆司氏
-
リサイクル推進室
研究開発課 課長長瀬優希氏
-
リサイクル推進室
研究開発課林慎也氏
[CLUB会員/リサイクル資源処理]
東京鉄鋼株式会社は、電気炉によって、超高層マンション等を支える高強度鉄筋を製造するトップメーカーです。鉄筋の主原料は鉄スクラップであり、鉄鋼事業そのものがリサイクル事業といえます。さらに近年では、鉄鋼事業で培った技術を駆使した新たなチャレンジとして、環境リサイクル事業を展開しています。今回は、環境リサイクル推進室の方々にお話を伺いました。
製鉄用電気炉を活用した環境リサイクル事業を展開(1)
---はじめに、 SUREコンソーシアムに加入されたきっかけを教えていただけますか?
2019年頃にASR(自動車破砕残渣)のプラ選別及び固形化事業を検討していたところ、大木SUREコンソーシアム会長をご紹介いただき、加入しました。
---加入する前、SUREコンソーシアムについてどのような印象を持っていましたか?
リサイクル装置や技術に関してはヨーロッパが主流というイメージがある中、SUREコンソーシアムは、産学官が一体となって国産化を目指している数少ない非常に有意義な団体だ、という印象を持っていました。
---御社は、鉄スクラップを主原料に、電気炉によって、鉄筋用鉄棒を製造する電炉メーカーです。近年、「資源循環」や「カーボンニュートラル」が世界的に追求されるようになったことは、電炉メーカーにとって追い風ですね。
コークス(石炭)を使って鉄鉱石から鉄を取り出す高炉と違い、電炉は鉄スクラップを電気で溶かして鋼材をつくるため、高炉に比べCO2排出量は4分の1と言われております。この脱炭素化の流れにより、環境負荷を低減する鋼材需要は今後伸びる見通しから、追い風だと思います。ただ、高炉よりも品質管理が難しく、高い品質が求められる高級鋼を製造するのは容易ではないため、今後の技術開発が一層加速するものと思います。
一方で、世界各国に電炉が増えると、原料の鉄スクラップが取り合いになると言われております。すでに、不純物の少ない高品位の鉄スクラップは高級鋼材の製造に必要なため、競争激化から価格が高騰し入手が困難になってきております。このような状況下で当工場としては低品位の鉄スクラップだけで、これまでと同様の製品を作る技術開発に取り組んでいます。
また、電炉は製造過程のCO₂排出量が少なくても電気を大量に消費するので、その電源が火力発電となるとその過程でCO₂が排出されていることになります。将来は、電炉で使う主な電力を非化石燃料による電源由来のものに切り替え(再生可能エネルギーの比率を高め)、CO₂排出を一段と減らす環境整備も必要と考えます。
---再生可能エネルギーを使用するには、どのような課題がありますか?
現在は、一般企業の活動が停止する比較的安価で安定した夜間電力を使用して工場(電気炉)を稼働しています。天候や時間帯、季節によって発電量が変わる再生可能エネルギーを主力電源にするためには、安定供給を支える仕組みが必要と思います。