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産業技術総合研究所 > 環境創生研究部門 > SURE CONSORTIUM TOPページ > INTERVIEW > 第5回 (2-1)

第5回 SUREメンバー座談会

  • 林直人

    環境創生研究部門

    資源価値創生研究グループ
    研究グループ長

    林直人

  • 尾形剛志

    ゼロエミッション国際共同研究センター
    資源技術研究チーム
    主任研究員

    尾形剛志

  • 鈴木智也

    ゼロエミッション国際共同研究センター
    資源技術研究チーム
    主任研究員

    鈴木智也

  • 片所優宇美

    ゼロエミッション国際共同研究センター
    資源技術研究チーム
    研究員

    片所優宇美

  • 林直人

    環境創生研究部門
    資源価値創生研究グループ
    研究グループ長

    林直人

  • 尾形剛志

    ゼロエミッション国際共同研究センター
    資源技術研究チーム
    主任研究員

    尾形剛志

  • 鈴木智也

    ゼロエミッション国際共同研究センター
    資源技術研究チーム
    主任研究員

    鈴木智也

  • 片所優宇美

    ゼロエミッション国際共同研究センター
    資源技術研究チーム
    研究員

    片所優宇美

産総研において戦略的な都市鉱山の開発に取り組む研究組織、SURE(戦略的都市鉱山研究拠点)では、現在35名の研究員が活動しています。 今回は、研究員たちが、どのような想いで、どんな研究開発に取り組んでいるのか、SUREコンソーシアムでどのようなことを実現したいと考えているのか等をお伝えするため、SUREコンソーシアム広報委員としても活躍中の4名を招いてWEB座談会を開催いたしました。


“企業と連携”“異分野の融合”でイノベーションを(1)

尾形:進行役を務めさせていただく、尾形です。産総研に入って10年目の研究員です。自己紹介をさせていただくと、学生時代は環境、その後大学に勤務した時は、原子力の分野で研究をしまして、現在は、資源分野で研究しています。分野は変わっても、一貫して、分離技術、特に溶液中に溶けている成分を分離回収する、「湿式分離」と言われる技術について研究してきました。現在は、レアメタルを選択的に回収する吸着剤や希土類元素の相互分離技術の開発などに取り組んでいます。
 それではまず、皆さんの研究の紹介からお願いします。入所順にしましょうか。

林:産総研に入って11年目になる林です。現在はNEDOプロジェクトを軸に様々な研究開発を行っており、大きく分けて画像認識技術や機械学習を応用した自動認識ソフトウェアの開発と、学生時代から一貫して行っている、各種物理選別装置の混相流シミュレーションモデル開発に取り組んでいます。前者では廃製品の型番まで特定するシステム、廃プリント基板画像からの資源価値推定ソフト、またリチウム電池の使用元素に基づいて種類別に分けるシステムの開発を行っています。後者は、より省エネルギー・低コストの微粒子選別の実現を目指した高遠心比重選別機の改良と、リサイクル工場自動化のための物理選別装置の高度運転制御を目的としています。
 他に、SUREアカデミー「浮選の結果予測システムの検討会」に参加し、代表的な微粒子選別プロセスである浮選のメカニズム解明と高度制御を目的に、研究を開始したところです。

尾形:画像認識や機械学習といったAIを活用した研究開発は、今とても注目されていますね。水中では、物性に対して影響するパラメータが多すぎるので、私が取り組んでいる湿式製錬では、今はまだ、取り入れるのが難しいのですが、物理選別の分野ではどんどん活用されてきています。AI技術が発展したら、リサイクルはどのように変わるのでしょうか?

林:まさにNEDOプロジェクトで技術開発しているところですが、画像認識とディープラーニングを組み合わせた認識技術に、製品メーカーや収集業者等から適切な情報が来るようになれば、無人あるいは自律的に動くリサイクル工場の実現など、相当なことができると思います。廃棄物が相手ですから多様性があり、時々刻々と変化してゆくもので非常に難しいです。しかし我々の技術開発と、必要な情報が手に入る社会的なシステム構築の両方が大事になりますが、それらについても、できるかできないかでいうとできると思いますし、実現させねばなりません。

尾形:技術開発だけではなく、社会システムの構築も必要ということですね。続いて入所6年目の鈴木主研、お願いします。

鈴木:私も尾形主研と同じように、学部時代は環境系の学科に所属していました。CO2を減らすために原子力発電に関係した研究がやりたいと考えて、大学院時代はウランの分離の研究をしていました。卒業後に日本原子力研究開発機構で白金族金属の分離の研究を始めたことが、産総研に入るきっかけとなり、現在は、白金族金属の湿式精錬で用いる分離剤の開発や分離条件の最適化等の研究を行っています。学生時代に学んだ溶液化学や錯体化学等のバックグラウンドを活かして、反応メカニズムから、どうしたら分離が良くなるか、回収率が良くなるかといったことを考え、研究を進めています。そのメカニズムを考えるために、大型放射光施設SPring-8でのサンプルの分析もしています。

尾形:分離剤の開発に放射光を利用しているところは他にあまりありません。それが鈴木主研のコア技術のひとつで、その技術で反応を詳細に調べて、分離剤の開発に生かしているということですね。

鈴木:そうですね。放射光を使わないと分からない、「溶液の中の金属イオンの価数や分子構造の情報」を実験的に分かる分離の結果と合わせることで、分離剤の改良や条件最適化につなげやすいと考えています。

尾形:最後に、片所研究員お願いします。

片所:3年目の片所です。大学院で取り組んだ溶融塩の技術を使って、何か環境に関わる研究がしたいと考えていたところ、産総研に、「溶融塩と合金隔膜を使ってネオジム磁石から希土類を分離回収する」という研究をされている研究者(ゼロエミッション国際共同研究センター 大石哲雄主任研究員)がいらしたので、その方と研究したいと入所しました。
 現在は、高温溶融塩中の電気化学反応を制御してホウ素を分離する研究やその場測定の技術開発を行っています。この「高温溶融塩中の電気化学反応をその場でXRD測定する」というのが私のコア技術で、これは、世界であまり取り組んでいる人がいない技術なので、これで反応メカニズムを解析して、分離技術の向上につなげるようにしたいと考えています。高温にするというのは、エネルギーが必要なので、今後は、低温、室温での電気化学反応の制御にも取り組みたいです。