第4回 インタビュー
株式会社やまたけは、東京都足立区に本社を置くリサイクル事業者です。インタビュー第4回は、明治大学やNTT東日本で活躍したラガーマンである山口大介代表取締役に、同社の方針や取り組み、ラグビーの経験を生かした組織運営などについて語っていただきました。
「One for All, ALL for One」で組織を動かす(1)
---まずは、株式会社やまたけの概要を教えてください。
1960年に、「やまたけ商店」として私の祖父が創業し、1965年に、組織を改めて「株式会社やまたけ商店」を設立しました。1990年に、社名を「株式会社やまたけ」に変更して現在にいたります。本社は、東京都足立区西新井にあり、他に、埼玉県三郷市の三郷営業所と茨城県かすみがうら市の土浦営業所、千葉県成田市の成田メタル株式会社という関連会社がございまして、主にこの4カ所で事業を行っています。
事業内容は、金属リサイクル業と産業廃棄物の中間処理業を2本柱とし、その他に、小型家電リサイクル事業、自動車リサイクル事業、古紙リサイクル事業を展開しております。また、営業所には、地域の皆様にリサイクル産業への関心や理解を深めていただくことを目的として、一般家庭にある不用品を直接回収する「じゅんかんコンビニ」を設置しています。
---60年の歴史の中で、山口社長が先導された変革にはどのようなことがございますか?
創業以来、リサイクル業というより、どちらかというと破砕業という感じでやってきました。私が10年前に入社した当時も、大型シュレッダーで破砕したものが、そのまま売れていましたから、それでも会社がしっかりと継続できていたわけです。しかし、先進的な取り組みをされている会社の方のお話を伺ったり、見学させていただいたりする中で、そのような処理体制に疑問を抱くようになりまして。当時の社長であった父に相談しながら、「リサイクラーとして、しっかり選別、回収をして、資源を国内に循環させていくという信念をもってやっていこう」という方向に、会社の方針を転換いたしました。
具体的には、7、8年くらい前から、より濃縮できるような選別ラインを拡充しておりまして、有価物回収率は、年々向上しています。当面の目標としては、「複合材を入れて、破砕して、選別ラインを通せば、銅、アルミ、ステンレスといった単一のマテリアルに選別できる」というところまで持っていくことです。今は、粒度の小さいものは機械選別で、大きいものは機械と人の手を使って選別しているのですが、小さい方の選別がまだ不十分なので、より充実させていきたいですね。先進的な会社では、アルミを番手ごとに分けるといったことまで実現していますが、まずは、単一のマテリアルに選別すること。それができたら、その先に、そういうのが見えてくるのかなと考えています。
---最近も、金属破砕後の選別ラインを新設されたそうですね?
昨年末は、より濃縮するというよりは、処理能力を増強する工事を行いました。イタリア製のメタルソーターやドイツ製のアルミ選別機を導入したりして、今までの2.5倍くらいの量を処理できるようになりました。機械の選定に力を入れておりまして、毎年、海外の展示会に足を運んだり、先進的なリサイクルをされている会社に見学させていただいたり、実際にテストさせていただいたりして、どういうものがうちに合うのか検討して、取り入れています。
---環境マネジメントシステムの国際規格「ISO14001」の認証を取得され、事故の未然防止や環境保全の装置導入にも力を入れていらっしゃいます。
私共が特別なことをやっているわけではありませんが、シュレッダー内の爆発直前の空気を感知し、瞬間的に消火剤を投入する爆発抑制装置や、ミスト散布や泡散布による粉塵飛散防止装置を各所に設置しています。爆発抑制装置は、1回作動してしまうと、また充填させるのに何百万円もかかってしまい、とても大変ですが、安全には代えられません。