LS-BT講演会

(会場:産総研つくばセンター共用講堂、1F講堂)   

LS-BT2018講演会 (2018年2月6日)
  産総研生命工学領域研究成果発表会
    「ホットトピックス」

開会
挨拶
 13:00-13:10                                        
産総研 理事/生命工学領域長    松岡  克典 
講演1
 13:10-13:30 
「人工心臓装着患者に対する安心・安全技術」

産総研 健康工学研究部門 人工臓器研究グループ 主任研究員    小阪  亮 
《講演概要》長期の安心・安全な心機能補助を実現させるため、血液ポンプの長寿命化と患者や血液ポンプの状態を管理するセンサ技術について講演する。
講演2
 13:30-13:50 
「ステルス型RNAベクターの開発と先端医療への応用」

《講演概要》産総研では、2001年より「ヒトを含む動物細胞で遺伝情報を安定に発現するための、染色体とは独立した遺伝子発現プラットフォーム(独立レプリコン)」の開発を行ってきた。 その最新の成果が、細胞質に存在するRNAから遺伝情報を持続的に発現することができる「ステルス型RNAベクター(SRV)」である。 SRVは最大10個もの遺伝子を同時に搭載してヒト細胞で安定に発現することができるだけでなく、不要になった場合は細胞から容易に除去できる。 このような特徴は、iPS細胞の作製を初めとする細胞のリプログラミングに最適である。演者は、SRVの実用化を目指して2014年に産総研技術移転ベンチャー「ときわバイオ(株)」を設立した。 講演では、SRV技術の概要とその応用の実例、実用化の現状について紹介する。
講演3
 13:50-14:10 
「細胞内シグナル伝達の網羅的解析システム」

産総研 創薬分子プロファイリング研究センター 構造モダリティ研究チーム 主任研究員    鍵和田  晴美 
《講演概要》細胞は外部からの刺激によって変化し、例えば、がん細胞は何らかの刺激によって悪性細胞になっています。この「外部からの刺激」(シグナル)はリン酸化経路によって伝えられるため、どのリン酸化経路が活性化しているか、がわかれば、細胞変化の分子機序のみならず疾患要因や薬効機序の解明に貢献します。 本研究は従来のリン酸化解析の弱点を克服し、リン酸化活性アレイによる網羅的計測、その結果の評価・解釈・可視化をパッケージ化し、高度リン酸化解析のハイスループットを実現します。 特に多検体の網羅的解析(1169タンパク質で構成される377パスウェイ)が簡便に行えます。 講演では、本技術の概要や実施例等についてご紹介します。
講演4
 14:10-14:30 
「タンパク質を用いた機能性バイオマテリアルの創製」

《講演概要》生体と接触して使用される材料(バイオマテリアル)では、細胞や組織に害を及ぼすことなく、目的とする機能を発揮することが求められ、医療用デバイスや人工臓器などの開発において活発に研究が行われている。 我々は、結合、触媒、輸送など多岐に渡る機能と優れた生体適合性を持つタンパク質に着目し、タンパク質を原料として、安全で高度な機能を備えた医療用デバイスを創製する研究に取り組んでいる。 本講演では、異なる機能を有する3種類のタンパク質(血清アルブミン、抗体、SOD)を用いて、炎症性疾患の治療に役立つ高機能なマイクロメートルスケールのデバイスを、タンパク質だけで組み立てた最新の研究成果を中心に発表を行う。
講演5
 14:30-14:50 
「環境微生物と動物の共生関係を紐解く:現象の理解と産業への活用を目指して」

《講演概要》自然環境に住む微生物は物質循環や汚染物質の浄化といった生態系保全に寄与し、また根粒菌や菌根菌に代表されるように植物に共生して有益な効果をもたらすことが古くから知られている。 そして、生態系保全や農作物増産をねらった数多の微生物研究が農学術の進歩に貢献してきた。 一方、環境中の微生物が「動物」へもたらす直接的な好影響はほとんど分かっていない。 私の研究チームでは、農業害虫や水産動物に着目し、それらと環境微生物の共生関係を探索・解明して、宿主動物の駆除や増産といった産業への活用を目指している。 本セミナーでは当該分野の最新トピックを交えながら、これまでの研究成果と今後の展望について紹介する。
閉会
挨拶
 14:50-15:00 
産総研 生命工学領域 研究企画室 室長    萩原  義久 


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