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2008年9月11日十勝沖の地震(M7.1)のやや長周期地震動の波動伝播
シミュレーション(暫定)

2008年9月11日に十勝沖を震源とするM7.1の地震が発生しました.この地震での,石狩平野・勇払平野のやや長周期地震動を対象に,長周期地震動の計算のため作成した石狩平野・勇払平野の地下構造モデル pdf 10.5Mb活断層・古地震研究報告第7号)を用いて,シミュレーションを試みました.あくまで試みで,計算波形を観測波形に合わせるような震源モデルの調整をほとんど行っていないため,観測された地震波形と比較するとやや再現性はよくありません.あくまで試行的,暫定的な計算であることを承知願います.

防災科学技術研究所 K-NETの観測記録(黒)と,計算した波形(赤)を比較してみました.前述のように細かい差異はありますが,定性的な振幅の大小は再現されています.

 

 

地震波が震源から伝わる様子をアニメーションで示しました.右側が震源を含む広い範囲,左側が右側の四角で囲まれた範囲を拡大したものです.震源から離れた石狩平野や勇払平野・十勝平野において揺れが大きく,また,揺れの継続時間が長い様子が見て取れます.この現象は,石狩平野・勇払平野の地下の堆積層により揺れが増幅されたものです.2003年十勝沖地震で石油タンクの火災を引き起こしたのも同じ原因なのですが,今回の地震はマグニチュードが小さいため,同様の被害が発生するような揺れの強さとはなっていないようです.

 

なお,1秒目から揺れが見えていますが,本当はそのようなことはないはずで,処理の過程で出てきている偽のものです.このあたりも,暫定的なものですので,とりあえずご容赦願います.

計算にはSGI Altix 350 (Itanium2 1.6GHz 18CPU使用)で約4時間21分+後処理時間(2~3時間)かかりました.メモリーはおよそ16GB必要です.

謝辞:防災科学技術研究所K-NETのデータを使用しました.記して感謝します.

(文責:吉田邦一)