<平成19年(2007年)能登半島地震情報

能登半島沖地震震源付近の地質と活断層

能登半島は主に中新世以前の火成岩類からなるが,周辺海域には日本海が拡大した前期中新世に形成された堆積盆地が分布している.堆積盆地の多くは東北東-西南西方向の長軸を持つリフトである.震源域付近では,能登半島の北縁に沿って東北東-西南西方向の堆積盆地があり,震源の南西側でさらに広がっている.これらの堆積盆地内には,後期中新世から前期鮮新世にかけて生じた南北方向の圧縮応力によって,東西から東北東-西南西方向の軸を持つ断層・褶曲が発達した.この変動は鮮新世の後期には停止したが,第四紀になって西北西-東南東圧縮応力による変形が成長し始めている.新しい断層や褶曲は南北或いは北東-南西方向の軸を持つことが特徴である.しかしながら,一部の断層や褶曲は2回の変動の影響を受けている.

第四紀に活動している断層は,能登半島の北縁に沿って分布し,さらに西方沖へ断続的に南西方向に連続する.それとは別に,海岸に沿って南北方向の逆断層に伴って形成された活褶曲も発達している.このように,能登半島の北から西側海域には,半島を取り囲むように第四紀に成長した逆断層が分布している.これらの断層は日本海東縁の逆断層群と成因は同じで,その圧縮変形の影響が西側まで広がってきていると解釈されるが,断層の規模は日本海東縁に比較してかなり小さいという特徴がある.

震央の北西から西側には北東-南西方向の長さ約20 kmの逆断層が発達している.この断層は南東側に傾斜した断層面を持ち,震源に達する可能性がある.周辺にはほぼ同じ方向の短い断層や褶曲が断続的に分布している.それらのいずれかが今回の地震の震源断層となった可能性が高い.

震源域付近の海底地質構造

能登半島西方海底地質図(部分)
海洋地質図61,産業技術総合研究所 地質調査総合センター(印刷中)