< 2008年岩手・宮城内陸地震速報

緊急現地調査速報(第6報:2008.6.23)

金田平太郎・粟田泰夫・安藤亮輔

 

訂正のおしらせ

地点3の図を差し替えました.(08/6/24 10:15)断層の位置が一部間違っていました.再度ダウンロードをお願い致します.ご迷惑をお掛け致しました.

中川地区(地点2.5):一関市

中川地区(地点2.5):一関市

 

岩井川支流の本寺川上流の中川付近では,水田や林道に地震断層によって生成された崖や水田面の上下変動が認められました.

本寺川の南俣では,6月22日昼頃の観察時点で,林道から水田にかけて北北東-南南西に延びる崖が認められ,西側上がり20-30cmと水平短縮10cm程度の変位が計測できました.また,これより西側でも水田面が南南東に傾動して50cm程度の上下変位を受けるとともに,一部では背斜状の変形も認められました.さらに背斜状の変形を受けた水田の西方の露頭では,地層面に沿った低角の逆断層がずれ動いて,川沿いの崖に10cm程度のオーバーハングが形成されていました.

近くの住民の証言によりますと,一連の断層や傾動・褶曲による変形は地震の本震直後には小さかったものの,その後,次第に成長しているとのことです.緊急調査隊では,取り急ぎ基準点を設定して上下変形量の連続計測に着手しました.

本寺川の北俣の林道でも,西側上がり20-30cmの崖が生じているのが認められました.

 

写真1-1:南俣の林道の断層.

写真1-1:南俣の林道の断層.

 

写真1-2:背斜状に変形した水田面.

写真1-2:背斜状に変形した水田面.

 

写真1-3:露頭のずれ動いた断層.

写真1-3:露頭のずれ動いた断層.

 

岡山地区(地点3):一関市

岡山地区(地点3):一関市

 

磐井川の南北両岸で地震断層や,その動きに伴う地表・構造物の変状が認められました.

南岸では本寺小中学校西方のアスファルト舗装道路に西側上がりの段差(第2報を参照)に伴って,東西短縮20cm程度の短縮が確認できました.さらに南南西方でも,民家の北西側で埋設水道管が破損し,牛舎の北側の地面に西上がりの亀裂があらわれ,水田面が東南東に傾斜していました.

また,磐井川の北岸では,国道342号線に西側上がりで上下変位20-30cm程度の緩やかな崖ができており,その北側では,駐車場の縁石や建築物,集会場東側の側溝の東西圧縮によると推定される破損が見られました.一連の地震断層に沿って,河岸段丘上に西側上がりの崖が発達しており,過去の断層活動を示している可能性があります.

 

写真2-1:

南岸の道路上に出現した地震断層.道路は地震前から存在した河岸段丘上の崖を横切っている.

写真2-1:南岸の道路上に出現した地震断層.

 

写真2-2:国道342号線を横切る地震断層.

写真2-2:国道158号線を横切る地震断層.


はの(木へんに爪)木立地区(地点4):一関市

第2報で報告されていた南東上がりの崖と概ね並行して,数10~100mほど南東側の水田では,北西側上がりの緩やかな傾動が認められます

地震に伴って生じたこれらの崖と傾動の間には,地震以前からリッジ状の地形的な高まりが存在しており,これは過去の断層活動を示している可能性があります.

なお,本地点の北西上がりの傾動は,東洋大学社会学部の渡辺満久教授らの調査結果の報道に基づいて,現地で確認しました.

 

写真3:北西上がりの傾動を示す水田面.背後の崖は地震前から存在した地形的高まり.

写真3:北西上がりの傾動を示す水田面.背後の崖は地震前から存在した地形的高まり.

 

金田平太郎・粟田泰夫・安藤亮輔

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