< 2008年岩手・宮城内陸地震速報

緊急現地調査速報(第4報:2008.6.19)

荒砥沢ダム北部で,ずれ量3m以上の地表地震断層を確認

遠田晋次・吉見雅行・丸山 正

産業技術総合研究所活断層研究センターの地表地震断層調査隊は荒砥沢ダム北方にて今回の地震の地表地震断層を確認いたしました.

今回の地震で発生した荒砥沢ダム上流の大規模地すべりの東方で地震断層とみられる崖が約1kmにわたって認められます(トレース図参照).町営高平牧野の北を東西に走るアスファルト舗装道路に右横ずれが認められ,その東方では東北東-西南西~東西走向で北側上がりの崖が連続し,林道のずれなどから上下成分に加えて右ずれ成分を伴っていると判断されます.上下,右ずれ量はそれぞれ最大3~4mと推定されます.道路の西方では南流する荒砥沢支流の東岸でほぼ南北走向で西側上がりの崖として認定されます.今回認定された崖の東西両端では大規模な地すべりが発生しており,両者の関係が注目されます.

トレース図

空撮画像:確認した断層は,荒砥沢ダム北方の大地滑りと三迫川の堰止湖を作る大規模崩壊との間の尾根を横切っている.(朝日新聞社ヘリより空撮)

写真1:道路を横切る断層.右横ずれ変位3.5m

写真2:横ずれ変位3~4m.人は林道の真ん中に立っている.

写真3:左側の岩盤が手前に乗り上げ,木が手前に傾いている.

写真4:斜面の下流側が持ち上がりながら右横ずれし,一続きの斜面だった面が5m以上食い違っている.

写真5:大規模地滑り近傍の地表地震断層.

*京都大学防災研究所地盤災害研究部門助教 飛田哲男氏には地変に関する貴重な情報をいただきました.記して感謝いたします.