< 福岡県西方沖地震ページ

震源断層外の余震活動と地質構造

震源断層の南東,海の中道から博多港直下にかけて微小な余震が多数発生しています.地質図と重ね合わせると,これらの余震活動は石堂ー海の中道断層(5万分の1福岡地質図幅,唐木田ほか)とほぼ一致します().震源断層のすべりによる応力変化によって,同断層が影響を受けているものと推定されます.なお,石堂-海の中道断層は活断層かどうかまだわかっていません.警固断層との関係(地下でつながっているかどうか)も今後検討する必要があると考えます.


福岡県西方沖地震による福岡市直下警固断層への影響

今回の地震により警固断層全体に1bar程度(大気圧)以上の応力が加わったことが予想されます.特に福岡市直下の警固断層北西端には最低でも2bar,震源断層モデルによっては5bar前後の増加も想定されます.警固断層自体は1~2万年に1回活動するC級活断層とされ,今後30年間の地震発生確率も1%にもみたない断層です.しかし,今回の地震による負荷を考慮すると,最大7%程度(兵庫県南部地震直前の野島断層の確率値とほぼ同じ)まで急上昇する試算となります.残念ながら,これまでの地質調査では最新の活動時期がわかっておらず正確な確率予測ができません.警固断層は98主要活断層ではありませんが,今回の地震の影響と都市直下という状況を踏まえると,主要活断層と同様,今後早急に徹底した調査を行う必要があると考えます.また直下地震に備えた防災対策はこれまで以上に必要だと思われます.