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メチレンブルー吸着量の測定方法 (JIS Z 2451: 2019)

測定方法の活用例

このページでは、JIS Z 2451 (2019)で規定するベントナイトなどのメチレンブルー吸着量の測定方法の活用例を紹介します。

活用例1  ベントナイト中のスメクタイトの含有量の推定

ベントナイトは、主成分であるスメクタイトの他に、副成分として石英、クリストバライト、オパール、長石、うんも(雲母)、ゼオライトなどのケイ酸塩鉱物、方解石、苦灰石などの炭酸塩鉱物、石こうなどの硫酸塩鉱物、黄鉄鉱などの硫化鉱物などを含みます(図1)。メチレンブルーは主成分であるスメクタイトに選択的に吸着するため、ベントナイトのメチレンブルー吸着量はベントナイトのスメクタイト含有量に相関すると考えられています [1]。

ベントナイトの構成成分概念図
  • 参考文献 [1]: 伊藤ほか(1994) 日本原子力学会誌 Vol. 36, No. 11, p. 1055 – 1058.

活用例2  ベントナイトの陽イオン交換容量(CEC)の推定

ベントナイトの主成分であるスメクタイトは、厚さが約1 nmの薄い板状結晶が積み重なった層状構造をしています [1]。1枚の結晶は、酸素(O)と珪素(Si)からなる四面体シートの間に、酸素(O)・アルミ(Al)・マグネシウム(Mg)からなる八面体シートが挟まれた三層構造からなっています(図2)。八面体シート中の3価のAlイオンが、部分的に2価のMgイオンやFeイオンに置き換わることで、結晶中の電荷が不足し、その結果結晶層面にはマイナスの永久電荷が生じます。その電荷を補償するため、結晶と結晶の間(層間)には、NaイオンやCaイオンなどの陽イオンが吸着されます(図2)。これらの陽イオンは、周囲の環境中の他の陽イオンと自由に陽イオン交換することが可能です。層間の陽イオンと交換可能な陽イオンの量のことを、陽イオン交換容量(CEC)と言います。陽イオン交換容量(CEC)はベントナイトの性能の重要な指標の1つですが、その測定方法は煩雑で高度な技術を必要とすることが知られています。  メチレンブルーイオンは陽イオンであるため、スメクタイトの層間の陽イオンとのイオン交換によって吸着すると考えられています [1]。したがって、ベントナイトのメチレンブルー吸着量の測定方法を、ベントナイトの陽イオン交換容量(CEC)の簡易測定方法として用いるための研究が行われています [2]。

スメクタイトの構造と陽イオン交換の概念図
  • 参考文献 [1]: 鬼形(2007)粘土科学 第46巻 第2号 p. 131 – 138.
  • 参考文献 [2]: 飯村(1966)粘土科学 第6巻 第1号 p. 14 – 21.

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