スポンサーセミナー@BioJapan2019   
      

「次世代バイオものづくりへの挑戦」
-バイオエコノミー拠点の形成を目指して-

         日時:10月9日(水)13:15~14:15写真
         場所:アネックスホール F202

概要  これまでも産総研では日本におけるバイオものづくり研究の先導的役割を担い、医薬品生産のための植物工場技術の開発やゲノムサイエンス研究を推し進めてきました。 10年ぶりに取りまとめられたバイオ戦略2019においても、バイオ生産システムは9つの柱の一つとして取り上げられており、産総研技術によりその実現に貢献していきたいと考えています。 本セッションでは、微生物・動物・植物といった多様な生物種を用いて社会実装を目指したバイオものづくりの現状と今後の展望についてご紹介したいと思います。

コーディネーター : 産総研 生命工学領域研究戦略部
研究企画室 室長  宮崎  歴 
講演1  13:15-13:35 
転写因子工学に基づくオーダーメイド植物育種

産総研 生物プロセス研究部門 研究員  坂本  真吾 
 植物は我々の生活に必要な様々な有用物質を合成しています。それらの多くは転写因子による複雑な転写ネットワークを介して合成が制御されています。 したがって各転写因子が制御している転写ネットワークを明らかにし、自在に制御することによって、従来育種では作りえなかった全く新しい有用品種を生み出せる可能性を秘めています。 本講演では我々が長年行ってきた植物転写因子研究に関して、独自の研究技術の紹介と、転写因子工学に基づく植物の改良に関する研究例、実用化の可能性についてお話しします。
講演2  13:35-13:55 
-食べるだけ、燃やすだけではもったいない-
ミドリムシから始まる「藻(も)」のづくり


産総研 バイオメディカル研究部門 上級主任研究員  芝上  基成 
 パラミロンはミドリムシが大量に産生する高分子で、ブドウ糖だけで構成されます。その構造はセルロースと似ていますがブドウ糖のつながり方が少しだけ異なります。 そのためパラミロンは三重らせんを好んで作ります。またミドリムシ細胞からの抽出は容易で、しかもその純度は100%です。鎖長はほぼ一定です。 セルロースとは一線を画すこれらの特性に基づいて、熱可塑性樹脂やナノファイバー、超吸水性フィルムやゼロ複屈折率フィルム、100%天然由来粘着剤、インスリン分泌や内臓脂肪量の減少等に関わるGLP-1の分泌促進剤等を作ってきました。 糖分に富んだ廃液すらも栄養源として増殖するミドリムシは環境負荷低減の観点から魅力的です。 本講演では無価値の廃液から高付加価値材料を産み出すことが期待される優れた「化学者」としてのミドリムシについて紹介します。
講演3  13:55-14:15 
ゲノム編集ニワトリが産む「金の卵」
:鶏卵バイオリアクターによる組換えタンパク質低コスト大量生産


産総研 バイオメディカル研究部門 研究グループ長  大石  勲 
  バイオ医薬品など組換えタンパク質の市場は拡大を続けていますが、高い生産コストは解決すべき課題です。 そこで、低コストの組換えタンパク質生産法として我々は鶏卵バイオリアクター技術を開発しました。 これはゲノム編集で遺伝子ノックインニワトリを作製し、卵白に多量の組換えタンパク質を生産する方法です。 これまでに卵1個に数十ミリグラムのヒトインターフェロンβ(市価数億円相当)を発現するなど画期的な生産法になると期待されます。 様々な組換えタンパク質大量生産へ応用できると考えており、企業ニーズに基づく受託生産も可能です。 革新的な超低コスト組換えタンパク質生産技術と産業応用に向けた取り組みをご紹介します。

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