スポンサーセミナー@BioJapan2018

「マイクロバイオームの最前線」~創薬・アグリ・環境~
   “Front line of the Microbiome Researches” -Drug discovery, agricultural, environment-

         日時:10月12日(金)13:30~14:30
         場所:アネックスホール F204

概要  微生物は、ヒトや動植物さらには微生物同士で相互作用しながら、様々な機能を発揮しています。 ほとんどの微生物が培養困難である中、産総研では種々の解析手法を開発し、多方面にわたるマイクロバイオーム研究を推進しています。 産総研はマイクロバイオーム計測の精度管理技術開発と標準化を進めており、マイクロバイオーム研究開発を支援しています。 また、害虫の共生微生物の多様性と機能を解明し、防除技術の開発や、廃水処理プロセスの微生物群の多様性やゲノム情報から、処理機能の向上、エネルギー・資源の回収など新規機能の発掘、応用化など、最前線の研究成果を紹介します。

コーディネーター : 産総研 生命工学領域研究戦略部
イノベーションコーディネータ 後藤  雅式 
講演1  13:30-13:50 
マイクロバイオーム解析の精度管理に向けて

Improving the reliability and comparability of microbiome measurements

産総研 バイオメディカル研究部門 総括研究主幹  関口  勇地 
【概要】 マイクロバイオーム、特に腸内マイクロバイオームなど人と直接接触するマイクロバイオームはさまざまな疾患の診断用マーカーや創薬ターゲットとして注目を集めています。 その解析用途に次世代DNAシーケンサが広く利用されていますが、その信頼性確保や測定結果の比較互換性の担保が課題になっています。 産総研ではマイクロバイオーム計測の精度管理技術開発と標準化を進めており、細菌の持つ遺伝子を模擬した人工的な塩基配列を持つ核酸標準物質を開発しました。 この標準物質は多くの種類のマイクロバイオーム試料に適用できる世界初の精度管理用標準物質です。 また、これらの技術を利用した産業界における計測技術の標準化支援、また精度管理された独自の解析パイプラインによるマイクロバイオーム研究開発を支援しています。
講演2  13:50-14:10 
腸内微生物を制して害虫を制す
Pest management by controling gut microbiota
産総研 生物プロセス研究部門 主任研究員  菊池  義智 
【概要】 ほとんどの害虫はその体内に共生微生物を持つことが知られています。 これら共生微生物は害虫の体内で重要な栄養代謝機能を担い、宿主昆虫の生存・成長・繁殖において必須の役割を果たしていることから、害虫防除の新たなターゲットになると考えられています。 私たちはこれら共生微生物の多様性と機能を解明し、共生の分子メカニズムを理解することで、共生微生物をターゲットにした新たな害虫制御技術の開発に繋がるものと考え研究に取り組んでいます。 これまでの研究により、微生物がどのように害虫体内に共生しているのか、その分子機構が少しずつ明らかとなってきました。
講演3  14:10-14:30 
廃水処理汚泥マイクロバイオームの世界を解き明かす

Deciphering the wastewater sludge microbiome

産総研 生物プロセス研究部門 主任研究員  成廣  隆 
【概要】 廃水処理技術は、都市下水・工業廃水の浄化処理と水資源の再利用を担う社会基盤の要です。 廃水処理プロセスの内部では多種多様な微生物が廃水中に含まれる有機物・無機物の分解・除去を担っていますが、それら微生物群の生理・生化学的機能の全貌は明らかになっていません。 産総研では、廃水処理に関連する微生物群の多様性やゲノム情報を詳細に調べることで、処理効率の安定化、各種化学物質の浄化処理へ向けた機能性の向上、廃水からのエネルギー・資源の回収に向けた高度化に資する新規微生物機能を発掘し、その応用化を目指しています。 本セミナーでは、廃水処理汚泥マイクロバイオームの知られざる世界の一端を紹介します。

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