Tribology Groupトライボロジー研究グループ

社会ニーズに応じた基盤的トライボロジーと
革新的な先端的トライボロジー

About研究グループについて

製造技術研究部門について

トライボロジーとは「相対運動を行いながら相互作用を及ぼしあう表面およびそれに関連する実際問題の科学技術(日本トライボロジー学会編:トライボロジー辞典)」と定義されています。物と物とが擦れる場面では、表面(界面)が相対的に運動し、摩擦・摩耗によってその表面は時々刻々と変化していきます。摩擦の形態も様々で、「物が動くところに必ずトライボロジーがある」といっても過言ではありません。「実際問題の科学技術」とされているのは、トライボロジーが問題となるのが「理想的な場」ではないということであり、実際の動きや表面、環境等を考慮して研究を進める必要があります。私たちは今後想定される社会状況や産業構造の変化・不確実性など製造産業に及ぶ多様性に対応するために、基礎から応用まで広い視野を確保しながら研究を進めています。

キーワード

摩擦・摩耗・潤滑・メンテナンス・機械要素・高温摺動材料・サーメット・脱炭素トライボロジー技術・トライボ解析・表面機能化

Points研究の三本柱

  • 1エコトライボロジー
  • 2機能性トライボロジー
  • 3トライボロジー評価

トライボロジー研究グループでは、「エコトライボロジー」「機能性トライボロジー」「トライボロジー評価」を重点トピックスとして研究を進めています。「エコトライボロジー」は少し使い古された表現ですが、人類の活動が地球環境に及ぼす影響が収束したわけではなく、深刻化しています。環境問題やエネルギー問題に対応できるトライボシステムの開発に取り組んでいます。「機能性トライボロジー」は、トライボロジーに関わる3体(2つの摩擦面とその間に入る潤滑剤)それぞれに機能を持たせ、一層高度化する機械システムを強力に下支えするシステムを作るほか、防カビや抗菌といった身近な問題も扱っています。「トライボロジー評価」は、トライボロジーだけに限りませんが、現象を正しく評価 し、研究開発に使える方法であるかを検討し、多くの方に使って戴ける国際標準などに展開します。

Subjects研究課題

  • 1.エコトライボロジー
    エコトライボロジー

    地球温暖化防止のため、大気中の二酸化炭素濃度を増加させない潤滑剤(水やバイオマスアルコール、植物油)の研究を行っています。従来使用されてきた石油系潤滑剤とは物性や化学的特性が大きく異なる、水やアルコールで潤滑するために適した摺動材料の開発や潤滑剤・添加剤と材料の化学的相互作用を利用した潤滑特性の改善を行っています。また、植物油で潤滑するために、脂肪酸の吸着能と耐食性に優れた摺動材料に適応したトライボシステムの開発を行っています。

  • 2.機能性トライボロジー
    エコトライボロジー

    摩擦や潤滑、摩耗には「表面」が深く関わっています。この表面に機能を持たせることで、摩擦を適切にコントロールすることができ、新たな機能発現、性能向上、省エネなどが可能になります。例えば、表面に微細形状と分子修飾を施して表面の化学的特性を制御し、トライボロジー特性制御、および、濡れ性制御・表面への付着特性制御を目的とした高機能化表面の開発を行っています。また、材料を高機能化することも重要で、難削材の切削加工に適した超高硬度TiCN基サーメットや、高温摺動材料として利用できる高融点かつ超高硬度のホウ化物の開発を進めています。

  • 3.トライボロジー評価
    エコトライボロジー

    これまでに蓄積したトライボロジー評価に関する知見を活用し、様々な用途に展開しています。一例として、ステップ的に荷重を増やす往復摺動試験を応用したDLC膜の耐剥離特性評価法の開発と標準化を進めています。また、複雑で定式化が困難な摩擦摩耗現象に対して、観察の結果から現象を確率的なものとして捉え、実際の現象の傾向を再現するシミュレーションモデルの開発を行っています。

Themes個別研究課題

  • 種々の摩擦材料に対する植物油の潤滑特性の解明 エコ・トライボロジー自然系液体 低毒性と生分解性に優れた植物油を対象に,潤滑特性に影響を及ぼすメカニズムを解明しています。
  • 転がり軸受の損傷診断 軸受メンテナンストライボロジー AE法を用いて転がり軸受の疲労損傷を早期に検知する技術を開発しています。
  • 水・アルコール潤滑システム エコ・トライボロジー環境負荷 水やアルコール中で耐摩耗性を示す摺動材料を開発しています。さらに組み合わせる相手材料との相互作用について研究しています。 詳しくはこちら
  • ナノルブリケーション 摩擦制御 自己再生型のナノ構造を構築し,なじみ特性や摺動特性の向上を目指しています。
  • 機能性流体潤滑~テクスチャ表面による平行平板潤滑特性の改善~ 摩擦制御 摺動表面に微細な凹凸を加工し,潤滑特性を向上させる技術について,その機構の解明と,実機への適用を行っています。
  • 高温強度・高温耐酸化性に優れる新しいサーメットや高温用摺動材料の開発 工具材料サーメット高温硬度切削加工放電プラズマ焼結Ti(C, N)ホウ化物 従来の超硬合金・サーメットより高温で高硬度・高耐酸化性を示すTi(C, N)-W系サーメットの開発
    プレスリリース: 難削材も容易に切削できる新しいサーメットを開発  2020年9月14日
    詳しくはこちら
  • DLC膜のはく離特性の評価技術の開発 DLC膜剥離特性摩擦試験標準化 DLC膜のはく離特性を評価する手法を開発し、国際標準への提案を目指しています。 詳しくはこちら
  • SRV摩擦試験機によるトライボ特性評価 摩擦摩耗特性データベース SRV摩擦試験機など、様々な摩擦評価試験機を用いて,幅広い条件の評価試験に対応しています。
  • 摩擦摩耗のシミュレーション 摩擦摩耗設計 複雑で定式化が困難な摩擦摩耗現象に対して,現象を確率的なものとして捉えるモデルによるシミュレーションを行っています。
  • 表面特性制御による防カビ技術の開発 カビ接着表面修飾 表面の化学的特性を制御したコーティング技術により、カビの表面への接着を抑制し、金属、セラミック、ガラス等の表面上で増殖したカビを簡単に水洗い除去が可能な技術を開発しています。