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研究成果

当グループの主な研究成果をご紹介します。

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分子の分極自己調節による電場誘起相転移

極架橋型ビスベンゾイミダゾールでは、NH水素の結合位置に応じ、低分極の配座Aと高分極の配座Bの切り替えが期待できます。そこで、メチレン基架橋のBI2C結晶に電場を印加した結果、二段階の分極ジャンプをもつ新奇の誘電性を見出しました。結晶は、配座Aの無極性の水素結合鎖と配座Bの極性の水素結合鎖が直交し合って擬正方晶系の構造を形成しています。結晶は多分域状態であり、(1)電場の向きが配座Aの水素結合鎖に沿うc-ドメイン内では配座Bへの転化により分極を発現させる過程、(2)電場の向きが配座Bの極性分子鎖に沿うa-ドメイン内では、鎖間の反強誘電的な整列状態が強誘電的に強制される過程が想定され、これらの相変化が異なる電場強度で生じた結果、二段階の分極ジャンプをもたらしたものと考えられます。

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Chem. Sci., 11, 6183 (2020) [https://doi.org/10.1039/d0sc01687j]

水素結合型有機強誘電体/反強誘電体の総合報告

強誘電体は、Valasekによる発見以来ちょうど1世紀と、記念すべき節目を迎えました。初の強誘電体であるロッシェル塩は酒石酸イオンを含み、有機分子や水素結合と強誘電性との密接な関係性の証左にもなっています。実際、C,H,N,O,S,ハロゲンのみからなる有機低分子に限っても、強誘電体の報告は80例を超え、その性能も水素結合系を中心に近年急速に向上しています。このたび、有機強誘電体・反強誘電体物質の分極の実験値と理論値の比較とともに、空間群/CSD Refコード/動作上限温度(キュリー点)/誘電率/圧電定数について一覧表を整備し、総合報告としてレビュー論文を出版しました。

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J. Phys. Soc. Jpn., 89, 051009 (2020) [https://doi.org/10.7566/JPSJ.89.051009].

多くのπ共役骨格を高性能な半導体材料に変えうる結晶工学的手法を開発

π共役骨格分子を2次元の層状構造に構築・制御することは、印刷製造を志向した有機エレクトロニクス材料/デバイスの開発においてきわめて重要です。しかしながら、多くのπ共役骨格は、結晶中で隣り合う分子どうしが長軸方向にずれるように非層状に配列します。本研究では、そのような非層状材料の一つであるBBBT骨格に着目し、長鎖アルキル基を用いた対称置換・フェニル基を伴う非対称置換を施すことで、分子配列を強制的に層状化させることに成功しました。これにより、高均質かつ大面積な結晶性薄膜を溶液塗布で容易に作製できるようになり、薄膜トランジスタの半導体特性が劇的に改善されました。

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CrystEngComm 22, 3618–3626.(2020)[https://doi.org/10.1039/D0CE00285B].

塗布プロセス開発の拡張に向けた印刷下地層の表面改質技術の開発

有機エレクトロニクスデバイスに用いる高均質な薄膜を塗布成膜するためには、塗布プロセスに適合する表面濡れ性が求められます。しかしながら、これまでの多くの表面改質技術は、半導体特性の劣化、プロセスの複雑化、印刷手法の制限といった課題を抱えていました。本研究では、撥液性と親液性の2種類の自己組織化単分子膜(SAM)材料からなる混合SAMを形成し、その混合比により印刷下地層の表面濡れ性を微細制御できることを見いだしました。これにより、多様な塗布プロセスに応じて有機半導体インクを最適な条件で塗布することができ、半導体特性の向上につながることを実証しました。

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Chem. Lett. 49, 1302–1305. (2020)[https://doi.org/10.1246/cl.200460].

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