知的基盤整備計画における計量標準整備計画

我が国の国際競争力の維持・強化、イノベーション促進、企業活動の信頼性向上、中堅・中小企業のものづくり基盤、国民生活の安全・安心の確保等に必要不可欠な計量標準、微生物遺伝資源、地質情報等の「知的基盤」は、我が国の公共財として、国が取りまとめた知的基盤整備計画に従い整備が進められています。知的基盤整備計画は最新の社会経済環境に対応するため定期的に見直しされ、現在は第3期知的基盤整備計画の基で知的基盤の整備が進められています。

産業技術総合研究所 計量標準総合センターは、日本を代表する国家計量標準機関として、知的基盤整備計画における計量標準整備を推進しております。

【現在の計量標準整備計画】

第3期知的基盤整備計画における標準整備(2021年度から2030年度まで)

第2期知的基盤整備計画(後述)が2020年度で終了するにあたり、経済産業省により設置された産業構造審議会産業技術環境分科会知的基盤整備特別小委員会・日本工業標準調査会基本政策部会知的基盤整備専門委員会 合同会議(以下、知的基盤整備特別小委員会)において、計量標準・計測分野、微生物遺伝資源分野、地質情報分野の3分野における、2021年度から2030年度を対象期間とした第3期知的基盤整備計画が取りまとめられました(経済産業省ニュースリリース)。

計量標準・計測分野に関する第3期知的基盤整備計画では、計量標準の更なる普及啓発と利用促進を目指して、オールジャパンでの効果的かつ効率的な整備・供給、計量標準・計測の活用シーンの拡大、利用促進・人材育成・連携活動を推進することとなりました。これにより、産業・社会ニーズへの迅速かつ適切な対応、社会課題解決への寄与、産業競争力の強化や安全・安心な社会の実現を目指します。

第3期知的基盤整備計画【経済産業省】

国家計量標準(物理標準、標準物質)の整備に関するユーザーニーズ調査

計量標準総合センターでは、計量標準(物理標準、標準物質)に関し、国として重要かつ緊急性の高いニーズに対して早期に把握し対応するため、通年でユーザーニーズ調査を行っております。

計量標準(物理標準、標準物質)の整備に関するユーザーニーズ調査

【過去の計量標準整備計画】

第1期知的基盤整備計画における計量標準整備(2001年度から2010年度まで)

2001年3月に策定された第2期科学技術基本計画において、「知的基盤の戦略的・体系的な整備を促進する」とされたことを踏まえ、経済産業省により設置された、産業構造審議会産業技術分科会・日本工業標準調査会合同会議知的基盤整備特別委員会において第1期知的基盤整備計画が取りまとめられました。

第1期知的基盤整備計画は、知的基盤を研究材料、計量の標準、科学技術に関する情報等と定義し、計量標準については、欧米の知的基盤整備に追いつくことをテーマに、新たな計量標準の整備など、量的整備に重点を置いた整備計画となっています。

計量標準総合センターは、日本を代表する国家計量標準機関として、国家標準へのトレーサビリティを必要としている計測器、計量器に対する標準供給を行う使命を担い、2010年までに物理標準と標準物質を各約300種類整備する計画を達成しました。この結果、国際相互承認に必要な基本となる計量標準は欧米と遜色ないレベルに到達しました。併せて、我が国の計量標準整備を一体的に担う体制も構築されました。

物理標準に関する整備計画
計量標準整備計画総括表1【物理標準】

標準物質に関する整備計画
計量標準整備計画総括表2【標準物質】

第2期知的基盤整備計画における計量標準整備(2013年度から2020年度まで)

第4期科学技術基本計画の要請を受け、経済産業省における審議会組織見直しにより改められた知的基盤整備特別小委員会において、計量標準、微生物遺伝資源及び地質情報の3分野の新たな知的基盤整備計画及び具体的な利用促進方策(第2期知的基盤整備計画)が取りまとめられました。

計量標準に関する第2期知的基盤整備計画においては、量的整備に加え質的整備も図り、計量・産業ニーズへの対応、計量法に基づく計量法トレーサビリティ制度(JCSS)の拡充、計量標準の広報普及活動を目標に設定し、ユーザーのニーズ調査に基づいた整備計画の定期的な見直しを行うこととなりました。また、JCSSを含めた計量標準の広報・普及活動を実施することとなりました。

計量標準総合センターは、第2期知的基盤整備計画に基づき2020年度までの8年間に、物理標準95種類、標準物質235種類(うち135種類は定量NMR等による校正として供給)の整備を達成しました。また、民間事業者との連携による国内標準供給体制の拡充、ユーザーのニーズ調査に基づいた整備計画の定期的な見直しによる効果的な計量標準の整備、ウェブサイトや講演会等による情報提供など、計量標準の普及活動も推進しました。なお、第2期知的基盤整備計画は、終了年度が当初予定の2022年度から2020年度に変更となり、前倒しでの終了となりました。これに伴い、2022年度までの整備予定項目につきましては、ユーザーニーズや社会状況に基づいて整備内容を再検討し、適宜、前述の第3期知的基盤整備計画に反映しました。

第2期標準整備計画及び実績:物理標準

第2期標準整備計画及び実績:標準物質