2013年4月13日淡路島付近の地震と地質との関係
2013年4月13日の早朝5時33分に,兵庫県淡路島付近を震源としたマグニチュード6.3の地震が発生しました.地震調査委員会によれば,この地震のメカニズムは東西圧縮の逆断層型とされています.
図1には,産総研で発行している地質図に,今回の地震の本震の震央とおよその余震の分布を重ねたものを示します.震源域周辺には,基盤岩の花崗岩類と,それを覆って堆積した大阪層群と呼ばれるおよそ200万~300万年前の地層が分布しています.周辺には志筑断層(しづきだんそう)や先山断層(せんざんだんそう)といった活断層が分布しますが,志筑断層の断層面は北東に傾斜していると推定されているので,今回の震源とは位置がずれます.また先山断層についても,方向がやや異なるのと,断層位置が余震の分布よりもやや南になることから,先山断層そのものの活動ではないと推定されます.
この地域に分布する大阪層群には,何枚かの火山灰層が挟まれており,その分布を詳細に調査することにより,大阪層群の地質構造は比較的よくわかっています.図2には大阪層群の分布と地質構造を示します.この図を見ると,余震の分布域には大阪層群を変位させるような断層は認められません.ただし,一宮撓曲と呼ばれる南東側が隆起する構造と,鮎原撓曲と呼ばれる北西側が隆起する構造とが余震域に沿って接しており,そこを境にねじれるように食い違っているのがわかります.したがって,明瞭な活断層ではありませんが,何らかの構造的な境界がこの付近にあることがうかがえます.以上のように,地質図からは今回の地震がこのような構造境界に関係している可能性を指摘することができます.
図1 震源域周辺の地質図(高橋ほか,1992)と震央位置.
震央は気象庁暫定震源(2013/4/13 05:00 - 2013/4/13 24:00)による.
赤線は産総研活断層データベースに収録された活断層.
図2 「洲本」図幅地域における断層・撓曲の分布と大阪層群の地質構造概念図(高橋ほか,1992).
余震分布範囲を追記.
参考文献
高橋 浩・寒川 旭・水野清秀・服部 仁(1992)洲本地域の地質,地域地質研究報告(5万分の1地質図幅),産業技術総合研究所地質調査総合センター.