東日本大震災では、大量の津波堆積物のほか、大津波の浸水による福島第一原発事故も引き起こしました。放射性セシウムによる汚染に関しては、以下の研究を推進しております。
除染の費用と効果を事前に定量することは、除染のあり方を考える上で極めて重要です。本研究では除染の費用と効果を迅速に評価するマルチプルリスク評価モデルを開発し、福島県の除染活動に適用しました。これらの評価結果はWEBページ・論文等で公開し、多くのメディアに取り上げられました。
放射性物質除染の効果と費用を評価
http://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/nr20130604/nr20130604.html
除染の効果と費用に関する解析について
http://www.aist-riss.jp/main/modules/research/content100.html
論文:
T. Yasutaka et al.,(2013) Chemosphere,93(6),1222-1229.
T. Yasutaka et al.,(2013) PLOS ONE,8(9),e75308.
土壌中の放射性セシウムは移動性が極めて低いことで知られています。放射性セシウム汚染土壌の減容化手法の適用性評価や、草木類が混入した除染土壌の放射性セシウムの挙動評価に関する研究を推進しています。
放射性セシウム汚染土壌の措置方法に関する一考察
https://staff.aist.go.jp/t.yasutaka/Aist-Risk/110908_files/RadCM-Final2011-09-08.pdf
放射性物質の土壌中の深度方向の分布および土壌洗浄法の適用性試験結果について
https://staff.aist.go.jp/t.yasutaka/Aist-Risk/110927_files/20110927Rad-Depth-washfinal.pdf
論文:
保高ら (2013); RADIOISOTPES, 62(4).
現在、福島県内の環境水中の放射性セシウム濃度は極めて低濃度のため、その濃度を定量するためには20L〜100Lの水を濃縮する必要があり、6時間から1週間の前処理時間が必要でした。本研究では、懸濁物質を回収するフィルターおよびプルシアンブルー担持不織布を用いて、水中の放射性セシウムを迅速に濃縮する手法を開発しました。本研究はJST先端計測プログラムの支援を受けています。
プロトタイプ
https://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/nr20120905/nr20120905.html
最新版
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20140407-2/index.html
論文:
T.Yasutaka et al.,(2013) Journal of Nuclear Science and Technology.50(7), pp.674-681.
H. Tsuji et al., (2014) Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, Volume 299, Issue 1, pp 139-147
保高ら(2013) 分析化学, 62(6). pp.499-506.
前述した水中の放射性セシウムの迅速モニタリングシステムを駆使し、福島県内の複数のフィールドで、放射性セシウムの環境動態評価に関する調査研究を行っています。また、環境水から植物への移行に関する研究も進めています。
阿武隈川の水中放射性セシウム濃度は低いレベルであることを確認
http://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/2013/nr20130204/nr20130204.html
論文:
石川ら(2014) 水環境学会誌,Vol. 37,No. 2 pp. 29-43
T. Yasutaka et al.,(Accepted) Soil science and plant nutrient, in press.
H.Tsuji et al.,(Accepted).Water Research, in press.
T. Yasutaka et al.,(2012) Proceedingsof International Symposium on Environmental monitoring and dose estimation ofresidents after accident of TEPCO's Fukushima Daiichi Nuclear PowerStation,pp137-140.